DOTAMAが4月24日に東京・渋谷のO-EASTなど4会場で開催されたフェス『SYNCHRONICITY’16 - After Hours -』に出演した。
DOTAMAといえば、ヒップホップシーンでは「フリースタイルダンジョン」をはじめ、さまざまなバトルで活躍するフリースタイルラッパーとしておなじみだが、実はジャンルを跨いだフェスでも人気のアーティストだ。DOTAMAがライブを行ったのはO-nest。出演時間になるとDJブースの中から登場した。
喝采の中で繰り出したのは、アルバム「ニューアルバム」の冒頭に収録された「HEAD」。勢いのあるバックトラックに合わせながらも聞き取りやすい発声でラップを繰り出す。続く「名曲の作り方」では、お得意の卑屈なスタンスのリリックをルーツレゲエのトラックに乗せてしっかりと聞かせた。
ブラジリアンな「chessmusic」を挟み、現代社会へのアイロニーを込めた「カリカチュア」、常に異端であり続ける自身について歌ったかのような「誰も知らない」と、実験的ながらもメロディアスなトラックの上で、ラッパー・DOTAMAの最大の特徴とも言える知的な側面を存分にアピールした。
『SYNCHRONICITY』に出演するのは3年ぶりだという彼は、ここで観客から挙げてもらった5つのお題でフリースタイルをする技を披露する。お題は「戦車」「生卵」「禁煙」「好きな歌が街にあふれて」「フジロック」。最初にDOTAMAが求めるバックトラックがすぐに流れないという連携ミスがあったが、そのトラブルすらもフリースタイルに盛り込んで一気に場内を沸かせた。
DOTAMAは「生卵」「禁煙」「好きな歌が街にあふれて」「フジロック」とお題をクリアするが、最後の1つをど忘れしてしまう。観客から「戦車」と教えてもらうと、その場で「俺は平和主義者だから『戦車』は必要ねえ」と歌い、即興とは思えない高いレベルの小噺で観客を驚かせた。
終盤に「カツカツで生き残って安定してるか分からんが前列のお客様楽しませ歓声」と早口でまくしたてる「音楽ワルキューレ2」でしっかりと最前列はもちろんO-nest全体をロックして、最後は彼の地元・栃木にあるショッピングモールについて歌った「イオンモール」を届けてステージを降りた。
さまざまなジャンルのアーティストが登場した『SYNCHRONICITY’16 - After Hours -』において、DOTAMAのステージは短いながらも間違いなくレペゼン・ヒップホップと言うにふさわしい内容だった。
Photo:上山陽介