拉致被害者・横田めぐみさんの父・横田滋さんが亡くなったことを受け、曽我ひとみさんが6日午前、会見を開いた。
曽我さんは「とても優しくて、笑顔が素敵な人でした。めぐみさんも滋さんに似て、とても優しい人でした。40年間、自分のことを忘れずに一生懸命に活動して、自分を待っていてくれたということは、めぐみさんにも絶対に通じていると思います」とコメント。滋さんに宛てた手紙を読み上げた。
その上で「ただ、皆さんもご高齢になられているので、本当に早くこの問題を解決していかないと、会うことができず、思いを胸の内にしまいながら亡くなってしまうので、もうそんなことはやめてほしいです。すぐにでも会談を実行して、皆が家族のもとに一日も早く帰れるように、これまで以上の力を尽くして欲しいです」と話していた。
■曽我ひとみさんの手紙
6月5日2時57分、横田滋さんが87歳でお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈り致します。
第一報は、昨日仕事だったため、拉致対策本部からでした。とにかく信じられなくて、頭が一瞬真っ白になり、何も考えられませんでした。
少し落ち着いてきたら、私が帰国をしてからの出来事が次々と思い出され、悔しくて悔しくて、こんなに頑張ってきたのに、めぐみさんに会うことなく天国に旅立ってしまいました。お元気な時にもっと手紙を書けばよかったと、今更ながら後悔しています。
今日はあえて「めぐみさんのお父さん」と呼ばせていただきます。初めてお父さんとお会いしたのは羽田空港でしたね。私が24年ぶりに日本に帰国できた日です。「曽我さん、おかえりなさい」と優しく声をかけてくれました。めぐみさんのことを思い、泣きながらカメラのシャッターを押していた姿は、今でも深く印象に残っています。
お父さんはとても優しく、いつも私と会うと、「めぐみと一緒にいてくれてありがとう。何か思い出したら聞かせてくださいね」と笑顔で話されていました。家族会初代会長として発足以来20年、めぐみさんを探し続けて40年以上活動を続けられ、どんなに大変だったでしょう。私にはほんの少ししかわかりません。
でも一つ、はっきりとわかることがあります。それは、私の人生を救ってくれたことです。心から感謝をしても、しきれません。なのに私は何の恩返しもできませんでした。めぐみさんに会わせてあげたかった。たくさんたくさん、話をさせてあげたかった。しかし、それも今は叶わなくなりました。今の心境を表すなら悔しい、悲しい。心が痛い。様々な思いがぐるぐる駆け回っています。
今、世間はコロナ一色に染まっていることから、今年は何の活動もできていませんが、この痛恨を力に変えて、お父さんの分まで活動を続け、一日も早い解決に向かって頑張ります。お父さんも天国で応援して下さい。ゆっくり休んで下さい
令和2年6月6日
曽我ひとみ