「事故に遭ったからこそ得られたものもある」「“1のアンチ”より“9の応援してくれる人”」車いすのアイドル・猪狩ともかを支えた言葉たち
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 「生きていれば、たくさんの楽しいことに出会える!人生は、まだまだこれから!」。

 2年前の“看板下敷き事故”によって下半身不随になるも4カ月後には復帰、現在は「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」のメンバーとして「パラ応援大使」(パラスポーツ・バリアフリー応援大使)も務める、アイドルグループ「仮面女子」の猪狩ともか。7月末に上梓したばかりの『100%の前向き思考』も、“読むだけで元気になる”と好評だ。

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「事故に遭ったからこそ得られたものもある」「“1のアンチ”より“9の応援してくれる人”」車いすのアイドル・猪狩ともかを支えた言葉たち
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 21歳のときにアイドルを目指し、25歳で仮面女子に昇格した猪狩。事故に遭ったのはそれから1年後、東京都内に台風並みの強風が吹いていた2018年4月11日のことだった。歩道を歩いていたところ、倒れてきた看板の下敷きになってしまう。「あの時、もし靴ヒモがほどけて結び直していたら。もし、誰かから電話がかかってきて歩みを止めて通話をしていたら」。すぐに病院に運ばれ一命は取り留めたものの、頭部挫創・骨折・脊髄損傷などの重傷。意識を失わず、痛みに耐えるしかなかったという。

 さらに2週間後には、自力での歩行が困難になったことを知る。それでも、アイドルとして復帰することを決めていたという。「車いす生活になることがわかる前から、父には“車いすになっても戻ってきて欲しいと言っているよ”と言われていたし、兄からも“車いすに乗っていても、人を幸せにしたり元気づけたりすることはできるよ”と言ってもらえた。それが大きなきっかけになった」。

 事故から1カ月後にはブログを更新。“ずっと待ってるからね”というファンたちの声に、「私は生きています。このことだけは何にも代えることのできない神様からのプレゼントだと思っています。その分試練も与えられたけど、きっと越えられない試練は与えないはず。私は前を向いています。もう心配しないでね」と前向きな言葉で応えた。さらにリハビリを経て、4カ月半後には入院中でありながら車いすで仮面女子のライブ活動にも復帰。始球式にも登場した。

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 今年1月のブログ「移動弱者。」では、「雨が降るとタイヤの跳ね返りで服が汚れる」「会場直通の出入り口が車いすに対応していない」「電車は車いすスペースがないと肩身が狭い。『お客様対応で遅れて申し訳ありません』というアナウンスが辛い」など、車いすユーザーだからこその気付きを紹介している。

 「階段で上がらないといけないお店は諦めてしまうし、人とすれ違う時にはバッグが当たりそうになるので、避けて進むゲームみたいな感覚がある。トイレもすごく重大な問題で、エレベーターがない建物で上の階に行かないといけない時には、おんぶしてもらうしかないという状況もあると思う。今の時期だと、アスファルトの照り返しがメチャメチャ暑い。よくベビーカーは危険だと言わるが、車いすも同じ。外に少し出るだけで本当に具合が悪くなる。そういうことも、車いす生活にならなかったら分からなかった」。

 そんな猪狩を支えてきたのが、数々の「言葉」だった。『100%の前向き思考』には、そうした言葉たちが“55の言葉”として紹介されている。例えば「事故で失ったものも多いけれど、事故に遭ったからこそ、得られたものも、たくさんある」。

 猪狩は「まさにその通りで、歩くことはもちろん、ステップを踏んで踊ることもできなくなった。入院生活は一時的なものだし乗り越えることができたが、障害そのものは乗り越えるというよりも、日々闘いながら、ずっと付き合っていくものだからこそ、新しく開けた道もある。パラ応援大使もそうだし、こうして番組に出ることもなかったかもしれないと思うと、楽しい人生が待っていてよかったなと思う。そして、本当に小さなことだが、お食事中にしょうゆを取ってくれた人に“ありがとう”と言ったり、常に周りに感謝するようになった」と話した。

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 また、「人の批判に傷ついたときは『1のアンチの人』より、『9の応援してくれる人』を思い出す」という言葉もある。実際、「車いすを利用して売っている」「事故がなかったら有名になってないよね」「所詮マイナーアイドル」といった声も寄せられるという。

 「“事故がなかったら”というのは本当にその通りなので、否定せずに受け止めている。ただ、そもそもアイドルとして活動していなければ注目されることもなかっただろうとも思う。“そう思う人もいるんだな”というくらいに考えていないと、やっていけない。どうしても気持ちが持っていかれてしまうので、例えばSNSのリプライなどは見てしまうが、掲示板の書き込みなど、わざわざ自分で見にいかなければならないところは、なるべく見ないようにしている。例えば『24時間テレビ』も“感動ポルノだ”と言われる。でも、勇気をもらえるというのは事実だと思う。パラリンピックも、障害を持った人たちの姿を見ることで勇気づけられる人がたくさんいる。私は楽しみにしている」。

 来月19日にZepp Hanedaで開催されるワンマンライブ、そして劇場での卒業公演を経て、10月には仮面女子を卒業する予定だ。「アイドル活動をしていて事故に遭い、車いす生活になったという人は私が知る限りいない。そういった面では唯一無二の存在なのだと思う。そんな私だからできることがきっとあると思う。そういったことを模索していきながら、皆を勇気づけられる活動をしていけたら」と語った。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

26歳で下半身不随...仮面女子・猪狩ともかが出演「事故に遭ったからこそ新しい道を開けた」
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