実写映画の大ヒットでアメコミヒーローの代表格となった「アイアンマン」。2008年の映画化以降シリーズ作以降、続編も次々と作られスピンオフなどでもお馴染みだが誕生は1963年となんと53年もの歴史を持つ。そんなアイアンマンの過去のアニメシリーズから現代の実写版に至るまでの変遷をまとめた映像が登場し話題となっている。
トニー・スタークが自ら開発したパワードスーツを着用してスーパーヒーロー「アイアンマン」になるというコンセプト、50年も前にこのアイデアを思いついたのは驚きだが、元々のストーリーも哀愁を帯びたものだった。
トニー・スタークはアメリカの巨大軍需企業の御曹司で17歳でマサチューセッツ工科大学を主席で卒業という絵に書いたような天才設定だが、20歳の誕生味に両親が事故で他界、その財産と企業を受け継ぎ若くしてトップとなる―。
と、ここまではありがちな世襲の運命を背負った男という話だが、60年代に作られたオリジナル版ではベトナム戦争で兵器のテスト中に地雷を踏みゲリラの捕虜になり死にかけ、命からがら助かるもゲリラに武器の開発を強要され、偶然同じく捕虜になってたインセン教授とつるみ、こっそりパワードスーツを開発=アイアンマン爆誕!と割りと切なくも止むに止まれぬ事情でヒーローになるのであった。
そんなアイアンマン、その変遷を辿ると1966年にアニメ版を見る限りかなりイナタイ感じは否めない。ひとことで言うと全く強そうではないが、80年代に入るとかなり現代に似た軽快な動きになり、94年のアニメ作品になると、ほぼ別物位に洗練されたヒーローに進化。80年代後半から90年台のバットマン実写化によるブームでヒーロー物の実写化の土台は出来上がりつつあります。途中、人形劇「ロボットチキン」(2005)のようなキワモノも登場しつつも、2000年台に次々と作られたアニメで実写版化の土台はつくられ2008年の映画『アイアンマン』でその表現は完成を迎える。
その後は2頭身のコメディや、かなりディフォルメされたアニメ版やレゴヴァージョンなど、日本のアニメでもよくやってる手法を取り入れたりして次々とスピンオフも作られていくが、『アベンジャーズ』の時の空中でパワードスーツを装着するシーンなどはかなりクールでシビレる。
時々「日本の特撮やアニメからの影響」という指摘はあるアイアンマンだが、スタン・リーがアイアンマンの原作やパワードスーツの着想を形にしたのは53年も前のこと。どちらが影響を受けたか?となると議論になりそうですが、近年の映画版などは日本の特撮からの影響も多く取り入れさらにブラッシュアップした印象もある。ある意味「パワードスーツ」的なものが現代技術で再現可能になりそうな今、やっと時代が追いついて来たようにも感じられる。
現在、世界中で超大ヒット上映中の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でも活躍し、新「スパイダーマン」にも登場、「アイアンマン4」が作られるという噂もある大人気ヒーローからこれからも目が離せない。
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