新型コロナウイルスの対応で注目が集まっている地方のリーダーを招いて橋下徹氏と語り合う新企画がスタートした。第1回目のゲストは経済成長著しい福岡市の高島宗一郎市長。意外にも初対面だという2人は9月19日のAbemaTV『NewsBAR橋下』で地方分権や道州制、さらには若手の首長同士のつながりについて話した。
まず、高島市長が「橋下さんに聞きたいことがあった」と、九州に「道州制」を導入することについて切り出した。
「昔は北の福岡から南の鹿児島まで行くのに、車で6時間くらいかかっていたのが、今は九州新幹線で1時間半になった。つまり、県がどんどん小さくなっている。北海道は九州よりも大きいのに一つの自治体。だから“北海道産”として売り出すこともできる。九州も道州制は絶対やったほうがいい。ただ、何をきっかけに始めるかという“トリガー”がない。国会議員は積極的じゃないし、県知事も官僚出身の方が多く改革的という感じじゃない。自分の県を自分で壊そうなんて。誰も言い出さない」。
橋下氏は「関西、そして、それこそ“州”が付く九州は道州制のリーダー役になれると言われてきた。関西の場合、関西広域連合を作った。当初は政令市長との綱引きがあって、知事が主導権を握っている関西広域連合には入らないというルールだったが、僕が大阪市長になって入って以降は、みんな入るようになった。九州も、まずは広域連合を作ればいいと思う」とコメント。
その上で、「実は民主党政権の頃、地方整備局と地方環境事務所と経済産業局の3つの出先機関をまるごと関西広域連合に移管するという法案を2年くらいかけて作り、閣議決定までしたんだけど、政権交代が起きたため、棚ざらしになってしまっている。この法律をきちんと制定してくれれば、関西広域連合が膨らんでいく。それと同じことを、九州で誰かが旗を振ってやればいいと思う。県を潰すわけじゃないし、九州の方が先にできると思っていた」と疑問を呈した。
一方、橋下氏が関西で経験した、知事と政令市長との“綱引き”は、福岡にも存在するという。
橋下氏が「これが面白い関係でね。嫌いだよね?県知事のこと(笑)」と水を向けると、高島市長は「えっ?とんでもない。何てことを言うんですか。めちゃくちゃアレですよ」と焦りながらも、「県知事が政令市長の仲が良いなんて、大阪以外にない。大阪が奇跡」と苦笑。「個人的な話というよりは構造的な問題。それぞれが市民・県民から選ばれている代表だし、やりたいことも違う。市区町村の場合は財源と権限が県にあるから表面化しないが、政令市の場合は権限も財源も持っているから、お互いにやりたいことが実現できちゃう。そこでぶつかることが多いと見られることがある」。
橋下氏が「言ってしまえば、権限もお金も対等だから、折り合いがつかない。福岡の場合、宿泊した人から取る“宿泊税”を県が取るのか、市が取るのかでもめたんだよね」と尋ねると、高島市長は「だって、陸・海・空の玄関口は福岡市博多区にあるし、そのための整備にめっちゃお金をかけてきた。例えばクルーズ船が来るための岸壁整備も、全て福岡市のお金でやった。それなのに、そこから上がってくる宿泊税を県が持っていこうというのは違うよねということ。前回の知事選でも、その点で現職の知事とやりあって、最終的に市が150円、県が50円ということで決着した」と答えた。
橋下氏は「大阪だって、もともとは全国一、仲が悪かった。“府と市を合わせて、ふしあわせ”なんて言われていたくらい。これはもう構造上の問題なんだけど、そこを乗り越えよう一体化したのが大阪都構想。まずは府と市という巨大な役所を再編することで第一歩を踏みだそうと。大阪でのこういう運動と、広域連合については法律もあるわけだから、ぜひ九州でやってもらいたい。高島さんのような人に旗を振ってほしい。ただ、そのためには政党を作って、九州の中で政治力を持たないとなかなか難しいと思う」と指摘。「福岡を良くしていくというのが第一で、今は元気だからそのままやってもらいながらも、そろそろ日本を引っ張っていく、リーダーになるときのために政党を考えなきゃいけないと思う。独自に地域でつくるのか。大阪と一緒にやるということだけじゃないと思うんだけど、自民党に対して、改革を進めていく野党が必要になってくると僕は思う。元々は日本をよくしたいという思いがあったのなら、そこはぜひ頑張ってもらいたい」。
高島氏は「リーダーって物事を決める仕事だから、相談する相手は少ないほうがいい。なぜなら仲間がいっぱいできたら、そこに配慮しないといけなくなるから。政党に属してないのもそのためだ。一報で、制度を変えていくためには数がいる。やんなきゃいけないということは分かっているが、今は一人でどんどん切り込んでできることをやっている」と話していた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)