あっという間に先の手が思いつく「早見え」の将棋棋士にとって、持ち時間は5分でも長いようだ。“親方”の愛称でファンに親しまれる田村康介七段(44)が5月29日、中川大輔八段(51)との放送企画の対局で対戦。持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算という、超早指しルールで戦ったが「5分じゃ長そう。3分ぐらいでいい」と語り、共演者や視聴者たちを驚かせた。
田村七段は自身の対局だけでなく解説の際にも、局面から候補手、さらにはその先を読むのが早い「早見え早指し」の棋士として知られている。この日の対局でも、多くの棋士がその持ち時間の短さに手こずるルールの中、中川八段と三番勝負を涼しげな顔を展開。2勝1敗で勝ち越し、さらに1局目では敗れたものの、通常20分はかかる将棋をわずか8分ほどで終わらせる超速ぶりを見せた。
対局のスピードでも驚かせた田村七段だが、さらに周囲を驚かせたのが対局後のコメントだ。早指し戦を得意としている山崎隆之八段(39)から、対局の感想を求められると、中川八段が「5分・5秒はちょうどいい時間設定。これ以上短いと、50代にはいっぱいいっぱい」と話したが、田村七段には「早いには早いけど、最初の時間が5分じゃ長そうなんで、3分ぐらいでもいいかもしれないですね」と、あっさり言ってのけた。
これには中川八段も反応し「田村さんなら2分でいい。序盤40手ぐらいまでパパっとやっちゃえば、(時間も増えて)6分半ぐらい残る。それなら比較的ゆっくり指せる」と語ると、田村七段も再び「序盤を飛ばすと結構時間が増えてくるので、(3分でも2分でも)あんまり変わらないかもですね」と、余裕といった口ぶりだった。
このやりとりには、過去に同ルールで「AbemaTVトーナメント」に出場経験があった山崎八段も「すごいですね…見習いたいと思います」と呆然とするしかなかった。
(ABEMA/将棋チャンネル)