豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画製作会社「新世界合同会社」の第1回目のプロデュース作品『ソワレ』が8月28日(金)より、全国公開。8月19日、外国特派員協会記者会見が行われ、同作に出演する村上虹郎芋生悠、そして外山監督、プロデューサーの豊原氏が登壇した。

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 村上、芋生、外山監督の3人が舞台上に登壇すると、集まった海外からの記者に向けて英語で自己紹介。続いて、初めての映画プロデュースに挑んだ豊原は、場内最前列より登壇者を見守る形で姿を表すと、まず最初に「このプロダクションが始動してから、何よりも映画の独自性と自由度を無くすべきではない、という思いを胸に進めてきました。初めての映画プロデュースだから、というだけではなく映画・文化にとって何より一番大切だと考えているからです」と、2018年に外山監督からの誘いを受け、会社を立ち上げてから映画のプロデュースに挑んだ想いを告白。情熱を注いで制作された映画『ソワレ』が28日に公開されることに対し「コロナ渦で世界中が身をすくめる中で、この映画が新たな世界への第一歩となるように応援して欲しいです」とコメント。プロデューサーとして、本作公開に懸けた熱い想いを明かした。

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 会場に集まった記者から絶賛のコメントが相次いだ村上、芋生の二人について、キャスティングの決め手を聞かれた外山監督は、「芋生さんは、可憐で儚い魅力を持ちつつも、生命力に溢れた力強さがある。この映画にはどうしても彼女が必要でした。」と強い信頼を示し、村上に対しては「彼が10代の時に一度短編でご一緒していますが、面白い表現者だなと思っていました。現代の若者の葛藤や閉塞感を表現するには、彼が最適だと思ったんです」と明かした。

 父親からの暴力を受け、ある事件をきっかけに逃避行へと走る翔太とタカラを演じた二人に対し、センシティブなテーマにどう向き合ったのかという質問が飛ぶと、翔太を演じた村上は「翔太はタカラよりも普遍的なキャラクターになっていると思います。ただ、誠実に生きている中で自分の才能や役者になりたい、という夢と戦っていて…現実にぶつかってくじけていた中で、タカラとの出会い、一瞬だけヒーローにさせてもらったんじゃないか、と思うんです」と明かすと、タカラを演じた芋生は「繊細なテーマをしっかり表現したいと思っていましたが、どうしても実際に経験することができない事。なので、せめてタカラに寄り添おうと思っていました。親を選ぶことはできないけど、自分の道は自分で選ぶことができて、何度でもやり直せるし、女性って力強くてかっこいいということをお伝えしたいです」と重いテーマの中にも希望があることをアピールした。

 そんな中、記者からは予想外に豊原へも質問が。俳優とプロデューサー業の両立について聞かれると「海外では、ジョディ・フォスターやクリント・イーストウッドしかり、俳優と制作業を手掛けている方々はたくさんいます。我々も存分にやっていきたいと思います」と意気込んだ。

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 さらに、記者から、映画の中には日本社会の不寛容さがテーマにも感じられたが、今の社会をどうしたらいいと思うか?と投げかけられた3人。外山監督は「難しい質問ですね…」と苦笑しつつも「映画の中で翔太のセリフに「傷つくためにうまれたんじゃない」というものがあります。僕がこの映画で伝えたかったことが集約されている言葉です。僕自身、社会の不寛容さを感じてもいますが、僕はこれまでにもずっと、時代から取りこぼされてきた人々をテーマに作品を撮り続けてきました。こうして映画を撮り続けることで、少しでも多くの人にそういった人々がいるんだということを知ってもらえたらと思います」とコメント。村上も「映画の中で翔太が抱えている問題や葛藤は、少なからず自分も感じていることではあります。その中で大事だと思ったのは、とにかく「勉強」すること、そして、愛をもって自分に厳しくしてくれる人を見つけることだと思うんです」と明かし、難しい質問に真摯な姿勢で答えを見出した。また「『ソワレ』は俳優として大先輩のお二人がプロデューサーで、本当に自由に表現できる現場でした。そういった場所があるのは幸せだし、大切にしていくことで、役者として、一人でも多くの人に希望を感じてもらいたいです」と芋生。劇中でも、過酷な状況に追い込まれながら、翔太との逃避行で希望を見出したタカラを演じた彼女ならではのコメントとなった。

ストーリー

ふたりで逃げた。幸せだった。

俳優を目指して上京するも結果が出ず、今ではオレオレ詐欺に加担して食い扶持を稼いでいる翔太。ある夏の日、故郷・和歌山の海辺にある高齢者施設で演劇を教えることになった翔太は、そこで働くタカラと出会う。数日後、祭りに誘うためにタカラの家を訪れた翔太は、刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けるタカラを目撃する。咄嗟に止めに入る翔太。それを庇うタカラの手が血に染まる。逃げ場のない現実に絶望し佇むタカラを見つめる翔太は、やがてその手を取って夏のざわめきの中に駆け出していく。こうして、二人の「かけおち」とも呼べる逃避行の旅が始まった──。

(c)2020ソワレフィルムパートナーズ

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