コロナ禍の“自粛要請”で浮かび上がった「同調圧力」、背景には日本特有の「世間」の存在
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 新型コロナウイルスの感染拡大防止策である休業や外出の“自粛”と、その“要請”から浮かび上がってきたのが、日本特有の「同調圧力」の強さだった。

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 「世間学」を研究してきた法学者の佐藤直樹・九州工業大学名誉教授は「おそらく世界で最も同調圧力が強い国が日本だと思う。その原因は、“世間”だ。これは世界中で日本にしかないと考えている。実は1000年以上前の万葉集にも、ほとんど今と変わらない意味で出てくる。今はスマホなどの電子的なコミュニケーション手段も発達しているが、世間という人間関係の作り方、それにがんじがらめに縛られていることは変わらない。だからこそ治安がいいし、同時に自殺率が高い」と話す。

 「よく“空気を読め”というが、読まないと“はぶられる”ということ、これがものすごい同調圧力になっている。会社などでも、自分の仕事が終わっても同僚が残っていると何となく帰りづらい。そういう空気を感じると、破ることができない。これが過労死につながっていく。英語では“karoshi”というが、これも、海外では基本的に過労死がないからだ」。

 佐藤氏は、「自粛警察」が生まれる背景にも、この「世間」があると考えているという。「海外であれば、“他人と違う個性的な人間になれ”と言われ育つが、我々日本人は“他人に迷惑をかけない人間になれ”と言われて育つ。そうすると、“違法でも何でもないが、とにかく自粛要請に応じないパチンコ屋さんは人に迷惑をかけている、これはとにかく良くない”、ということになる。そして“世間が許さない”“自分は世間の代わりにやっているんだ”という発想になるということだ。そういうものが根底にあり、自粛警察を正当化する理由にもなっていると思う」。

 さらに「ヨーロッパで、ペットの散歩のためなら外出してもいいと条件付きで認めたところ、動物の着ぐるみを着て出てきた人がいた。もちろん警察に注意されたわけだが、彼らはそれを楽しんでいる。それは、世間がないからだ。しかし、世間のある日本で同じことをやったら、皆に叩かれるだろう。SNSで名前を晒されたかもしれない。“出る杭は打たれる”、だ。日本の社会はものすごく同質的なので、ちょっと違っている人間がいじめの対象になる」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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