「笑顔に心を打ち抜かれました」ジル役・木村拓哉との印象的な思い出とは 『映画ドラえもん のび太の新恐竜』今井一暁監督インタビュー【前編】
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 2020年は漫画「ドラえもん」が誕生してから50周年、そして映画化40周年となるメモリアルイヤー。8月7日(金)に、記念すべき長編映画40作目『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が全国公開となる。シリーズ最高の興行収入53.7億円を打ち立てた『映画ドラえもん のび太の宝島』(2018)の監督・今井一暁と脚本・川村元気が再びタッグを組み、「恐竜」というテーマに挑んだ。

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 のび太が双子の恐竜・キューとミューに出会って始まる物語は、映画1作目『映画ドラえもん のび太の恐竜』とは異なる、全く新しいオリジナルストーリー。今回、今井監督に作品への思いやこだわり、ジルを演じた木村拓哉との思い出や主題歌を担当したMr.Childrenとの楽曲制作の裏側などを振り返ってもらった。

1作目と同じ「恐竜」というテーマへのプレッシャー

「笑顔に心を打ち抜かれました」ジル役・木村拓哉との印象的な思い出とは 『映画ドラえもん のび太の新恐竜』今井一暁監督インタビュー【前編】
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――今井監督は、ドラえもんの映画作品で監督を務めるのは2回目になります。『のび太の宝島』を作った際と今回で、気持ちの違いなどはありましたか?

今井監督:同じ『映画ドラえもん』ではありますが、扱うものもテーマも違いましたし、スタッフも大きく変わるので新しい作品を作るといった思いで臨みました。あまり前作がこうだった、といったことは気にしませんでしたね。

――『映画ドラえもん』としては記念すべき40作目ということで、普段と違うプレッシャーはありましたか?

今井監督:40周年の作品というよりも、テーマが「恐竜」であることへのプレッシャーが大きかったですね。『映画ドラえもん』の第1作目が『映画ドラえもん のび太の恐竜』で、新体制・新キャストになった2006年の『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』と、何かあるごとに「恐竜」というテーマに戻っていくのでチャレンジングというか…。1年という制作期間で出来るのかというのが怖かったです。

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――今回「恐竜」がテーマになった経緯を教えてください。

今井監督:最初に藤子プロさんのほうから、次の映画のテーマは「恐竜」でいきたいと話がありました。「恐竜」というお題だけ最初にあって、あとはどんな話でも良いよと。「ええっ…恐竜って簡単に言っても…」と思いましたね(笑)それから、今の時代にふさわしいものを恐竜でどう作ろうかと脚本家の川村さんと一緒に話し合って作っていったという形でした。

――「のび太の新恐竜」というタイトルは川村さんと話し合ってつけられたのですか?

今井監督:タイトルに関しては、僕というよりは川村さんの強い思いがありました。今回『新恐竜』がいいんじゃないかという川村さんの考えで決まりました。

「自分の子供のように可愛いと思って欲しい」双子の恐竜・キューとミューへの思い

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――作品の中で、特にこだわった点や注目してほしいシーンを教えてください。

今井監督:いつものセルアニメのドラえもんとも、『のび太の恐竜』とも違う点は、描く恐竜を3Dにしたというところです。3Dは今、色々なところで使われているので当たり前じゃないかとなるかもしれないですけど、それをセルアニメの世界の中に落とし込むところがすごく難しくて…。

下手すると浮き出てしまうし、かといって3Dをセルとわからないようにすると、それだと意味がないなと。恐竜の持っている存在感や巨大感を浮きだたせたかったので、あまり抑え込んでもだめだし…というバランスは最後まで苦労しました。また、3Dのアニメーターの方々に動きをすごく良いものを作って頂いたので、セルアニメのほうも負けないように工夫しました。

――冒頭の恐竜の骨のシーンもとても印象的でした。

今井監督:今の子供たちが恐竜に初めて接するのは骨なんですよね。テレビで3Dなどは見ることができるけれど、実物となると骨しかない。僕も色々恐竜のことを本などで調べましたが、とりあえず見なきゃと思って今回福井の恐竜博物館などに行きました。その時に骨を見て「本当に恐竜は居たんだ」という実感が沸いたので、物語もそこから始められたらいいんじゃないかなと思いました。のび太が、化石に触れるシーンが僕の中で物語のスタートなんですが、生命の歴史に触れるところは大事にしたかったシーンです。

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――難しかったシーンや苦労したシーンはありましたか?

今井監督:前作の『のび太の宝島』はどんどん次から次へと物事が起きて冒険して…とアクション要素が多かったのですが、今回は前半部分の日常のドラマ部分を描くのが地味だけど難しいなというところがありました。キューとミューを卵からかえして育てる、ある意味ペットを飼うような、お父さんとお母さんにとっては子供が初めて産まれて「あぁどうしよう」と戸惑った時のような…。そういった、のび太とキューの最初の絆をきちんと描けていないと、物語としては成功しないとおもったので、そこをどれだけ見て頂く人に共感を得てもらえるかを考えて作るのが難しかったです。

――キューとミューが最初に出てきたシーン、とても可愛かったです。

今井監督:あそこで悩殺させて心をわしづかみにしないと、と思っていました(笑)親であれば自分の子供みたいに、子供も自分のペットみたいに「あぁ可愛い…」と思ってもらいたくて。肝のシーンでした。

「心を打ち抜かれました」ジル役・木村拓哉との印象的な思い出

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――今回ジルの役を木村拓哉さんが演じられました。演技の感想はいかがでしたか?

今井監督:ジルは、最初は悪者に思わせて実はアツい思いを持った恐竜が好きな科学者という設定です。イメージとして、カッコよくて色気のあるような声が合うんじゃないかと考えていた時に、木村さんがやってくれるといいなと思ったんです。ダメ元でオファーしてもらったのですが、受けてくださった時はびっくりしました。アフレコで、一発目に声を聞いた時は「あぁ当たりだ」と。本当にイメージしていた以上のジルでした。

――打ち合わせで印象的だったことはありましたか?

今井監督:木村さんにジルのキャラクターの説明をしていた時に何かのタイミングで「ニコッ」と笑ってくださって。心を打ち抜かれました(笑)「この人はかっこいい~!」って。笑った時の顔が、同性からみても素敵でチャーミングで。

あと、ジルはアツい恐竜への思いがあるのに照れ隠しのような形で悪ぶっているところがある、という説明をした時に、納得したように「うんうん」と頷いてらっしゃったのが印象的でした。木村さんが「自分とジルは似ているかも」と話していたインタビュー記事も読んだので、木村さんにもそういった点で共感するところがあったのかな?と、僕の勝手な推測です。

※主題歌を担当したMr.Childrenとの楽曲制作秘話とは?インタビュー後編

【ストーリー】

のび太が恐竜博の化石発掘体験で見つけた1つの化石。絶対に恐竜のたまごだ!と信じたのび太が、ドラえもんのひみつ道具“タイムふろしき”で化石を元の状態に戻すと…生まれたのは双子の恐竜!しかも、未発見の新種だった。

のび太に似てちょっと頼りないキューと、おてんばなミュー。個性の違いに苦労しながら、親のように愛情たっぷりに育てるのび太だったが、やがて2匹が現代で生きていくには限界がきてしまう。

キューとミューを元の時代に返すことを決心したのび太は、ドラえもんや仲間たちと共に6600万年前へと出発!キューやミューの仲間の恐竜たちを探す旅がはじまった。

ドラえもんのひみつ道具や恐竜たちの力も借りながら、恐竜の足跡を追って進むのび太たちが辿り着いたのは謎の島。恐竜が絶滅したとされる白亜紀で待ち受ける、キューとミュー、そしてのび太たちの運命とは―!?

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020

映画ドラえもん
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