放送中のTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』(SAO アリシゼーション WoU)最終章に、視聴者から反響が相次いで寄せられている。
【映像】「ただいま、アスナ」視聴者大反響のキリト(CV:松岡禎丞)復活シーン ※21分ごろ~
シリーズ最長のボリュームを誇り、全4クールに分けて描かれた《アリシゼーション》編がついに最終章を迎える本作。仮想世界《アンダーワールド》で繰り広げられる人界軍の整合騎士たちと《闇の軍勢》との戦争が描かれ、現実世界を巻き込んだ壮大な物語が展開されている。
ABEMAでは「キリトウィークSP」と題し、キリト役の声優・松岡禎丞、丹羽将己プロデューサー(アニプレックス)、金子敦史アニメーションプロデューサー(A-1 Pictures)の座談会企画を実施。ぞれぞれが思うキリトの魅力について聞いた。
松岡禎丞(以下、松岡):今回「SAO アリシゼーション WoU」で、プロデューサーを務めるお二人と一緒にキリトについて語っていきたいと思います。
丹羽将己(以下、丹羽):アニプレックスの丹羽と申します。「SAO アリシゼーション WoU」からプロデューサーという形で、企画を通して全体を見させてもらっています。
金子敦史(以下、金子):A-1 Pictures(以下、A-1)の金子と申します。テレビシリーズの1期からA-1 にいる制作としてずっと関わらせていただている唯一のシリーズで、僕にとっては付き合いの長い作品です。具体的にアニメーションプロデューサーという形で、アニメ本編を制作しているチームの指揮をとらせてもらっています。
―― 3人は知り合いですか?
金子:知り合いですよ!なんなら松岡さんの好きな食べ物とか知っていますよ。先週まではこれが好きだったけど、今週からはこれが好き、みたいな細かいところも。
丹羽:そこまで密なんですか?(笑)。
松岡:ご覧の通り、この空気感で「SAO」は作られています。
一同:爆笑
―― まず、丹羽さん金子さんから見て、キリトはどんな存在ですか?
▲金子敦史アニメーションプロデューサー(A-1 Pictures)
丹羽:当然なくてはならない存在ですし、今回の《アリシゼーション》編は特にそう感じますね。今まではキリトとアスナの物語という感じでしたが、今回は彼が1人で旅に出るみたいな流れ。そういう意味では、よりキリトという存在を考えさせられるクールだったのかなと思うんです。だから《アリシゼーション》編に入る前に、キリトについてものすごく考えました。その結果、着地した結論が「現代人が求める1つの英雄像」だったんです。あ、金子さんも言いたいことあると思いますよ?
金子:いやいやいや! でも僕なりに真面目にお答えすると、キリトって高校生じゃないですか。だから僕らよりも全然年下。そんな中でずっと見てきて思ったのが、キリトって超えられそうな感じがするんだけど、絶対に超えられない存在だなって。キリトって等身大の男の子として隙を感じるのに、だけど最終的にはアスナやクラインを泣かせて、全部持ってく。勝てそうで、勝てないんですよ。
丹羽:絶対に勝つんだけど、もしかしたら負けるかもしれない、っていうちょっとした隙があると、見ている側はハラハラしますね。
金子:キリトに隙がありそうでないと感じるのは、それがキリトだからなのか、それとも松岡さんが演じているからなのか、っていうのは分からないんです。
松岡:隙だらけだけど最後の扉は開けさせない。そういう面はあるかもしれないです(笑)。
一同:爆笑
丹羽:まだ誰も開けたことのない扉があるんだ。
松岡:はい、ここだけは扉開いちゃいけないなっていう。
丹羽:でも最近、車っていう扉は開けたでしょ? ラジオ番組で松岡さんは車の話をされることが多いんですよ。本当に。でもすっごく楽しそうで。
松岡:すみません……。
―― アニメのキリトを仕上げるときのルールやこだわりはありますか?
金子:かれこれ8年やっている作品ですし、徐々にキリトくん自身も成長しているんでしょうね。
丹羽:A-1 Picturesの社長で柏田真一郎さんっていう見た目が恐ろしい、系統的に言えばガブリエルみたいな人がいて。その柏田さんが「キリトはどんなシーンでもかっこ悪く見えないようにする」と言っていたんですね。そこには配慮しています。さっき言ったようにキリトって隙があるんですよ。でも、それがかっこ悪く見えない。「チャームポイントであっても悪さではない」をけっこう意識していると思います。
松岡:僕も7~8年「SAO」に携わらせてもらって、先輩に現場で言われたのが「お前が座長であり大黒柱なんだから。そこだけは絶対にブレさせないで」という言葉でした。
丹羽:主役がぶれちゃうと作品がぶれちゃうからね。
―― 松岡さんが演技をする上で気をつけていることは?
松岡:僕、明日のことはあまり考えてないんです。でもいろいろやってきた結果、1つ気付いたことがあって「喉がチクチクしてきたらアウトだ」ってこと。それまでは今までの経験上、どんなに声出しても大丈夫。
丹羽:ある意味サインみたいな。
松岡:その日ガラガラになってとしても、チクチクしなければ次の日に残らないんです。
丹羽:(喉は)強いほう?
松岡:強いほうかなと思います。ある方には「松岡くんって人間なの?」って聞かれたことがあります。
丹羽:それくらい凄いことなんですね、声優さんの中でも(笑)。
―― 8年間キリトを演じていて、一番大変だったのはいつ?
松岡:それは全部ですよ。大変じゃない回なんてないです!
―― 金子さん、丹羽さんが苦労したことを教えてください。
金子:絵を描いていただく方々にお仕事をお願いしている立場の人間から言わせてもらうと、例えばスターバースト・ストリーム(物語内で登場するソードスキルのこと)が発動しているシーンって作画的にはすごく大変なんです。でも、だからといって何気ないシーン内の生活芝居も手抜きはできない。逆に丹羽っちはどうですか?
▲丹羽将己プロデューサー(アニプレックス)
丹羽:先ほどの話に戻りますが、キリトはとにかくカッコ悪くあっちゃいけない。長い作品なので、アニメを作る以外でも本当に多くの人と仕事させてもらっています。それこそ会社の中に新しい人が入ってくることもあります。ただ、それでもキリトのかっこ良さはぶれないし、僕はキリトを本気でかっこいいと思っているんです。苦労というより、そこを折らないようにする。かっこ悪く見えるものは「もっとこうしましょう」って直していきます。
金子:かっこ良いと自分も共感できるように、そして皆さんにも共感してもらえるように。そういうところを意識している、と。
丹羽:そうです。
(C)2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project