古舘伊知郎氏、報ステ時代の“反省点”…橋下氏「文句を言うだけなら政治報道は簡単」
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 19日、20日に行ったANNの世論調査によると、菅内閣の支持率は62.3%に上り、支持しないと答えた人を大きく上回った。政党支持率では自民党が53.9%と先月の調査から11ポイント以上も上昇した。

・【映像】古舘伊知郎 “メディアのあり方" 報ステ時代を省みる...橋下と討論

■古舘氏の安倍政権、菅政権の評価は…

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 26日の『NewsBAR橋下』に出演したフリーアナウンサーの古舘伊知郎氏は、「安倍政権には森友・加計、桜を見る会といった悪い部分があったのに、その調査はしないというムードが菅政権にあるのは正直に言って、嫌だ。霞が関をいじるんなら、そこもやってほしいと思う。一方でデジタル化を進めようとか、携帯電話料金の値下げなどに具体的に着手していることについては評価している」とコメント。

 また一部の世論調査で、辞任表明直後に“評価する”という意見が7割を超えた安倍政権については「確かに世界経済の追い風に乗り、金融緩和によって低かった株価が上がっていった。そこは認めざるを得ないし、やってくれたと評価する。でも実質賃金は下がっているし、暮らし向きが良くなったわけではない。格差も広がっていると僕は思っている。金融緩和をどうしていくのか、プライマリー・バランスの黒字化といった課題もある。でも現実的にはコロナの問題もあるよねと。いろんなことを考えちゃう」と話した。

 すると橋下氏が「でも『報道ステーション』になると、そういうメッセージの出し方はできなくなっちゃうんですか」と、メディアと政治報道の問題について切り込んだ。

■橋下氏「政治を良くするにはメディアの質も良くならないと」

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橋下:メディアの役割、番組の役割ということなのか、悪い部分ばかりをフィーチャーし、批判している。でも今の古舘さんの話を聴いていると、いい部分は評価した上で、“だけどこの部分は悪いよね”という言い方だった。

僕は民主国家の政治とメディアは車の両輪だから、政治を良くするにはメディアの質も良くならないといけない。そしてメディア同士で切磋琢磨しないといけないという思いもあるから、コメンテーターとして報道番組に出させてもらう時には、他番組のことも指摘させてもらう。

『報道ステーション』は日本の報道番組の中でも看板番組だと思っているからこそ、政治を批判するときには、今の古舘さんのようなスタンスで批判してほしい。

古舘:僕が『報道ステーション』を辞めてから4年半が経つわけだけど、こっちは認めるけどこっちは認めない、という風に明確に言えていないという印象があったなら、それは反省する。

正直に言えば、血気盛んだったし、「よし、今日はこっちをフィーチャーして、これを言おう”と思って臨んでいた。それが間違いだったと思いたくはないし、“両論併記”しているつもりっだったが、もっと評価している点についても強調すべきだった。

橋下:政治家って、みんなテレビのコメントなどを気にしている。僕だって政治家時代には自分に言及されたものは全て録画してもらって、夜中に観ていた。そして翌日の記者会見で「ああ言ってたけど、これはこうなんだ」と反論していた。

そういう中で、「これは良いよね」ということも言ってくれれば、「じゃあこっちは改めようか」ってなるんだけど、所詮は人間だから、悪いことばっかり指摘されると、もう「ふざけんな!こっちだって考えてんだ!」となってしまう(笑)。

『報道ステーション』に限らず、報道番組のスタッフたちには「政治を批判するのが役割なんだ」という強烈な自負があるから、どうしても批判する方向に行ってしまうんだと思う。でも、テレビというメディアは民意の動きにもすごく重要な役割を果たしているからこそ、「こういうことをやればいいんだよ、でも、こういうことはやめないといけないんだよ」いうような、ある意味で政治の進むべき道を提示してほしい。そうすれば政治家も動いていくと思う。それが批判ばっかりだから、「じゃあどうすればいいの」となって、分からなくなってしまう。

古舘:屁理屈に聞こえてしまうかもしれないけれど、少しだけ言わせてもらうと、「何いってんだ!こんなことばっかり言いやがって!」というのも、ある意味では”サプリメント”になっているとも思う。橋下徹の心にマッチで火を付ける役割。やっぱり「政治を刺激しないと、これからどうなっちゃうの?」と思っちゃうこともあったから。僕が血気盛んになっていた原因もそこにあるし、意図的に火をつけていたところもあった。

■古舘「“ここは認めるけれど、ここはまだ全然ダメじゃん”と言うべきだと思う」

古舘伊知郎氏、報ステ時代の“反省点”…橋下氏「文句を言うだけなら政治報道は簡単」
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橋下:メディアが政治を批判するのは民主国家において絶対に必要なことだけれど、文句を言うだけなら簡単。全てにおいて100点満点は無理なんだし、「ここはこれくらいのことをやれば合格点だよ」、という基準を示してから批判してあげないと。

新聞もそうで、例えば朝日新聞のオピニオン欄で学者が安倍政権の文句ばっかり書いていた。後から気づいたことについて文句ばかり書くだけでは、政治は良くならない。安倍政権が誕生した時の状況を踏まえて、例えば雇用や賃金についてはこのくらいの数字が出ていれば合格点だ、という基準を先に示してあげないと、結果的にどうだったのかわからない。

だから古舘さんが「株価は上がった、でも実質賃金は下がった」と言われたように、菅政権に対しても、これはここまでやれば合格点じゃないですか、ということをメディアは一生懸命示すべきだ。

古舘:『報道ステーション』のことを思い出すと(笑)、例えば雇用についても、両論併記しないといけないと思うから、「安倍総理も言うように、確かに数字は改善している。それはその通りなんです。ただ、非正規雇用も増えている。賃金格差の話もあるし、ここは問題ですよね」と言っていた。

でも、この問題を指摘する後半の部分がちょっとでも長くなると、「VTRも司会者も批判ばっかりだった」、という印象を持たれてしまう。その歯がゆさはあった。よっぽど工夫しなきゃダメだっていうことを、改めて感じた。

橋下:もちろん、完全に中立公平の報道なんて絶対にありえない。

古舘:それはありえないですよ。人間がやっていることですから。

橋下:けれど今のように雇用の話になると、例えばコメンテーターたちが「非正規が増えた、だから問題だ」という一斉に言う。しかし数字を見てみれば、就業者が増える中で、確かに非正規雇用も増えたが、正規雇用だって増えている。安倍政権下での正規雇用者数の増加は、戦後の歴代政権を見ても多い方だ。その意味では、僕は合格点だと思っている。この、正規雇用も増えているという点をメディアはちゃんと評価しないのかなと、いつもコメンテーターをしていてモヤモヤする。

古舘:そういうところはメディア全体の反省点だけど、だからと言って批判をすることを諦めちゃいけない。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

古舘伊知郎 “メディアのあり方" 報ステ時代を省みる...橋下と討論
古舘伊知郎 “メディアのあり方" 報ステ時代を省みる...橋下と討論
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