スペースシャワーTVが独自に編成、無料放送を行うAbemaTV・SPACE SHOWER MUSIC CAST(スペースシャワーミュージックキャスト)にて、「槇原敬之 MUSIC VIDEO SPECIAL」が放送されている。この番組はタイトルの通り、槇原敬之のMVを特集したもの。日本のトップミュージシャンとスペースシャワーTVが送るプレミアムライブ番組「SPACE SHOWER TV “LIVE with YOU”」に槇原が出演したときの模様も番組内には組み込まれており、1夜限りのスペシャルなライブシーンを追体験することができる。

槇原敬之と言えばデビューから25年以上にわたり、時代も世代も問わない普遍的な名曲を産み出し続けてきた稀代のシンガー・ソングライターで、SMAP「世界で一つだけの花」の作詞・作曲を手がけた人物としても有名だ。そんな槇原のこれまでの功績を辿るべく、おさえるべき鉄板曲5つをご紹介。

▪︎No.1

軽快なリズムにのせて、キャッチーに恋を歌う王道のポップソング。しかし、その歌詞の内容は付き合いたてのピュアな若者カップルを描いているようで、「もしかしたら『泥沼の愛憎劇の果て、きちんと付き合い始めた2人の物語』なのでは」と勘ぐってしまうのは行き過ぎだろうか。「お互いのことをもう探るのはやめよう」「今までで一番素敵な恋をしようよ」など、ある程度恋愛経験を積んだ者同士じゃないと交わされないような意味深な言葉もところどころに散りばめられているし、「君の微笑みはみんなを幸せにする」と”僕”でなく”みんな”と歌われるところが、ようやく解禁された微笑みだということを想像させる。なにより「No.2」という位置をリアルに感じていた時期があるからこそ、「No.1」というポジションに憧れを抱くのではないだろうか…。事の真相はわからないが、そう解釈しながらこの曲を聞いてみると、それはそれで趣深い。捉え方は人それぞれですし。

▪︎冬がはじまるよ

1991年に発表された作品だけど、今でもウィンターシーズンの定番ソング。軽やかなハープの音から始まる、冬の訪れをよろこぶ恋人同士の物語だ。

それにしてもこの曲の「彼女」は突然泣き出したり、うれしそうにビールを飲んだり、小さなTVの中の雪にはしゃいだり、なんだか彼氏にどっぷり甘えたがりな女の子の印象を受ける。一方の「彼氏」は、彼女のことを大切にする覚悟の決まった非常に懐の深い男なんだなということが理解できる。加えて「これからもぼくを油断させないで」という歌詞から、わがままな彼女を肯定している感じすらある。

そんな2人のかわいらしい関係がありありと伝わってくる約4分のこの曲に、突き抜けた作家としての才能を感じる。

▪︎SPY

1994年にリリースされたシングルの表題曲で、デートをキャンセルされた男が偶然にも街で彼女を見かけてしまい、そのままスパイのごとく尾行するというダークな歌詞が印象的。「どんなときも。」が槇原敬之のお日様の部分を描いているなら、この曲では影の才能が爆発しているといっても過言じゃない。

1番のサビの頭では「だけど信じてる 信じてる」と彼女への想いをリフレイン。2番に入るとあっけなく彼女に裏切られる現場を目撃し、サビ頭で「シャレになんないよ なんないよ」と自問自答にも似た叫びが歌われる。ラストのサビでは”それでも彼女を信じたい”という執念深さが熱っぽく語られていて、思わず背筋が”ゾクッ”となる世界観が秀逸。ポップシンガーの作品としては珍しいフィードバックノイズで曲を締めくくっているところなど、ロックバンドさながらの攻めたアレンジ面も聴きどころの一つと言える。

▪︎もう恋なんてしない

この曲を数回聴いた者なら一度は「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対」と発するシチュエーションを考えてしまうはず。それほどこの言葉は印象に残る。パンチラインと言うやつですかね。また「もう恋なんてしない」と力強く打ち出した表題を歌詞の中で否定するという、とりわけ珍しい手法もこの曲の魅力。恋に落ちる瞬間っていうのはいつ何時訪れるかは、誰にもわかりませんからね。

槇原敬之を筆頭としたJ-POPシンガーって強引に言い換えると”大衆に向けた歌い手”ということだと思う。そういう意味でも、失恋してからの”2本並んだ歯ブラシの処理”についてや、”選んでもらった服の行方”なんかを細かく描写しているあたりが、この曲の普遍性を底上げしていて、時代を超えて共感を呼んでいく。

▪︎どんなときも。

槇原敬之という天才を世間に大きく知らしめるきっかけとなったのが91年に発表されたこの楽曲。どれだけの人がこの曲に背中を押されたのだろう。しかしながら、90年代のJ-POPシーンで生産された数多の応援ソングとはちょっとアプローチの仕方が違うように感じる。この曲は人を励ます言葉をストレートに歌ったものというより、”自分が努力できることをマイペースに続けていこう”という持続可能性提唱ソングと考えたほうがしっくりくる。

「消えたいくらい辛い気持ち抱えていても」「迷い探し続ける日々が答えになること ぼくは知ってるから」と槇原は歌う。これははっきりとしたメッセージソングなんだけど、作詞した自分もこの歌の中には存在していて、あくまで「こんな生き方もある」と提唱しているだけ。だから聞いていて熱苦しいなんて全然ないし、心地よいポップソングとして作られているから人の心にすっと入り込むことができる。デビューから間もない時期からこんな名曲を世の中にアウトプットしているんだから、やっぱり槇原敬之の才能はものすごい。

▪︎AbemaTV「槇原敬之 MUSIC VIDEO SPECIAL」

近年の発表曲や大ヒット曲のライブVer.などで番組は構成! さまざまなアプローチで魅せる槇原敬之の楽曲、AbemaTVでチェックしよう。

放送日:4月21日 23:00~24:00 / 4月22日 17:00~18:00 / 4月24日 23:00~24:00ほか

槇原敬之 MUSIC VIDEO SPECIAL | AbemaTV
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