
これまでに『ハイキュー!!』(第1期)、『ハイキュー!! セカンドシーズン』(第2期)、『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』(第3期)、『ハイキュー!! TO THE TOP』(第4期)と4度にわたってアニメ化された人気漫画『ハイキュー!!』(古舘春一・著)。
同作は、ふとしたきっかけでバレーボールに魅せられた少年・日向翔陽を主人公に、「コート上の王様」の異名を持つ天才プレーヤー・影山飛雄との出会いを経て、バレーボールに青春を捧げる高校生たちが描かれている。
【映像】『ハイキュー!! 』名シーン 菅原孝支「勝つぞ!」のセリフ ※21分ごろ~
『ハイキュー!!』の大ファンだと、今回取材を受けてくれたのは、AKB48グループや坂道シリーズなど、トップアイドルの総合プロデュースを手掛けてきた秋元康氏がプロデュースする女性アイドルグループ「ラストアイドル」の1期生・間島和奏だ。
インタビュー後編の今回は同作のアニメについて、思いを語ってもらった。

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―― 月島蛍が推しキャラクターとのことですが、彼はお兄さんである明光、親友・山口忠や同じポジションの主人公・日向翔陽とも関係があるキャラクターです。
間島:やっぱり月(月島)と太陽(日向)っていう、名前の関係性は良いですよね。日向と対になるのは(天才セッターの)影山飛雄というイメージがありますが「ミドルブロッカー同士で、月と太陽なんだ!」って気づいて。最初から古舘先生がそれを考えて描いていたんだと分かったときの鳥肌はすごかったです。
あと『ハイキュー!!』って嫌なキャラクターが出てこないんですよ。キャラクター全員を好きになれる作り方をされているんです。私は女優業もやらせていただいていますが、いろいろな監督さんや脚本家さんが「誰も嫌いにさせたくない」とおっしゃっているのをよく見ていて。『ハイキュー!!』は本当にそれを体現している漫画だなと思いました。
漫画だと、どうしても主人公を中心に描かれることが多いですが、たとえば縁下力くんが1年生の頃、部活をサボってしまう話も良かったし(※『ハイキュー!! セカンドシーズン』第17話「根性無しの戦い」)、田中さんが青葉城西とのIH予選3回戦で、及川徹さんにサーブを狙われるシーンもすごく良いんです(※『ハイキュー!!』第20話「及川徹は天才ではない」)。
そういう場合って、モノローグとかで克服シーンを描く漫画が多いと思うのですが、田中さんは自分の顔を自分でビンタして立ち直るんですよ。そのときの絵がめっちゃ生きているんです! そこに感動したし、監督に弱気になったことを謝るのですが、そのポジティブな言葉が欲しかったというか。自分が実際につらいときって、言葉が出なくなるけど、田中さんはそれを言葉にしてくれたんですよね。だから自分の人生で欲しい言葉をもらえたりするところも好きなんです。
―― 誰も嫌いになれないというのはすごく分かります。ひとりひとりにストーリーがあるし、それを自分に重ねられるんですよね。
間島:そうなんです! 全員が主人公になれる漫画なんです!
―― ちなみに、アニメの『ハイキュー!!』にはどんな印象がありますか?
間島:『ハイキュー!!』はアニメ化が発表されるよりも前に、自分の中ではすでに動いて見ることができていました(笑)。
―― えっ、どういうことですか?
間島:三次元と二次元を混同しがちというか……(笑)。間島家の間島和奏、ラストアイドルの間島和奏がいて、『ハイキュー!!』の世界のどこかにも間島和奏がいると思いながら読んでいたので。
―― この世界のどこかに『ハイキュー!!』のキャラクターたちがいるような感覚だった。
間島:なので『ハイキュー!!』がアニメになると聞いたときは、また別物として楽しんでいました。ただ実際にアニメで動いているのを見たとき、変人速攻のすごさも分かったし、リアルな汗の感じやスピード感がすごかったので、楽しんで観ています。
それと日向の声ですね。実はそこだけは漫画を読んでいても、どんな声だろうとずっと思っていたんです。だからアニメになって日向を演じる声優の村瀬歩さんの声を聞いたときは「日向の声はこれだ! この声帯だ!」っていう感動がすごかったです。村瀬さんを日向役として見つけてくださった方は本当に素晴らしいと思いました。
―― 月島役の声優・内山昂輝さんの声はイメージ通りでしたか?
間島:イメージ通りでした! この作品以降、初見のアニメでも、内山昂輝さんの声に反応してしまっています。
―― 女性として『ハイキュー!!』の女子マネージャーにはどんな印象をお持ちですか?
間島:清水潔子さんは、もう女子とかではなくて“潔子さん”なんですよね。「潔子さん、今日も美しいお顔で麗しいですね!」って思いながら読んでいたのですが、そこに(後輩マネージャーの)谷地仁花ちゃんっていう、新たなスパイスが入ってきたときは、すごくビックリして「そう来るか!」と思いました。
スポーツ漫画の女子マネージャーって難しい立ち位置だと思いますが、『ハイキュー!!』は潔子さんも谷地ちゃんのことも好きです。エピソードだと「村人 B」も良くて、谷地ちゃんもやっぱり主人公なんですよね(※『ハイキュー!!セカンドシーズン』第3話「村人 B」)。潔子さんのハードル走のエピソードもそうですよね(※『ハイキュー!! TO THE TOP』第10話「戦線」)。女子マネージャーもちゃんと部活をしていると思えるし、全員が愛おしすぎて、すごいなと思います。
―― アニメで印象に残っているシーンはどこですか?
間島:『ハイキュー!!』の21話の青葉城西戦で、試合のリズムを変えるために影山に代わってスガさん(菅原孝支)が入るんです。その後、冷静になった影山がコートに戻るんですけど、そのときにスガさんが「勝てよ!」と言いそうになったのを、やめて「勝つぞ!」って影山に声をかけるんです。
1年の天才セッターにレギュラーを譲った3年生のスガさんが、自分も一緒に戦っている仲間なんだと伝えるシーンなんですけど、スガさんがアップになったときに、効果音と手描きっぽい字で「勝てよ」の文字が画面に映るんです。それを観たときに、こういう演出の仕方があるんだと感動したのを覚えています。
―― そこも名シーンでしたね。まさか演出に言及されるとは思いませんでした。菅原も良いセッターですが、影山が天才すぎるのと、セッターは基本的にポジションがひとつしかないところがつらいところです。
間島:本当に影山くんはすごすぎて、存在自体がすごいんですよね。他のキャラクターは成長というところにスポットライトが当たりますが、影山くんはずっとすごいから、本当にすごいなと思います。すみません、なんか語彙力がなくなってしまいました(笑)。影山くんは存在自体がスポットライトです!
―― ポジション争いに負けた側にも、しっかりスポットを当ててくれるし、努力している子たちを全部肯定してくれる作品ですよね。
間島:私、持たざるものを応援してしまうタイプなんです。烏野のライバル校である白鳥沢学園高校は環境も整っていて、強い仲間と高め合うことができるじゃないですか。ウシワカ(牛島若利)も全国トップ3に入るアタッカーで魅力的なんですけど、どちらかと言うと「落ちた強豪・飛べない烏」と言われた烏野高校が、地道に頑張っているところに惹かれちゃうんですよね。
自分もアイドルをやっていて、周りのみんなは手足が長かったり、小顔だったり、ダンスや歌がうまかったりするんです。私は自分に「才能がないな」と思っているほうなので、烏野高校とか音駒高校のように、それでも頑張っている人たちを見ると応援しちゃうところがあります。
―― バレーの場合は背の高さという才能がどうしても結果に繋がりますからね。ウシワカもすごく努力をしていることは間違いないんでしょうけど。
間島:そうなんですよ! もちろん持っているからこその努力やその強さもよく分かるんです。ただ持っていないものの努力のほうに自分を重ねてしまうんですよね。だから烏野高校の3年生も、練習環境がままならなかったり、烏養前監督がいなくなってしまったりした中で、3人で頑張ってきたところにも感情移入をしてしまって……自分もがんばらなきゃと思うんです。
―― このインタビューでの間島さんの熱さに『ハイキュー!!』を読んでみたい、観てみたいと思った方は増えたと思います。
間島:だとしたらうれしいです。あと、原作の17巻にはTVアニメでは放送されていない番外編というのがあるんですけど、これは絶対に読んだほうが良いんです! 私は17巻までは義務教育にしてほしいくらい、みなさんに読んでほしいのですが、ティッシュ50枚くらい濡らしました(笑)。
―― では最後に、連載を終えた古舘春一先生に伝えたいことはありますか?
間島:古舘先生、生きる希望をありがとうございました。『ハイキュー!!』で人生が変わったし、いろいろと頑張れるようになりました。ここまで背中を押してくれる作品に出会ったことがなかったですし、出会ったときからこれまでも、この作品以上に心を動かされた作品はありませんでした。本当に感謝しかないですし、『ハイキュー!!』は人生のバイブルです。
(写真:オカダマコト)
(C)古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS
(C)古舘春一/集英社・「ハイキュー!! セカンドシーズン」製作委員会・MBS
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