新型コロナウイルスの感染拡大防止のための非常事態宣言からもうすぐ一週間。11日のAbemaTV『NewsBAR橋下』では、東国原英夫氏と橋下徹氏が政府の緊急経済対策、そして個人や中小企業への補償の問題について議論した。
東国原:108兆円といっても、効果はほぼないと思う。“真水”の部分は16.8兆円しかないし、そのうち低所得者世帯や中小・個人事業者への現金給付は6兆円、悪名高き各世帯への30万円は3.9兆円だけ。今回は景気・経済対策ではなくて、感染拡大防止対策なんだから、四の五の言わずに1人一律10万円ずつ漏れなく給付すればいい。橋下さんとは意見が違うと思うが、他人が悪用できないよう、住所と名前がついた「政府小切手」にして、身分証明書と一緒に金融機関や郵便局に行けば交換できるようにする。交換する・しないはその人の判断次第だ。富裕層だからいいという人や、国会議員、地方議員は交換しなければいい。それが最も簡単でスピーディーだ。それなのに財務省や麻生さんたちは“あのリーマンショックの時に1万2000円ずつ定額給付金を払ったが経済効果がなかった。あの時に誰も使わなかった。貯金に回された”と言っている。経済効果じゃないって。とりあえずは安心。今は外に出られないんだから貯金に回したっていい。アメリカでも、これは戦時体制だ”ということで、赤字国債を出して、所得制限付きでやっている。
橋下:緊急事態宣言の対象になった7都府県の知事が「休業補償をしてくれ」と国に申し入れをしたら、「やりません。休業補償をやっている国はありません」というのが政府の答えだ。しかし、各国がやっているのは事業収入を補償するのではなくて、労働者の給料を補償するということだから、ちょっと違う。共産主義的な考えになってしまうかもしれないが、緊急事態宣言の間は、「解雇は禁止。給料は8割補償する」という政治的なメッセージを出す。当然そんなことをやれば、「売上がないのに、従業員の給料はどうするんだ」という話になるので、無利子・無担保・返済も超長期でというような融資をやる。日本の場合に、「先にいくらのお金を使いましょうか?」みたいな話から入ったから、東さんが言うように、しょぼい金額になってしまった。先に「雇用は守る。解雇はさせない。給料は何割か補償する」。そこから入っていくのが政治だ。
東国原:財務省、麻生さんは「定額給付は3カ月かかった」と言っているが、かからない。僕が言った「政府小切手」であれば2週間でできる。3月に、当初予算の前に補正予算を先に組んで、4月から始めていれば4月末には給付ができた。スタートが遅い。
橋下:本当に遅いのと、30万円の要件も分かりにくかった。役所の職員も不眠不休で働いていると思うが、1円も給料の下がらない人たちが生活保障の制度を作ろうと思っても、やっぱり血の通った制度にはならないと思う。世間では明日は飯を食えないかもしれないという人がたくさんいる中で、給料を完全に保証されている人たちが「3カ月後にお金を渡す」と言っている。あり得ない。痛みが分かっていない。
東国原:確かに役所は大変だ。皆さんから“私はもらえるの?もらえないの?”という相談が殺到していて、どれだけの負荷がかかっているか。だからこそ簡単な方がいい。欠点、デメリットはあっても、非常時にはシンプル・イズ・ベストだ。
橋下氏:何遍も言うが、いざという時には「解雇は禁止という」共産主義的なことは言わないといけない。「解雇はさせない。給料は8割払いなさい」だ。あるタクシー会社が600人解雇してしまったことが報じられている。当然、お金が無くて解雇せざるを得ない事情があったのかもしれないから、そこにじゃぶじゃぶ融資をしてあげるというやり方で雇用を守り、感染症対策をしていかないといけない。
東国原:「クビにした場合は6割補償しなさい」ということが労働基準法で決まっている。でも、これはあくまで会社の都合。「国、あるいは東京都から自粛要請なので、会社の都合じゃない。だから法律上は払わなくていいんですね」という話になってしまう。
橋下:政治が大号令をかけた結果こういう状況になったのなら、「雇用は守る。その代わり感染症を広げないために自粛はしてくれ」と言わないと。イギリスの政治の方が1枚も2枚も3枚も上手だ。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)