女将の手作り料理が今や名物に 名棋士の要望に応えた気配りで生まれた「陣屋カレー」
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 将棋・囲碁の名勝負が多数行われてきたことで知られる旅館「元湯 屋」。1918年に創業、今年で102年目を迎える名旅館で、1万坪の庭園、各所に飾られた古美術品、気配りの届いた客室に温泉など、多くの魅力を誇るが、将棋・囲碁ファンにはタイトル戦の舞台としても有名だ。その数、これまでに300局以上。この旅館で人気のメニューの一つが、なんとカレーだ。4代目の女将・宮崎知子さんによれば、この「陣屋カレー」誕生には棋士と深い関係があった。

 9月3日に行われた王座戦五番勝負の第1局。初防衛を目指す永瀬拓矢王座(叡王、27)と久保利明九段(45)が頼んだ昼食は、いずれも陣屋カレーだった。永瀬王座においては、中2日で6日に叡王戦七番勝負の第8局で、再び陣屋を訪れる。3日に勝利した永瀬王座は、験を担いでまたカレーを頼むかもしれない。験担ぎでないにしろ、また頼むかもしれない。それほど棋士には好まれているメニューだ。

 このカレー、女将によればきっかけは「米長邦雄先生と伺っています」ということだ。対局時、米長永世棋聖がカレーを食べたいと願い出たが、調理場にいるのは和食専門の板前ばかり。「職人さんなので、ご自身のカテゴリ外のカレーを作っていただくのがとても大変だった」と、板前に頼むことができず、なんと当時の女将が自宅で作って持ってきた。ところがこれが人気メニューに。当初は対局者、関係者のみに出されていたが、徐々に一般客にも提供される機会が生まれると、ついにはルームサービス限定のメニューとして加えられた。「今はレシピが受け継がれて、調理部がご用意させていただいております」と、板前たちが腕をふるっている。

女将の手作り料理が今や名物に 名棋士の要望に応えた気配りで生まれた「陣屋カレー」
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 旅館の関係者たちも、近年になって起きた大反響には驚いた。「いつの間にかこんなにカレーが一人歩きしたんだろうと(笑)。私たちも実は驚いているところです。何十年来とご用意させていただいているので。SNSが盛んになってきたところで、数年前から知らない間でカレーがとてもいろいろなところで取り上げていただくようになりました」と、女将も微笑んだ。

 王座戦の中継をしていたABEMAに解説として出演していた中村太地七段(32)も、陣屋カレーのきっかけが師匠であると聞き「うちの師匠がわがままというか、力強い要望ですいません。そのおかげで、おいしいものがいただけてありがたい」と、笑みがこぼれていた。

 数々の名旅館で行われる将棋・囲碁のタイトル戦。長時間の対局において、勝負めしは重要なだけに、今後も新たなメニューが追加される可能性は十分にありそうだ。

(ABEMA/将棋チャンネルより)

陣屋カレー誕生秘話
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歴史ある旅館の人気メニュー
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