シンガーソングライターのA.Y.Aが、最新アルバム「Mercury Retrograde」より、「flame」のMVを公開!
現行のUSシーンに目配せしたソングリティング力と、アンニュイな歌声が魅力的な東京を拠点に活動するシンガーソングライターA.Y.A(エーワイエー)。MVについて、A.Y.Aからコメントも到着。
<A.Y.Aコメント>
「制作するとき、いつも「みんなが取りこぼすところを掬い上げたいな」って思うんですよ。サウンドも、歌詞も、ビジュアルも。
色んなジャンルを自由に行き来してみて思ったのは、音楽業界自体がどこもホモフォビアックかつミソジニスティックな世界だなって。全員じゃないけど思考がどうにもマッチョなんですよね。LGBTQ+のコミュニティから発祥した音楽が山ほどあるにも関わらず。悪気ないの分かってるけどありがちな「LGBTQ?俺は全然気にしないよ」とかそんな消極的な回答も正直超古いな、遅れてるなと思うし。そうじゃなくて「性差別は断固許さないし、絶対一緒に戦うよ」ぐらい言って欲しいんですよね。もう2020年なんですから。
で、MV見てると、大抵女の子って華やかさを演出する為の、男性アーティストの添え物みたいな扱いでしょう?私もゴージャスなVideo vixen(HIPHOPのMVに登場するセクシーな女性モデル)の女の子達は好きですけど、私は女の子にもっと主役張って欲しいなと思って。だからこのMVも、当初のキャスティングで普通に男女の俳優さんを提案してもらったんですけど、絶対に男×男か女×女じゃなきゃ嫌だってお願いして。そして最終的にステレオタイプなbutchとfemmeって感じじゃなくて、ニュートラルな女の子2人に決まりました。
ジェンダーってグラデーションじゃないですか。誰かのために分かり易く性役割を演じる必要もないし、性自認も揺れ動いて当たり前だと思うんです。今日はガーリーな気分だけど明日はマスキュリンに振る舞いたいかも、今日は男の子が好きでも明日は女の子が好きかも、って言うか本当はアセクシュアルかも….どれも全部最高だし、どうしようが人の自由じゃない。それをジャッジする権利なんて誰にもない。MVの内容もわかりやすい派手さとかセンセーショナルさとかないです。よく同性愛者の割合は左利きやAB型の人の割合と同じって言うでしょ?だから淡々とした日常性が欲しかった。
日本は同性婚どころかパートナーシップ導入するしないみたいなものすごくレベルの低い議論で止まってる国でしょう。これってやっぱりマジョリティの無関心が原因だと思うんですよね。全ての差別は当事者じゃなくて傍観してる周りのせいなので。家父長制ここに極まれり、みたいな日本の政府もダメさも大いにありますけどね。でもそれ選んでるのも、選ぶのを放棄してるのも私たちなので。
...とかなんとか長々と書きましたけど、とりあえずもっと他人に対して想像力のある社会にしたいねというのが今回の趣旨です。」
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