「コロナ感染予防協会です。順番待ちでなかなか受けられないPCR検査に代わって、もっと大事な検査を受けられる人をランダムに選んで電話をしています。あなたは幸運ですよ」。
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先月、とある男性のもとにかかってきた1本の電話。男の声が勧めてきた検査は、この世に存在しない“抗体強化検査”なるもの。「予約金が5万5000円かかると言われた。ただそれは検査後にすぐお返しするんですけどね、と」。
今、新型コロナウイルスコロナウイルス感染拡大の不安につけ込んだ悪質な勧誘やアポ電、詐欺行為などの消費者トラブルが急増しており、国民生活センターに寄せられた相談件数はこの4カ月で2万件を超えているのだ。
元埼玉県警捜査一課デジタル捜査班の佐々木成三氏は「ハガキ・封筒だけでなく、SNS、メール、電話と、色んな通信手段を使って詐欺が横行している。今は在宅率が高いため、ウェブサイトから誘導されてフィッシング詐欺に引っかかるケースも多発している」と話す。
まず紹介するのは、「新型コロナウィルス除去が証明された日本で唯一の空気清浄機」を謳ったチラシだ。機器のメーカーに確認すると、「製品の写真を無断で使用された」と話す。消費者庁出身で消費者問題に詳しい池田・染谷法律事務所の染谷隆明弁護士は「景品表示法という法律に違反する可能性があり、消費者が誤解して購入してしまった場合は刑法の詐欺罪が成立する余地もあるのではないか」とコメントした。
次に紹介するのは、給付金や助成金について、国から代理申請を委託されたと称して「申請業務を代行する。手続きに2～3万円必要」だと連絡してくるものや、市役所や金融機関を騙り「助成金の手続きのため銀行名や暗証番号などを教えて」と、個人情報狙った手口もあるという。
こうした特殊詐欺に警察も注意喚起をする中、中国地方の会社経営の男性に届いた封書には、差出人が内閣府コロナ対策委員会とあり、100万円の交付が決定したため、口座番号やキャッシュカード情報を記載し返信するよう書かれていた。もちろん、返信しても振り込みは無いどころか、「口座から不正に金が引き出されているのですぐに対処します」として銀行員や刑事を装い、さらに通帳などを騙し取りに来る可能性すらあるようだ。
ネットを用いた同様の詐欺もある。「給付金3万円、口座情報の登録後に自動で振り込まれます」と書かれたメール内のURLにアクセスすると本物のニュースサイトの記事が並ぶページが現れ、信じ込ませるための仕掛けがなされていた。しかしそのページから給付金の申請を行おうとすると、「高額報酬」と書かれた無関係のサイトに飛ばされてしまった。
前出の佐々木氏はこうした手口について「自治体によって給付金の対応が異なるというところに乗じて“今申し込めば早めにもらえますよ”などと勧誘してくることが考えられる。メールに関しては見分けやすいと思うが、給付金とか助成金とか、私でも飛びついてしまうようなワードが書かれていると、やはり高齢者などは注意したほうが良い」と警鐘を鳴らす。
「昔は手渡しやATMへ振り込むというような手口だったが、今はキャッシュカードのすり替え詐欺というものも発生している。“今、給付金が支払えるキャッシュカードを確認してます。あなたのキャッシュカードが令和に変わって入らないので、そのキャッシュカードを預かりますよ”といって持っていく詐欺もある。まずは自分で自分を守るということが大事な時期だし、やはり、こういった情報は全て疑うというところから始めていくべきだ」。
なお、自治体や公的機関も「給付金や補助金」に関して注意喚起を続けており、「お願いされてATMの操作を行うこと」「手数料を含めた振込み」「送られてきたメールに記載されたURLをクリックすること」の3つについて求めることはないため、少しでも不審に思ったら警察や各所窓口にすぐ相談することが肝要だ。（ABEMA／『ABEMA Prime』より）
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