7月3日から放送を開始したTVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』。「ソウルイーター」などで知られる漫画家・大久保篤氏が描く「炎炎ノ消防隊」（講談社「週刊少年マガジン」にて連載中）を原作としたアニメの第2期だ。
本作は、とある理由から“悪魔”と呼ばれる新入隊員の少年“シンラ”こと森羅 日下部（CV：梶原岳人）が、人々を救う“ヒーロー”を目指す物語。アニメ放送直後から、劇場版さながらのスケールで描かれる作画のクオリティの高さや、個性溢れるキャラクター描写が反響を呼んでいる。
今回、ABEMA TIMESでは監督・シリーズ構成を務める南川達馬氏にインタビューを実施。『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』の魅力や制作裏話を聞いた。
――「炎炎ノ消防隊」の原作を読んだ時の感想はいかがでしたか？また、原作の魅力をどのように映像に落とし込まれたのでしょうか？
南川：絵がスタイリッシュでカッコイイな！と思いました。背景も含めて画力が凄いので、「壱ノ章」同様にアニメでも背景と決めとなるキャラのUP時の描き方のディティールを大事にしようと考えて作っています。
キャラクターも行動理由や考え方がわかりやすくとても動かしやすいので、より生き生きできる動きの芝居を考えることも重視しています。
――アニメ放送後の反響や手応えはいかがでしたか？SNSでの視聴者の声などは御覧になりますか？
南川：方々から「面白い！」といった意見が聞こえてきて嬉しいです。笑ってほしいところで笑ってくれていたり、狙いどおりに伝わっていることがわかるとホッとしています。
SNSはそこまでやらないのですが、時折情報を仕入れています。制作さんづてに「こんな感想もありましたよ」と、視聴者の声を聞いたりしています。褒められてるのを聞くとなんとも言い難い喜びがありますね。
なので皆さん「やるやん！」と思ったらハッシュタグ「＃炎炎ノ消防隊」でたくさん感想を言ってほしいです。スタッフ一同大体誰か見てますから、現場の士気が上がります。士気が上がると映像がもっと凄くなります（多分…！）。少なくとも私はもっともっと頑張れます。
――南川監督がTVアニメの監督を務めるのは2作目になります。これまで数々の作品の演出を手掛けてらっしゃいますが、監督という立場で新たに感じた面白さや苦労などはありましたか？
南川：監督はやれることが多い分、責任も大きいので心臓を叩いて日々奮闘しています。今回はシリーズ構成も担っているので、さらに各話の映像の組み立て方や見せ方の構想が練れますし、ボリュームコントロールが出来るので出来上がりの想像がしやすかったり、とても楽しいですね。痒い所に手が届くようなことができるのでアイデアの落とし込みの精度が上がって、より良いものが作れている気がします。
その面白さと引き換えに、それだけやることを増やしているので時間に追われることがとても多くて…天手古舞いになりがちでもう大変です。
――これまでに影響を受けた作品などはありますか？どういった作品に触れてきたのでしょうか。
南川：タイトルを上げるとたくさんありますのであれもこれもとなってしまいますが、今、ぱっと思いついたのは洋画だとデヴィッド・クローネンバーグ監督の「イグジステンス」や、邦画だと平山秀幸監督の「学校の怪談」、アニメだと渡辺信一郎監督・河森正治総監督の「マクロスプラス」です。一例なので他にももちろん沢山あります。
映像への触れ方としては、親がよく映画を見る人だったので、幼い時からレンタルや有線放送などで私自身もよく映画を観ていました。アニメでいうと、小学生の頃に見ていた90年代のアニメには強く影響を受けていると思います。その頃、家でWOWWOWが見れたのと、友達の家でアニマックスを見ることができたんです。ですので、この時期に見た過去の劇場アニメやOVA、その他実写映画の影響を強く受けていると思います。忘れないように好きなタイトルや監督はよくスマホのメモに記録してたりしてます。
――放送後、作画の素晴らしさがSNSなどで話題になりました。やはり、作画のクオリティはかなりこだわられたのでしょうか？
南川：これは『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』に限らず、映像を作る際は作画に常にこだわっています。ただ、実現することはいつも難しいです。『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』の現場はそれを実現できる凄腕のアニメーターさんたちがたくさん集まってくれているので、これほどの作画の素晴らしさへの反響があるのだと考えています。
ひとつコンセプトとして作品にあるのは「炎のエフェクト」です。「壱ノ章」からずっとこだわりをもって制作されていて、私もそれを引き継いでいます。様々な炎のエフェクトがシーンごとに考えられていて、それが作画や撮影処理、CGなどで表現されています。炎のエフェクトが出るシーンは結果としてバトルシーンであることが多いので、その炎の勢いそのままのアクションシーンに繋がり、そのアクションにふさわしいキャラの表情が考えられる…それが画面に出ている結果ですね。
――現場で話し合ったことなどで、印象的だったことがあれば教えてください。
南川：印象的な思い出はいくつかありますが。その中のひとつをお話します。「弐ノ章」初の作画上がりは、1話Aパートの茉希 尾瀬がドレスからムキムキにパワーアップするイメージカットだったのですが、このあがりが素晴らしくて…！皆さんもご覧になっていると思いますが、「自分のコンテがこのように作画に起こせるのか！」と思いました。作画担当は「弐ノ章」からメインアニメーターの廣原寧人さんだったのですが、1回目の上がりがそのクオリティで、これを見て「今後も間違いなく上手くいく」と直感しました。
▶映像：茉希 尾瀬のムキムキパワーアップシーン！『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』1話（1分頃～）
▶【インタビュー後編】
声優・鈴村健一が武久 火縄の”ポージング”にツッコミ!? 南川監督が明かすTVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』のアフレコ裏話
(C)大久保篤・講談社/特殊消防隊動画広報課
