政府が今月中旬を目途に導入を目指しているのが、新型コロナウイルス陽性患者との「接触確認アプリ」。いま世界では、スマートフォンのアプリを活用した感染状況把握の動きが進んでいる。
例えば中国では、健康コードで異常がないことを示さないと商業施設などに入れないという。登録された個人情報と移動履歴で感染状況を把握、人々の動きを“監視”する形で、感染拡大を防止しようという仕組みだ。
では、日本はどうなるのか。接触確認アプリに関する政府の有識者会議で、委員として議論に加わった藤田卓仙氏に話を聞いた。
「日本でいま計画しているものの目的としては、各個人の行動変容。自分の行動がどのように変わったか、他人とどれくらい接触しているかを自分で把握して、なるべく余計な接触を避けようというところを主な目的としている」
陽性者と接触したことが分かれば、外出を避けたり相談機関に連絡するなどの行動をとれるというのが、日本で導入される接触確認アプリのメリットだという。アプリの導入は任意で、導入した人たち同士の接触を端末に記録。この際、位置情報は取得せず、“誰とどこで接触があったか”については特定されないため、一定のプライバシーが保たれる。
「スマホの中に匿名化したIDで『◯番の人と、この時間に接触しました』という記録が14日間溜まっていく。その溜まっているデータの中で、『◯番のIDの人が陽性』だと判明した場合に、『あなたはこの14日間の間に陽性の人と接触しました』という通知が届く仕組みになっている」(同)
接触記録についてはBluetoothを活用し、通知が届けば「自分が濃厚接触者」である可能性を把握できる。このアプリが感染の波を抑える切り札となるのか。藤田さんはアプリの運用に向け解消しなければいけない課題があるという。
「やはり普及率が一番の課題だと感じている。例えば、シンガポールで(普及率)3割ぐらいで、十分に機能しなかったという話も聞いている。単に普及すればいいだけではなくて、Bluetoothをオンにしていただかなければならない。韓国では導入の義務化をしているが、先日クラスターが再発生したという話が出た時に、みんなそのアプリをオフにしていたという話がある。やはり使えるものであっても、オフにされてしまうとクラスター対策には使えない。有識者会議の中ではそこまで議論されなかったが、こういったアプリを導入することを条件に、万が一陽性者と濃厚接触したという通知が来た場合に保健所に連絡したらPCR検査を優先的に受けられるとか、わかりやすいメリットを政策的に作っていくことでより理解が得られたり『それなら入れてみよう』と思っていただけるのでは」(同)
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)