2015年発売30周年を迎えたファミコン版「スーパーマリオブラザーズ」だが、今だに記録更新にストイックに挑み続けるゲーマーたちが存在する。4月13日、スーパマリオの最速クリア記録を更新し4分57秒260でクリアしたdarbianもその一人だ。彼はここ数年このクラシックゲームをいかに早くクリアするかを追求する「スピードラン」の第一人者として知られている。

このクリア動画世界中のメディアなどではこぞって「世界最速」という言葉が踊っているが、その凄さを伝えるにはさらなる説明が必要だ。

「スピードラン」はその名の通りタイムアタックのことだが、単純にスタートから最終面クリアまでの速さを競うAny%やスーパーマリオの場合はワープ無しでタイムを競う、ゲームによっては様々なクリア率の条件を付けタイムを競うなど、かなり奥深い世界だ。

今回darbianがワールドレコードを更新したスーパーマリオのAny%の世界記録には明確なルールか存在する。「連射アシストは禁止」「コメント追加用のエミュレータを追加しどのハードでプレイしたか、複数の方法使った場合の明記」など。その他にもプレイヤーならではのチート防止の為の細かいルールは長年の記録更新の中で培われた蓄積によるものだ。

上記のようにバーチャルコンソールなどのエミュレータなどで理論上への限界を追求する競い合いもあるが、今回は本物のNES(海外版ファミコン)でプレイした映像と言うこと、つまりリアルのゲームプレイで達成しているのだ。

「darbian」の新世界記録「4分57秒260」は、自身が2016年1月に達成した「4分57秒427」を0.167秒更新した。映像を見る限り最終面8-1でのタイム短縮が記録更新のカギとなっているが、昨年10月に「4分57秒627」ワールドレコードを樹立した際に「あと0.35秒縮めることができる」と宣言した公約通りで、かなり前から本人の中では理論的には可能な記録だったのだろう。

このプレイのユーチューブ映像には「自分のこのカテゴリーにおけるポテンシャルに到達した。私の探求はこれで終わり」とスーパーマリオのスピードランからの引退と取れるコメントが書き込まれている。今後彼の記録を更新するプレイヤーは必ず登場するだろうが、コンマ数秒を争う攻防はもはや娯楽としてのゲームという枠組み以上の凄みを感じさせる。