日本の人気アーティストが一堂に会する春の野外音楽フェス「METROCK(メトロック)」。今年も東京&大阪で開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を受けてやむなく中止が決定。
くしくも、本日23日は東京公演初日が予定されていた日。参加予定者からの惜しむ声が多く寄せられた結果、ABEMAでは「少しでも音楽を楽しめるような機会を作りたい」として、番組内では過去のMETROCKのライブ映像に加えて、"STAY HOME LIVE"と題し、各アーティストの「遠隔ライブ」も届けられた。
その中の一組でもある、SKY-HI(日高光啓)にZOOMインタビュー。コロナの最中でも新作『#Homesession』の公開、YouTubeライブ配信を積極的に行うなど、アーティストとしてすべきことを愚直に行ってきた彼が思ういまの現状とは。
「オンライン人狼」を初体験
−−日高さんは以前から遠隔ライブされていたりと、もはや配信ツールをうまく使いこなしている印象です。
SKY-HI:なんだかんだ、そうした形での出演やインタビューが多くなってきましたね。ただ、誰かとのクロストークのときは気になっちゃいますね。「ここで俺も入りたい!」っていうタイミングが結構あるので(笑)。さっきはCreepy Nutsと一緒だったので話しやすかったです。二人とも共演経験があったし。R(指定)と会う……画面上だけど、1年ぶりぐらいかな?それを考えると嬉しい。
−−在宅中はどんな過ごし方をされているんですか?
SKY-HI:「コロナ鬱」っぽくローになっているか、ひたすら音楽作るの繰り返しですね。あ、でもこの前空いた時間に「オンライン人狼」をはじめてやりました。栗原類くんがめちゃくちゃ強くて(笑)。自分のバンドメンバーやダンサーのみんなとZOOM飲みもしています。
“勝ち目”しかない準備をしていた矢先の中止
−−開催するはずだったMETROCKの公式動画インタビューでは「とんでもねえことにしますよ」と、初出場にかなり気合が入っていらっしゃってましたね。
SKY-HI:はい。やる前は「METROCK、バチクソ獲りに行くぞ!」っていうことで気合を入れて、“勝ち目”しかない準備をしていたんです。毎回、ライブやフェスでは音源にないものを作っていくんですけど、今回もメトロック用のネタも(二、三)用意していて。
−−気合の理由として、なにかMETROCKに思い入れがあったんですか?
SKY-HI:これまでずっと出たいなと思っていたんですけど、ツアーとかぶっていたりで調整できなかったんです。METROCKって、出るアーティストの音楽的も幅広いし、登竜門的なところもあるので、そこも含めて「かましたいな」と思っていて。だから今年は去年の段階から「絶対空けとこう」となっていたのに……この失望たるや目も当てられない(苦笑)。
−−それでも、今の日高さんからは明るい雰囲気が見て取れます。
SKY-HI:コロナ禍になっても止まっている訳にはいかないですし、動いてたらやる事がたくさん見つかってきたので、ライブだったりコンテンツの発表だったりは、今後立て続けにできると思っています。周りからは「一層活発に動いてるね」って言われて複雑な気持ちになるぐらい(笑)。
「ネガティブな日」を作ることは大切
−−さきほど「ただひたすら曲を作っている」と語っていましたね。他の娯楽にあまり目が向かないのはなぜなのでしょうか。
SKY-HI:日々生活していても、後ろ向きなニュースだったり、殺伐としたSNSが目に入るじゃないですか。情報を入れたところで前向きになれないのであれば、自分はひたすら曲をクリエイションして「排出」する方を選ぼうと。いまは曲作りに没頭する瞬間が、唯一のメンタルケアと言っても過言じゃないですね。
−−では、音楽以外の職業なりについている人が、メンタルを平静に保つのに効果的な方法には何があると思いますか?
SKY-HI:2つあるような気がしています。まず、ネガティブなことをひたすら考えまくること。ネガティブなことを考えないようにするのって、逆に不健康だと思うんですよ。僕は「ネガティブなことが多すぎるな」って思ったら、その日はずっとネガティブなことを考えるようにしていて。でも、その反動でめちゃくちゃ曲作りに没頭できるようになったんです。「気楽にネガティブ、思慮深くポジティブ」ってよく言ってるんですけど、「よ~しネガティブになるぞ」ぐらいのマインドでやってみてほしい。
ーーその先には明るみが待っていると。
SKY-HI:あとは自粛期間中に「かんたんな目標」を作ることですかね。“自分の出身高校の過去問を解いて満点を目指す”などくだらなくてもいい。目標があると生きる糧になったりするので。
−−ありがとうございます。最後にメッセージあればお願いします!
SKY-HI:程度の差こそあれ、いま世界中みんなが大変だと思うんです。食うや食わずの人もいれば、仕事なくて大変だよって人もいるだろうし、「遊びに行きて―のに」って人もいるし。でも、ここで踏ん張っていればこれ以上は下がらない。
自粛が明けて「こういうふうに生きていく」と決まっている人はいいですし、決まっていない人も、生きていれば自分が乗るべき波が来ると思います。僕は、この期間で「一生音楽を作り続けて生活していけんじゃねーかな」と思えるようにまでなったところです。ネガティブを受け止めて、思慮深くポジティブに一緒に生きていきましょう!
ライブ情報
「メトロック(METROCK) 2020」
※大阪・東京会場ともに開催を断念。年内中の延期開催を検討中。
※購入済みチケットは払い戻し。払い戻し詳細は決まり次第オフィシャルサイトにて発表。
テキスト:東田俊介