「1、2週間で第一弾が出せるかもしれない」IT担当副大臣が見通し示す 感染者との濃厚接触“追跡アプリ”、プライバシーへの配慮は?
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 感染拡大続く新型コロナウイルスへの危機感からか、政府はスマホのBluetooth機能を使い、感染した人と濃厚接触した人を把握できるアプリの開発・導入を検討しているという。他国のように感染経路の把握を徹底することは重要だが、そもそも人が出歩けば、感染は食い止められない。更なる自粛、更なる対策を繰り返す日々は、いつ終わるのだろうか。そして技術は、そこにどう貢献するのだろうか。

 内閣府IT担当副大臣で、政府の新型コロナ対策でIT活用を担うテックチームの事務局長を務める平将明衆院議員は「シンガポールが先行事例だと思うが、国家主導でアプリを入れてBluetoothをオンにしてもらい、例えば2m以内に20分間以上いた人などをリスト化すれば、検査で陽性になった人と接触した可能性のある人を把握することができるようになる。当然プライバシーには配慮し、データの匿名化、暗号化はされている。既にインドやヨーロッパでも導入されており、さらにGAFAも含めた大企業も研究をしていると聞いている」と話す。

 すでに大手ITのGoogleとAppleが「10m以内の距離にスマホ同士が近づいた日時を記録」「本人の同意があれば過去14日間に接触した人に通知が届く」「個別のユーザー情報を示さずアラームのみ(通知もなし)」という仕組みを共同で開発しており、5月にリリース予定だという。

 これについて平氏は「AppleとGoogleが共同して開発するというニュースもあるが、この2社の取り組みは5月中旬になりそうということだ。我々としてはそのリリースを待つということではなく、自分たちで開発を進めていこうと考えていて、この1~2週間のうちには地域を絞って第一弾を始められるかもしれない状況だ。もちろん政府が強制して入れさせるということはないので、できるだけ広報して入ってもらうことになる。一緒にこの事業をやりたいというテック企業も数社いて、中には入れてもらうためにポイントを付与しようという案もあるので調整しているところだ」と説明する。

 「去年の台風15号や19号の際、私は私は防災担当副大臣だったので、SNS上の情報を元に被害想定をし、被災者が欲しいと思う情報をきちんと選別して届けようという取り組みをした。LINEのアカウントから一報を入れさせて、チャットボットを使うなどした。新型コロナウイルスについて開発しようとしているアプリについても、LINEを使ったアンケートの2500万人分のビックデータや検索ワード・地図情報を掛け合わることで、効率よくクラスターを潰していくことができるのではないか。また、感染経路不明者も増えてきたので、アプリの情報を元にうまく封じ込めていくということだと思う」。

「1、2週間で第一弾が出せるかもしれない」IT担当副大臣が見通し示す 感染者との濃厚接触“追跡アプリ”、プライバシーへの配慮は?
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 AppleやGoogleなどIT企業や最新技術が社会に与える影響を取材しているジャーナリストの西田宗千佳氏は「強制することはできないし、シンガポールにおいても導入率は1割程度だと聞いている。ただ、自分を守るというよりも、情報を出すことで社会全体を守るという考えに近く、それによってデータを取ることができ、傾向も分かる。そして、“まずは家にいて”“こういう状態ならここに連絡して”といった情報を組み合わせて知らせる機能も重要だと思う。一切情報がなく、かかっているかもしれない、もしくは濃厚接触をしたのか・していないのかも分からないという状況よりも、自分に警告をしてくれて、教えてくれるアプリがあればいいという考え方はできると思う。」と指摘する。

 その一方、「ただ、アプリにはインストールをしてもらうというハードルがある。その点、GoogleとAppleが基本的な機能として組み込むということになれば、OSさえ最新のものにしておけば使えるようになる。正確な情報を取るためには可能な限り多くの人が使っていることが重要なので、そこはスマートフォンのシェアが合わせて100%に近くなるGoogleとAppleの強みだ。しかもシンガポールや日本がやろうとしていることよりもさらにルールが厳密なので、おそらく別の時にも使えるという考え方で作られているのではないか」と話す。

 また、プライバシーの問題については「中国の場合、スマホの位置情報を取って、感染した人がどういうふうに動いたかを把握している。日本の場合、そこまでするのは法律やプライバシーの問題で非常に難しい。そこでシンガポールと同様のスタイルで、自分がもしかしたら過去2週間の間に濃厚接触したかもしれない、感染したかもしれないという時に警告してくれるというものが妥当だろう。そこでどういう情報を集めるのか、個人の情報をどれだけ中に入れるのかという点は問題になるし、集まったデータを他のデータとくっつけることについてのルールは必要だと思う。ただ、少なくとも今回のアプリについてはそこが限定されていて、危険性も低いと考えられる。そうしたプライバシーと実効性のバランスという意味合いにおいても、日本が独自で開発するというのも選択肢ではないか」とした。

 西田氏の話を受け、平氏は「もちろん様々な個人情報を聞いてくるアプリにしてしまうと嫌がられるので、若い人たちも入れやすいレベルにしつつ、積極的な疫学調査にも資する形にするにはどうしたらいいのかと議論している。新聞社の取材で“プライバシーは守られる”と丁寧に説明したが。記者には“でも、漠とした不安感が国民の中にありますよね”と言う。いや、だから、それをちゃんと伝えてくれよと思う。ヨーロッパはGDPRという基準で個人情報が守られているが、実は日本もそれと同じレベルで個人情報が守られている。シンガポールのアプリもGDPRにも整合的だと言っているし、日本政府から独立した個人情報保護委員会も、このアプリは個人情報保護の観点から今のルール上問題ないと言っている。心配せずに入ってもらえればと思う」と訴えた。(ABEMA/『ABEMAPrime』より)

▶映像:IT担当副大臣が出演、コロナ×テックの可能性は

"感染者や接触者の特定が可能"Google&Appleが5月リリース テックでコロナにどう対応?
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