ふくだももこ監督最新作、松本穂香主演映画『君が世界のはじまり』(2020年夏全国公開)よりイメージビジュアル4種が解禁となった。
2016年に短編小説「えん」で第40回すばる文学賞佳作を受賞、映画や舞台、ドラマの演出も手掛け、もはやジャンルのボーダーラインを軽々と飛び越え、新時代の先頭に立つカルチャーアイコンの一人となりつつあるふくだももこ。本作では、彼女の原点である2本の短編小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を再構築し、一本の映画にするというプロジェクトが実現した。脚本家は、『リンダリンダリンダ』、『もらとりあむタマ子』、『愚行録』など、その時代に傑出する話題作を手掛けてきた鬼才・向井康介。「40歳を越えて、もう青春映画を書くことはないと決めていた」と語る円熟の脚本家が、ふくだ監督の言葉のひとつひとつに突き動かされ、青い春のその瞬間にしか存在しないヒリヒリするようなエネルギーを新たなストーリーに結実させまた。主演には、『おいしい家族』(19)以来、ふくだ監督と二度目のタッグとなる松本穂香を迎え、魂を焦がす青春映画の新たな傑作がここに誕生した。
今回解禁となったイメージビジュアルは、松本演じる主人公・えんとその幼馴染である琴子(中田青渚)、そして父親に鬱屈とした思いを抱える純(片山友希)と東京からの転校生で、純と関係を持つ伊尾(金子大地)、それぞれのツーショットに加え、サッカー部主将で学年で指折りの人気者・岡田(甲斐翔真)、ロックバンド・NITRODAYのVo & Gtを担当、本作で演技に初挑戦した小室ぺい演じる琴子の初恋相手・ナリヒラにクローズアップしたもの。
劇中でも、えんと琴子は一緒に通学し、一緒に授業をさぼり、一緒にたこ焼きを食べる親友同士。無邪気な表情でふざけあい、教室の片隅でじゃれ合う自然体な2人の姿が切り取られており、背後に映るピンク色のカーテンが印象的だ。一方で純と伊尾を映し出したビジュアルは、薄暗く淡いグリーンに包まれている。視線は決して絡むことがなく、背を向けていても同じイヤホンで音楽を共有する2人からは、鬱屈した想いを抱えたままどうすることもできず、刹那的な関係で痛みを忘れようとする心の叫びが聞こえてくるようだ。さらに、青紫の光に照らされ、夜の学校に一人佇む岡田、ナリヒラは町の工場の貯蔵タンクを見つめる後ろ姿が切り取られており、どんよりとした灰色の空模様が彼の心の模様を映し出しているかのように感じられる。
4種それぞれのイメージビジュアルには、青い春のその瞬間にしか存在しないヒリヒリするようなエネルギーが詰め込まれ、誰もが通過してきた、甘く、ほろ苦い過ぎ去りし日の青春が描き出されている。
ストーリー
大阪の端っこのとある町。深夜の住宅地で、中年の男が殺害される。犯人は高校生だった。この町の高校2年生のえん(松本穂香)は、彼氏をころころ変える親友の琴子(中田青渚)と退屈な日々を送っていたが、琴子がサッカー部のナリヒラ(小室ぺい)に一目惚れしたことで、二人は徐々にすれ違うようになっていく。同じ高校に通う純(片山友希)は、母が家を出ていったことを無視し続ける父親に何も言えぬまま、放課後ショッピングモールで時間をつぶす。ブルーハーツを聴きながらふと通りかかった屋上で、東京から転校してきた伊尾(金子大地)と会い、求めるものもわからぬまま体を重ねるようになる。偶然ナリヒラの秘密を知るえん。急接近した二人を見て見ぬふりをする琴子。琴子に思いを寄せる、サッカー部キャプテンの岡田(甲斐翔真)。思いの捌け口を見つけられない純。田舎に閉じ込められた自分と義母を重ねる伊尾。変わらない町―。そんなある朝、父親殺しの犯人が逮捕され……。郊外の気怠い空気とそれぞれの感情が混じり合い、物語は疾走していく。
(c)2020『君が世界のはじまり』製作委員会