ふくだももこ監督最新作、松本穂香主演映画『君が世界のはじまり』(7月31日より全国ロードショー)の予告映像とポスタービジュアルが解禁となった。
2016年に短編小説「えん」で第40回すばる文学賞佳作を受賞、映画や舞台、ドラマの演出も手掛け、もはやジャンルのボーダーラインを軽々と飛び越え、新時代の先頭に立つカルチャーアイコンの一人となりつつあるふくだももこ。本作では、彼女の原点である2本の短編小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を再構築し、一本の映画にするというプロジェクトが実現した。脚本家は、『リンダリンダリンダ』、『もらとりあむタマ子』、『愚行録』など、その時代に傑出する話題作を手掛けてきた鬼才・向井康介。「40歳を越えて、もう青春映画を書くことはないと決めていた」と語る円熟の脚本家が、ふくだ監督の言葉のひとつひとつに突き動かされ、青い春のその瞬間にしか存在しないヒリヒリするようなエネルギーを新たなストーリーに結実させまた。主演には、『おいしい家族』(19)以来、ふくだ監督と二度目のタッグとなる松本穂香を迎え、魂を焦がす青春映画の新たな傑作がここに誕生した。
ある帰り道、ふざけながら自転車を押して並んで歩くえん(松本穂香)とナリヒラ(小室ぺい)、廃墟と化した立ち入り禁止の旧講堂で授業をサボり、タバコを手にするえんと琴子(中田青渚)、学校帰りに寄ったショッピングモールでどしゃぶりの雨をやり過ごすえん、ナリヒラ、岡田(甲斐翔真)の3人、ショッピングモールの非常階段で暇を持て余す伊尾(金子大地)と純(片山友希)。解禁された予告映像では、誰もが一度は経験したことのある、青春の刹那的な時間が次々と映し出されていく。懐かしくもあり、この瞬間にしか得られない特別なものでもあり、時に息苦しくも感じる青い春そのもののような時間だ。
それぞれの印象的なセリフとともに映し出される映像の中、「この町は、一方通行の思いばかりだ」という言葉を皮切りに、退屈な町で燻る高校生たちの溢れる想いが交差しはじめ、ある事件が発生するー。希望と絶望を同時に抱く彼らが、その想いを爆発させた時、一体何が起きるのか…まさに、彼らの“世界のはじまり”を予感させる映像に仕上がった。
さらに今回、予告映像の中ではスナックを経営する、琴子の母親役江口のりこや、純の父親で、娘に無視を決め込まれる古舘寛治ら実力派キャストの姿も明らかになっており、ネクストブレイク必至の若手俳優らとともにどんな物語を紡ぐのか、期待が高まる内容だ。
あわせて解禁されたポスタービジュアルでは「ブルーハーツの歌声で、やっと息ができた」とある通り、劇中では、「人にやさしく」「キスしてほしい」など、彼らの想いを象徴するかのようなブルーハーツの名曲が使用されている。世代を超えて愛される名曲の数々が、少年少女たちの言葉に出来ない心の叫びを、切なく、熱く、観る者の胸の奥に届けています。
ストーリー
大阪の端っこのとある町。深夜の住宅地で、中年の男が殺害される。犯人は高校生だった。この町の高校2年生のえん(松本穂香)は、彼氏をころころ変える親友の琴子(中田青渚)と退屈な日々を送っていたが、琴子がサッカー部のナリヒラ(小室ぺい)に一目惚れしたことで、二人は徐々にすれ違うようになっていく。同じ高校に通う純(片山友希)は、母が家を出ていったことを無視し続ける父親に何も言えぬまま、放課後ショッピングモールで時間をつぶす。ブルーハーツを聴きながらふと通りかかった屋上で、東京から転校してきた伊尾(金子大地)と会い、求めるものもわからぬまま体を重ねるようになる。偶然ナリヒラの秘密を知るえん。急接近した二人を見て見ぬふりをする琴子。琴子に思いを寄せる、サッカー部キャプテンの岡田(甲斐翔真)。思いの捌け口を見つけられない純。田舎に閉じ込められた自分と義母を重ねる伊尾。変わらない町―。そんなある朝、父親殺しの犯人が逮捕され……。郊外の気怠い空気とそれぞれの感情が混じり合い、物語は疾走していく。
(c)2020『君が世界のはじまり』製作委員会