「感染を防ぐための原理原則を分かってもらうことが大切」経済活動の再開に向けて必要なこととは?
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 安倍総理は4日、発出から1カ月となる緊急事態宣言について、今月31日まで延長することを表明した。その理由について安倍総理は「収束に向けた道を着実に前進している」としつつも、新規感染者の減少が不十分であること、医療機関が逼迫していることを挙げた。一方、「今後、地域ごとの感染者数の動向、医療の逼迫状況など、詳細に分析いただいて、可能であると判断すれば、期間満了を待つことなく緊急事態を解除する考えだ」とも話した。

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 アメリカ国立衛生研究所の研究員で病理学やウイルス学が専門の峰宗太郎医師は「緊急事態宣言下における活動制限の効果が出始めてはいると思う。しかしながら新規感染者数も一定数いるので、やはり延長するという判断は妥当ではあると思う。感染爆発を抑えるだけではなく、ゆっくりとした波に抑え続けるというフェーズに向けて具体的な作業ができるようになってきたと認識することができると思う」と話す。

 この日の専門家会議では、PCR検査数が増えないことについて「軽症者も迅速に検査を受けられる体制を整えるべきだ」との認識を示しつつ、保健所の業務の過多や防護服などの装備の不足、などがあったことを挙げている。

 峰氏は「今後、第3波、第4波と来る可能性がある以上、PCR検査のキャパシティを増やしていくことは必要で、安倍総理が述べたように2万件を目指すというのも妥当だと考える。一方、尾身先生(専門家会議・副座長)が述べたように、色々と事情があったにせよ、幸いなことに陽性率は下がっており、死者数も他国と比べると少ないということも強調しておかなければならない。その意味では、これまで現状認識として地方衛生研究所も国立感染症研究所も民間も大学も頑張ってきた結果、PCR検査で十分拾い上げられていたとも言えると思う」と説明する。

 他方で新規の死者数が増えていることについては「インフルエンザの場合は短時間で亡くなってしまう方が多いが、今回の感染症は2週間、3週間と治療したにも関わらず…という方が多いため、現在の状況は少し前の状況を反映しているということになる。いま新規死亡者数が増え続けているというのも、対策をし始める前の影響が残っているということが言えるだろう。また、検査ができずに亡くなってしまうという“取りこぼし”の問題もある。これには無症状の人が非常に多く、症状が出ないうちに他人にうつしてしまうことがあるという、この感染症特有の難しさもあるし、PCR検査だけで捕まえるというのはなかなか難しい。いかにすくい上げて、重症者、死亡者を少なくするかということは対策していかなければならない」とした。

 では、経済活動再開に向け、もっとも重視すべき指標は何なのだろうか。峰氏は「非常に難しい」としながらも、「感染の状況だけを見るのであれば実効再生産数や新規感染者数、病院がどれくらい逼迫しているかということを見ることは重要だと思う。ただ、そこに経済の要素は盛り込まれていない。そういったことも総合的に判定して、今はどこを重視するフェーズなのかということを政府には判断していただくしかないと思う」と話した。

 一方、安倍総理は宣言延長後の生活の考え方について「外出それ自体が悪いわけではない」ということを繰り返しつつ、「人との距離を十分に保ち、マスクを着用する予防策を講じながら外出できる、そうした日常を専門家のアドバイスの元、取り戻していく」「専門家の皆さんが策定した“新しい生活様式”はその指針となるものだ」と述べている。

 この“新しい生活様式”の実践例として、専門家会議は買い物は「通販も利用。電子決済の利用。1人または少人数ですいた時間に行くこと」、娯楽やスポーツは「筋トレやヨガは自宅で動画を活用。歌や応援は十分な距離かオンライン」、食事は「対面ではなく横並びで座る。料理に集中し、おしゃべりは控えめにする。グラスやお猪口などの回し飲みは避ける」、働き方は「テレワークやローテーション勤務。会議や名刺交換はオンラインで行うこと」などを挙げている。

 峰氏は「やはり長い間シャットダウンするというのは心理学的にも無理なので、どこかで折り合いをつけ、感染症の蔓延を防ぎながらいかに生活を再開するか、ということになる。ワクチン開発も重要になってくるが、どのくらい時間がかかるかは分からないので、まずは感染を防ぐための原理原則を分かってもらうことが大切だ。これは専門家会議でも言っていたが、距離を保つ、手をよく洗う、マスクをつけるといったことを習慣付けてもらい、経済再開の道を模索するしかないと思う」とした。

 幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏は「“リスクを受け入れる”と言ってしまうと良くないのかもしれないが、やはりどこかで“ゼロリスクではない”ということで、科学的見地に基づいてイベントや飲食店の営業も再開していかなければならない時期が来ると思う。その時のために、“みんなで我慢しているのに、お前だけ何でそんなことするんだ”と執拗に叩いたり、晒したりするといった、いわゆる“コロナ警察”の空気感は変えていかないといけないと思う。その意味では、こんな曖昧なガイドラインではダメだと思う」と指摘していた。

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