「AbemaTimes」では、第88回アカデミー賞で作品賞&脚本賞をW受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』のレイチェル・マクアダムスに緊急インタビュー

数10もの神父による児童への性的虐待をカトリック教会が組織ぐるみで隠蔽した最低のスキャンダルを暴くボストン・グローブ紙の実在メンバー、サーシャ・ファイファーを演じたレイチェルは、本作での社畜演技が認められ、アカデミー賞の助演女優賞にノミネート! 仕事とオフの「バランス、取れているかしら?(笑)」と、ひょっとして自分自身もワーカホリック!?

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――カトリック教会が組織ぐるみで隠蔽した衝撃のスキャンダルを暴くボストン・グローブ紙の報道チームの正義に燃えましたが、こういう作品は絶対に出たいですよね!

出演を決める時は役柄に惹かれてということもあるけれど、この映画の場合はちょっと違って、キャラクターよりはストーリーに惹かれたわ。監督と脚本家の情熱に惹かれて、出たいと思ったの。これでもキャリアをここまで重ねているので、雇われ監督と心からこれを作りたいと思っている監督の差は、ちょっと話すとすぐわかるの(笑)。

今回の場合は間違いなく、本物の、ふたりが本当に作りたいと思っている情熱が伝わったので、それが出演理由ね。この事件についてふたりがどれだけ知っていたかと言うと、実際の記者たちよりも詳しかったのよ。サーシャ(レイチェルのモデル)に質問をした時、「たぶん監督に聞いたほうあがわかるんじゃない?前のことだから記憶があいまいで」ということもあったほどよ(笑)。

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――“ラブロマンスのクイーン”という呼ばれ方もしているので、そのイメージを代えてみようという想いもありましたか?

それはなかったわ。女優としてはひとつのイメージだけで定着することは好ましいことではないから、いままでもこれからもいろいろと異なるキャラクターを演じたいの。観客の視点に立って言うと、インディーズに全然興味がなくて大作系のロマコメを観る機会が多ければ、そういうイメージになってもしょうがないかな。

――ボストン・グローブ紙の部内でのチームワークが最高でしたわ! きっと撮影中も楽しかったと思いますが、マル秘エピソードをうかがっても?

いつも問題を起こす犯人はマーク(・ラファロ)ね(笑)。皆で同じ部屋のデスクにいるわけなので、学校の教室みたいな感じだった。話しちゃいけない瞬間に必ず、マークが何か言っちゃうという問題児で、皆で笑ったわ。マイケル(・キートン)は自分の部屋があるので、皆よりも偉い風を吹かしていたり、学校と仕事場が一緒になったサマーキャンプに行ったみたいだったわ。題材のわりに撮影現場の雰囲気はすごく楽しいもので、それは監督のおかげだと思う。作品へのリスペクトをきっちりと持ちながらも、現場の雰囲気はライトにすることができていたの。

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――ところで、ジャーナリストと同じように女優という仕事も世界中を飛び回っていて、プライベートな時間の確保も難しいと思いますが、現時点ではどうバランスを取って仕事をしていますか?

バランス、取れているかしら?(笑) 作品を次々とブレイクなしに入れないということは意識しているけれど。とういうのはこの仕事にとってオフもまたオンと同じくらい重要なことで、俳優はリアルライフを演じることが仕事だからよ。

自分にリアルライフがないと、おかしいわよね? わたしは旅が大好きで、ホテルの部屋に閉じこもっているのではなく、実際に足を運び、街に出れば地下鉄で移動して、バスルームを掃除するとか、そういうことが重要だと思っているの。皆が同じだとは思わないけれど、普段のことができることが自分を良い俳優にしてくれると思っているので、オフの時間を大切にしているのよ。

――そのほうがインスピレーションを得られますよね。“出ていく”だけでなく、“入れる”時間も大切ですからね。

確かに仕事に没頭している時は、家族や生活と自分を切り離してしまうことがあるわ。仕事にグッと入ると近視眼的になることがあって、長い時間現場にいて、帰って寝て、現場に行く生活になるからこそオフの時間は大切なのよね。ちょっとノマド的なライフスタイルもわたしには合っていて、ちょっとしたスパイスがわたしを豊かにしてくれると思っているの。

旅に出ていれば、いろいろなインスピレーションを得るけれど、特にいろいろな状況で旅をしていると身を置かないといけないから、その場に適合していく必要があるの。そのことによって得るものもあるのよ。18歳までは家族で一同にかいして三食食事をしていたので、正反対の生活を送っているけれど自分にとっては大切なのよ。

取材/文・鴇田崇

映画『スポットライト 世紀のスクープ』は、全国大ヒット上映中

Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

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