2020年7月11日(土)より放送スタートするTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』(SAO アリシゼーション WoU)最終章。シリーズ最長のボリュームを誇り、全4クールに分けて描かれた《アリシゼーション》編がついに最終章を迎える。アンダーワールドで繰り広げられる《人界》軍の整合騎士たちと“闇の軍勢”との戦争の結末は、いったいどうなってしまうのか。
【地上波同時・独占先行】《アリシゼーション》編 、ここに完結!「SAO アリシゼーション WoU」#13 7月11日(土)24時~
今回、ABEMA TIMESでは同作のアニメーションプロデューサーを務めるA-1 Pictures・金子敦史氏にインタビューを実施。アニメ『SAO アリシゼーション WoU』が現場でどのように生み出されているのか、制作秘話に迫った。
【前回の記事】
「AIに人権はあるのか?」アニメ『SAO アリシゼーション』 アニメーションプロデューサー・金子敦史氏が語る可能性
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―― 《アリシゼーション》編は『SAO』シリーズの中でも最も長く、スケールが大きいと言われていました。
金子:第1期の頃は制作進行として関わってましたが、当時の代表取締役だった落越(友則)が、何かの媒体で「アニメ『SAO』はA-1 Picturesで全部やる!」というようなことを言ったんですよね。そのことを記事で読んだときに「あぁ全部やるんだな……」って思ったのは覚えています(笑)。なので、いつかアニメ化されるだろうなとは思っていました。
―― それ以外でも『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』のED後に、ラースという《アンダーワールド》を作っている会社と菊岡が出てきたじゃないですか。あれも何かのきっかけだったのでしょうか。
金子:あれは「ああいう終わり方で締めたい」という伊藤智彦監督からのサプライズでしたね。でも、たったのあの数秒で新しいシリーズが始まるんだろうなという期待感はかなり高まったんじゃないかなと思います。
(C)2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project
―― 金子さんはアニメーションプロデューサーとして参加されていますが、実際に作品が動き出してからは、どのようなことをするのでしょうか?
金子:プロデューサーという役職の方はたくさんいるので、(一般の人から見ると)誰が何をしているか分からないですよね。僕はアニメーションプロデューサーなので、現場スタッフやアニメ制作のスケジュール管理などが主な仕事です。まず作品に対する理解をしっかりと深めた上で、アニメ制作の基盤となる主要スタッフを集めるところから始まり、どういう方にどういうお仕事をどのくらいの期間でお願いするかを各話数の制作開始よりももっと前に決めていきます。
アニメには絵の部分だけでも作画・仕上げ・背景(美術)・撮影など、他にもいろいろなセクションがあって、その方々のおかげで作品が成り立っています。TVアニメ1本(1話数)を制作するだけでも、何十、何百というスタッフが関わっているので、その現場のまとめ役のような感じですね。
―― アニメーターさんに仕事を依頼する際、監督とは事前に相談するのでしょうか?
金子:物語の肝になるシーンだったりすると事前に「このシーンは誰々さんにお願いしようと思っているんですが」という話を監督や話数演出に相談したりしますが、アニメはたくさんの作品が同時に動いているので、作品性を考えて「アクションが多いから、この方にお願いしたらカッコよくなりそう」とか、「この方とお仕事をご一緒してみたい」と思った方に声をかけることの方が多いですね。
今回、監督をされている小野学さんは、僕ではなく、EGG FIRMの大澤信博さん(『SAO』のチーフプロデューサー)とA-1 Pictures代表の柏田が連れてきてくださった方なんです。以前から小野監督の存在は知っていましたが、『SAO』はこれまで伊藤智彦さんが監督をされていたので、《アリシゼーション》編で小野監督に代わったことは当時はとても新鮮でした。
■「こんなに大量の絵を…」アニメーターの腕が光るアクションシーンも必見
―― 今回の『SAO アリシゼーション WoU』は、どのようなスタッフが集まったのでしょうか? 特徴などを教えてください。
金子:話数毎に見所を話し出すとキリがないのですが(笑)! 僕は、観てくださる方々が《アリシゼーション》編に期待してくれているのはアクションだと思っているんです。アクション作画のスタッフは、『SAO』の第1期は鹿間貴裕さんと柳隆太さん、第2期は竹内哲也さんを中心にいろいろなアニメーターさんが、その時々の『SAO』のアクションを作ってきてくださいました。
ただ、今はアニメの作品本数も多いですし、上手いアニメーターさんほどいろいろな会社とコネクションを持っているので、お願いしたくてもスケジュールが合わないこともあります。それでもやはり求められている期待には応えたいので、監督が代わったこともあり、これまでの『SAO』とは違う、新しいアニメーターさんにも積極的にお願いしていこうと思ったんです。
『SAO アリシゼーション WoU』1stクールでは、アクション作画監督を菅野芳弘さんにお願いしています。劇場版のころから僕が仲良くしているアニメーターさんに「ものすごく上手い人がいる」と聞いていて、それが菅野さんだったんです。実はその話を聞いてから3年間くらいお声がけはしていたんですが、なかなかご一緒することができず……。今回の《アリシゼーション》編でやっとご一緒することが叶いました。
僕は菅野さんが参加してくださることが本当にうれしかったですし、ぜひみなさんに菅野さんのことを知ってほしい。もう、仕事っぷりがすごいんです。「どうやったらこんなに大量の絵を限られた時間で描けるんだ?」と。本当に職人なんです。菅野さんが新しい『SAO』のアクションを創り上げてくれています。
―― 最終章となると、アクションシーンが多くなりそうです。
金子:菅野さんには『SAO アリシゼーション』1stクールの頃からアクション作画監督をお願いしていて、第1話~第4話でもアクション作画監督をやってくださったのですが、一度離れなければいけない事情があって。その後『SAO アリシゼーション WoU』で再び戻ってきてくださり、3rdクールの第1話「北の地にて」からメインでアクション作画監督をやっていただいています。
また、7月から放送の最終章では、菅野さんに加え、丸山大勝さんという若手アニメーターにも声をかけました。丸山さんは『SAO』シリーズには初参加となるアニメーターさんなのですが、すごくお上手で、しかもオールラウンダーなんです。剣戟も拳と拳の戦いも上手い、しかもエフェクトも描ける。制作デスクの直田の推薦も有り今回、菅野さんと一緒にフロントを張っていただこうと思ってお願いしました。ぜひお二人で個性の違うアクションにも注目していただけるとうれしいです。
―― 制作プロデューサーとして、ファンの反応は気にしますか?
金子:リアルタイムでは追っていませんが、どのくらいの反響やコメントがあるのか、などは見たりすることもあります。その中で仮に否定的なコメントがあったとしても、あまり気にしないようにしているというか、一生懸命観ていただいた上で感じたことを発信してくださっていると思っているので、それが原因で落ち込んだりすることはないですね。それよりも(作品を)観てくれないことのほうがずっと悲しい。ポジティブなこともネガティブなことも、言ってくれるほうがうれしいですね。
(C)2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
▶︎インタビューの続きは後日公開!