バレーボールに青春をかける高校生たちを描いた「ハイキュー!!」は、「週刊少年ジャンプ」に2012年~2020年まで連載された人気コミックで、その大ヒット作が今年7月、8年にわたる連載を終了した。最終回を惜しむファンの声は多く、教育エンターテインメント番組「おかあさんといっしょ」の11代目”歌のお兄さんとして知られる横山だいすけもその寂しさと感謝をブログに綴り、自ら描いたキャラクターのイラストとともに自身のブログにアップした。2020年10月2日から『ハイキュー!! TO THE TOP』の第2クールがスタートした本作。現在は歌手、ドラマやバラエティなどへの出演と、多彩に活躍する横山に、「ハイキュー!!」の魅力を熱く語ってもらった。
▶視聴ページ:第2クールがついに放送開始!「ハイキュー!! TO THE TOP」
いろんな人の目線を交え、「仲間がいてのバレーボール」を描く
――まず、「ハイキュー!!」との出会いを教えてください。
横山:僕はずっと「週刊少年ジャンプ」を購読しているので、連載が始まったときから読んでいました。連載が終わったときは、8年半毎週読んでいた作品が完結した寂しさと、ついに終わりを迎えたという感慨深さの両方がありましたね。とくに、「ハイキュー!!」のストーリーは、主人公の日向翔陽が中学3年生のときからスタート、最後は大人になって完結したんです。自分も歩みながら、彼らの人生も一緒に見てきたんだなぁ…と。
――ブログには、主人公・翔陽のイラストも。イラストはよく描かれるんですか?
横山:小学生時代、お絵かき教室に通っていたというのもあるんですが、何よりちっちゃいころ、母がよく絵を描いてくれたんですね。メモ帳やチラシの裏、いろんなところに。それが、僕にとってはすごくうれしかったんです。自分にとって、絵を描くことが好きになったきっかけでもありました。「歌のお兄さん」を務めていた時も今も、たまに自分で絵を描くのは、子どもたちやファンの方に喜んでもらえたらいいなという思いがあるんです。自分の親からもらったものを、自分も渡せたらいいな、と。
※横山だいすけオフィシャルブログよりスクリーンショット
――横山さんにとっての「ハイキュー!!」の魅力はどんなところですか?
横山:僕がすごく好きなのは、主人公の目線だけじゃなくて、試合の相手校の選手や監督、応援団の人とか、いろんな人の目線とストーリーを交えながら物語が進んでいくところ。主人公が所属する烏野高校だけではなく、対戦相手も主人公になる瞬間があるんです。だからキャラクターに感情移入ができて、両方を応援したくなっちゃう。そんなキャラクター同士が、ひとつの戦いが終わるたびに、友情に近いものを芽生えさせ、お互いを尊敬し合う。僕も中学時代バスケ部に所属していたので、そのときの気持ちを思い出すんです。「ハイキュー!!」は、一度きりの青春の、そのときにしか感じることができない瞬間を思い返せる作品です。
――負けた学校や、弱小校のドラマもしっかりと描かれていますよね。
横山:そうなんですよ!そこがめちゃくちゃいいなと思うんです。僕自身は、スポーツは好きだけれどあまり上手くないほう。中学時代のバスケ部でも、準レギュラーでした。スポーツ漫画は、レギュラーに焦点が当てられがちですが、「ハイキュー!!」だと主力となる選手以外もフィーチャーされている。たとえば、主力ではない選手が、「主力選手が上手く行っているのを見て、自分も上手くいくだろうとチャレンジしたけれど、ぜんぜんダメだった…」と、悔しい顔で帰るところとか。そういうところがすごく好きなんです。自分自身、同じような経験をしたことがあったので。
――主力選手もそれ以外の選手もひっくるめ、チームの姿が描かれていますよね。
横山:「仲間がいてのバレーボール」なんですよね。調子がいい選手も悪い選手も、みんなで戦っていて、それがバレーボールなんだよ、と。作者の方の想いがそういうところに表れているのかなと思うと、胸を打たれますよね。しかも、そのドラマが対戦校両方のチームにある。そんな両校の限界を超える戦いがあって、負けたら終わってしまう。とくに3年生にとっては、3年間、全部の時間を注いできたものが終わるわけです。試合が終わった瞬間の表情やシーンでは、自然と泣けます。甲子園と同じですね。
自分が観戦しているかのようにドキドキできて、とにかく胸が熱くなる!
――「ハイキュー!!」は、アニメも現在、4期まで制作され、10月からは4期の後半も始まります。
横山:10月からオンエアされるのは、主人公たちの烏野高校と、稲荷崎高校の春高バレーでの対戦なんですよね。僕はその試合が大好きなので、アニメの放送スタートを楽しみにしているんです。
――まだ「ハイキュー!!」を見たことがない人に作品をおすすめするとしたら?
横山:まずは一回見てほしいですね。バレーボールというスポーツを通して、また、戦っている選手はもちろん、彼らをサポートするメンバーを通して、「バレーボールはひとりではなく、チーム全員で作り上げるもの」 ということを感じられる。そして、試合が終わった瞬間の爽快感がある。作品にふれて、これを感じてもらいたいなと思います。スポーツ経験がある人はもちろん楽しいし、それぞれ思い出すことがあるはず。スポーツをやったことがない人も、「あ、バレーボールって、こんな魅力があるんだ!」と思えるはずです。
――ルールや試合展開の説明が、さりげなく入っていてわかりやすいですよね。
横山:僕はぜんぜんバレーボールというスポーツを知らなかったんです。それでも作品を読み進めるなかで、それぞれのポジションの特徴やルールが理解できました。そうすると、今度、テレビで実際の試合を見たときに、こういうところに注目しようかなと思えます。知るとそのスポーツを見る楽しさが、何倍にも大きくなりますよね。そして、「ハイキュー!!」はとにかく試合にドキドキできて、胸に来るものがあって、熱くなれる作品。今、なかなか外に出てスポーツをすることが難しい状況です。だからこそ、漫画やアニメを通してスポーツに触れることで、興味をもってほしいとも思うんです。「ハイキュー!!」にふれて、ひとつでもふたつでも、「好き」という気持ちをもってもらえたらうれしいですね。
――本日は楽しいお話をありがとうございました!
(作品紹介)
ふとしたきっかけでバレーに魅せられた少年・日向翔陽。中学時代、最初で最後の公式戦に臨んだ日向は、“コート上の王様”と異名を取る天才プレイヤー・影山飛雄に惨敗する。高校生となり、かつてバレーの名門校といわれた烏野高校に入学した日向は、そのバレー部で影山と再会する。反目するふたりだが、やがて正確無比な影山のトスと、日向の身体能力をいかした「変人速攻」を生み出す。ふたりをはじめとする烏野高校バレー部が、一丸となってボールをつなぎ、頂点を目指す姿を描く熱血青春ストーリー。
(C)古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS
テキスト:仲川僚子