4月から放送中のアニメ『八男って、それはないでしょう!』(以下、八男)。原作はシリーズ累計270万部突破の人気小説で、著者はY.A氏、イラストを藤ちょこ氏が担当している。
【映像】インパクト強すぎ! アニメ「八男」OPテーマはデーモン閣下&宝野アリカの“デュエットメタル”(第1話)
目を覚ますとド田舎の貧乏貴族の八男・ヴェンデリンに転生していた商社に勤めるサラリーマン・一宮信吾。領地を継げる見込みもないヴェンデリンだったが、魔法の才能に恵まれ、冒険者予備校に特待生として入学。やがて有力貴族のひとりとして身を立てるようになり、サラリーマン時代の経験を活かしながら、貴族社会のしがらみを乗り越えていく物語だ。
本作では、単なる“異世界転生モノ”としてではなく、策謀が渦巻く人間関係に注目しながら視聴できることも魅力のひとつ。
ABEMA TIMESでは、本作の主人公であるヴェンデリン役の榎木淳弥と、メインヒロインかつヴェンデリンの婚約者であるエリーゼ役の西明日香へのインタビューを実施。「周りから定められた婚約者」という関係について、2人はどのような想いを抱きながら収録に臨んだのだろうか。
▶︎映像:声優と夜あそび【下野紘×内田真礼】榎木淳弥、フルネーム早読みで主役の意地を見せる?!
―― 異世界転生ジャンルの作品の中でも「主人公が貧乏貴族の八男に転生する」というのは独特な設定だと思います。初めて作品に触れたときの感想をお願いします。
榎木:異世界に行ったら現代の悪い状況が好転して、恵まれた状態でスタートするのかと思いきや、貧乏貴族の八男とは(笑)。まず、こういう環境に転生してしまったという設定が、新鮮で面白いなと思いました。
西:ヴェル(=ヴェンデリン)とエリーゼの周りにはイーナ(CV:小松未可子)やルイーゼ(CV:三村ゆうな)、ヴィルマ(CV:M・A・O)など、女の子が多いんです。最初は「ハーレムものなのかな?」って思ったのですが、いざ原作を読んでみたらそうじゃなくて。人間関係の複雑さや政治の確執、そういった生々しい、リアルな感じの世界観で、そこに焦点を合わせて物語が進んでいくところが作品として「新鮮だな」という印象を受けました。
―― 貴族同士の確執などの描写も多いです。
榎木:ヴェルは政争に巻き込まれていくのですが、本人の知らないところで勝手に話がどんどん進んでいってしまう状況なので、彼自身はあんまりそれを深く考えていないんです。彼は異世界でそれなりに楽しくやれているんだと思います。
転生前のヴェルは平凡な会社員として働いていました。転生した先でも同じように苦労するっていうのは、いつまでもサラリーマン気質というか、ちょっと可哀想だなあと個人的には思っています(笑)。
西:エリーゼは祖父の勧めでヴェルと婚約するんです。エリーゼもヴェルと同じく周りの大人たちに振り回されている状況ですが、でもエリーゼはそれが当たり前のことなんじゃないかと私は考えていて。
台本を読んだとき「勝手に婚約者を決められて大変だな」と感じたのですが、当のエリーゼは「祖父の言うことだから従う」という貴族的なスタンスです。ヴェルのすべてを肯定するエリーゼを演じていて「これがエリーゼにとって当たり前なんだな」と、しみじみ思いました。
―― 主人公とメインヒロインが婚約するというのも、異世界ものでは珍しい設定だと思います。
榎木:婚約したと言っても、最初はヴェルとエリーゼに恋愛感情がないんです。お互いを気遣いながら、特にヴェルは「これでいいんですかね……?」みたいな。お見合いをし続けているみたいな距離感は、演じていて新鮮で面白いなと感じましたね。
西:恋愛作品に出てくるキャラクターは、登場してすぐ主人公に惚れて、アタックして、やがて結ばれる流れが多いですよね。『八男』では、最初、主人公とメインヒロインの間に恋愛感情は生まれていなくて、雰囲気が良くなったとしても心は動いていない。話数が進むにつれて、少しずつ、ヴェルに惹かれていく様子が丁寧に描かれています。そこが演じていて新鮮だし楽しいなと思いました。
―― 話数を重ねて変わっていく、ヴェルとエリーゼの関係に注目ですね。
西:『八男』は、ヒロインが急に頬を赤らめて「主人公くんが好き!」ってならない作品なんですよ。「これが本当に人が人を好きになる瞬間だ」って分かるところがあって、「これくらい時間をかけないと、そりゃあ相手のことを好きにならないよ」って。そういうところにすごくリアルさを感じる作品です。
―― 深いですね。ますます先の展開が気になります。
西:もしかして良いこと言ってる……?
榎木:良いこと言ってる(笑)。女性目線の良い意見ですね。
―― 最後に『八男』に期待するファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
榎木:スタッフさん含め、すごく和気あいあいと盛り上がりながら収録できた作品です。その空気感というか、生き生きした感じが音と映像に乗っていると思いますので、そこを楽しんでいただければうれしいです。
物語ではいろいろな陰謀が渦巻いていたりしますが、基本的にはすごく明るいシーンも多いんです。観ると心が軽くなるというか、気楽に楽しめる作品になっているので、ぜひ多くの方に観ていただけたらと思います。よろしくお願いします!
西:キービジュアルを見ると「戦ってる!」って雰囲気ですよね。もちろん戦闘シーンもカッコイイのですが、人間関係・人間ドラマみたいなところも、ぜひ注目して観ていただきたいです。
あと出てくるご飯にも注目してもらいたいですね! ヴェルがご飯をおいしそうに食べるんです(笑)。木曜の夜に晩酌しながら観るアニメにすごくオススメだと思いますので、大人の方は晩酌しながら、子どもの方は「大人の世界ってこうなんだな~」と感じながら楽しんで観ていただけたらうれしいです。
(C)Y.A/MFブックス/「八男って、それはないでしょう!」製作委員会