春アニメ「イエスタデイをうたって」が、4月4日の放送以来、好評だ。漫画家・冬目景による独特なタッチのイラストと、男女の心を繊細に描くストーリーがどのようにアニメ化されるのか、原作ファンを中心に日増しに注目度を上げている。自身も原作の大ファンである藤原佳幸監督が、第4話の放送を記念した独占手記を寄せた。
▶映像:優秀な兄にコンプレックスを抱える浪「イエスタデイをうたって」#4
<藤原佳幸監督:独占手記>
4話は浪回です。浪を通して品子の事情を描いています。
湧は品子の初恋の相手で鬼籍の人、浪の七才年上の兄貴。何をしても優秀な兄貴とその兄にコンプレックスを持っている浪。勝てないまま兄は死に、コンプレックスが焦りとなり品子に当たってしまう浪の内面と成長の過程を描いていこうと思いました。
唯一のアイデンティティとしての絵を描く。始まりは兄貴に勝てるものだから、絵を描いている。絵を描いてさえいれば、、、の先を描くことが出来れば浪の成長が描けると思いました。賞を取ることや絵を描く技術が上がる事が、浪の成長なのか?結果を描けば浪が成長した事と一緒にならないところがイエスタデイをうたっての面白いところだと思います。
足掻いて努力して挫折して、その結果に自分なりの答えを見つけたような気になって、背伸びをしてまた失敗して、、、それでも諦めない姿勢が成長だと、浪というアイデンティティを確立していく事になるのだと思いました。
その姿勢が絵にだけではなく、品子に対しても同じなところが浪というキャラクターの魅力の一つです。
それと同じ軸で、品子帰郷を描いています。品子は湧との遺品との対面で自分の本心を探ろうとしていますが、自分の事が一番分かっていないのが品子という業の深さが次の回から徐々にから回っていきます。それに振り回される陸生達はどうなるのか?乞うご期待!!
◆作品情報「イエスタデイをうたって」とは
1998年よりビジネスジャンプ~グランドジャンプ(集英社)で連載、2015年に完結した漫画家・冬目景による漫画作品。コミックスはシリーズ累計140万部を突破。現在も多くのファンに愛されている。
◆ストーリー
大学卒業後、定職には就かずにコンビニでアルバイトをしている”リクオ”。特に目標もないまま、将来に対する焦燥感を抱えながら生きるリクオの前に、ある日、カラスを連れたミステリアスな少女―“ハル”が現れる。彼女の破天荒な振る舞いに戸惑う中、リクオはかつて憧れていた同級生“品子”が東京に戻ってきたことを知る。
※品子のしなは木へんに品が正式表記
(C)冬目景/集英社・イエスタデイをうたって製作委員会