EXILE、そして2020年9月23日に6枚目のシングル「Winding Road~未来へ~」をリリースし、FANTASTICS from EXILE TRIBEのメンバーとして活躍するパフォーマー・世界。日本を代表するパフォーマーである彼だが、SNSの発言を見てみると、かなりコアな漫画・アニメファンであることがうかがえる。
今回、ABEMA TIMESではそんな世界にインタビューを敢行。初回はアニメを好きになったきっかけについて聞いてみた。
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ーーSNSを拝見したのですが、世界さんはかなりの漫画・アニメ好きなんですね。もともと好きだったのですか?
世界:親がエンタメ関連の仕事をしていたこともあって、最初にハマったのが音楽やダンスでした。漫画やアニメは、コンビニで『週刊少年ジャンプ』や『月刊コロコロコミック』を買うような、普通の子供と同じような入り方だったと思います。
ただ、ダンサーのお兄ちゃんお姉ちゃんたちに漫画好きが多くて、(同年代の)周りよりも早く『週刊少年ジャンプ』を読み始めたんですよね(笑)。しかも、ダンスのレッスンで帰ってくるのも遅かったので、小学生の頃にはもう深夜アニメを観ていました。
ーーそれは、かなり早いですね。
世界:一人っ子だったこともあって、外にいるときはダンスのレッスン、家にいるときは漫画やアニメ、ゲームをしているかだったので、けっこう両極端の生活をしていたと思います。
ーー周りと話が合わなそうですね(笑)。
世界:今みたいにSNSもないですし、共通の話題と言えば漫画やスポーツになるけど、僕はダンスというかなり特殊なことをしていましたから。
周りと話が合わないから、ダンスのレッスンでお兄ちゃんやお姉ちゃんが話している漫画やアニメの難しい内容を何となく聞いて、中学1年生くらいになったときに、ようやく何を話しているのか分かるようになってきたという感じでした。
ーー歳の離れた兄や姉がいるのと同じような感じですね。
世界:そうですね。当時は(レッスンで一緒になった人と)10歳以上は余裕で離れていたし、20歳くらい離れている人もいたかな。僕が7~9歳くらいのとき20代後半の人がいましたから。そこで自分が生まれる前に描かれた漫画の話とかも聞いていました。
ーーそれを聞くと、世界さんが幅広く漫画・アニメカルチャーに精通している理由が分かります。当時と比べると、今はダンス、漫画、アニメの社会的地位がそれぞれ向上したように思います。
世界:本当にそうですね! アニメの力は大きいと思いますよ。OPテーマやEDテーマにダンスが付くようになったりして、キャラクターのモーションキャプチャーを知り合いのダンサーがやっているのを見たりすると、漫画やアニメ業界の成長と同じようなスピードで、ダンス業界も成長していったように感じます。僕が両方好きだからですが、どちらもニッチだし、とても近いところにある感じがしていたんですよね。
コスプレ文化がコミケから広まっていき、ダンスも広まっていったというか。「ハレ晴レユカイ」(アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』エンディングテーマ)の踊ってみた動画が流行ったことで、アニメ好きの人たちがダンスに触れる機会が増えた気がします。それまで、誰かに習うものだったダンスが動画サイトの流行で、自分でやってみるという文化ができたことは、とても大きいと思います。
ーー世界さんは、SNSでも漫画やアニメのことをかなり発信していますが、発信し始めた頃、最初周りの反応はいかがでしたか?
世界:最初にSNSで漫画やアニメを好きだと発信したときは、けっこう驚かれました。事務所のメディアでもちょこちょこ出してはいましたが、そんなにマニアックな作品は言ってこなかったんです。あえて言わないようにしていたところもあったので「世界さんもこの作品が好きなんですか?」という反応が多くて、うれしかったです。
もちろん「最初は言って大丈夫なのかな?」と思ったのですが、もういいやって(笑)。ダンスをやっている人って、みんなパリピなんじゃないかってイメージを持たれることが多い(笑)。「全然違うんだけどなぁ」と思いながら、過ごしていたんです。それはEXILEになる前からなのですが。
自分でも「みんなのイメージとは真逆の立ち位置にいるんだろうな」と思っていた中で、ターニングポイントとなったのはm-floの☆Takuさんとの出会いです。☆Takuさんは、アメコミにも精通していて、スター・ウォーズも好きで、海外のナード(※オタクのような意味)的な考えがあったので、☆Takuさんと話しているうちに「好きなものは好きと言ったほうがいいな」と思うようになったんです。m-flo のVERBALさんのファッション好きもそうですよね。だから、僕の中では2人の存在が大きいと思います。
あと、2015~16年頃って、NetflixやABEMAが誕生して、それまで自分で観に行かなければ観られなかったアニメが、より手軽に見られる時代になったと思うんです。だから「このタイミングを逃したら、言う機会はなくなるな」と思ったんです。
ーー発言したことで、また視野が広がったのでは?
世界:そうですね。仕事の中で声優さんや、業種の違う人と関わる機会も増えてきて「やっぱり自分の世界を持っている人って面白いな」と思うことが多くて。自分の世界観が強い人って、ダンサーにも意外に多いんです。アニメ好きの人とは、すごくシンパシーを感じていたし、あらためて言って良かったなと思いました。
ーーいろんな世界観を持った人と話せるし、楽しさを共有できるから楽しいですよね。
世界:いわゆる沼ですね(笑)。
ーー世界さんはそもそもどんなジャンルの作品が好きなのですか?
世界:やっぱり少年ジャンプ系は好きですね。王道のヒーロー作品はもちろん好きですし、ジャンルの幅が広いのかもしれないです。こういうジャンルは苦手だから見ないっていうのはなくすようにしました。知らない漫画をジャケ買いすることもありますし、そこは音楽を選ぶときの感覚に似ていると思います。アニメは、とりあえず全部1話は見てみようと。特に僕の中での指南書的なアニメは『ケロロ軍曹』ですね。アニメってこうやって楽しむんだ!的な(笑)。『ドラゴンボール』や『NARUTO -ナルト-』にも影響されました。
ーーアニメを大人になっても見続けるきっかけになった作品は?
世界:それでいうと『新世紀エヴァンゲリオン』だと思います。最初に「何だこれ?」と思ったのがエヴァで、成長して観てもよく分からない部分がエヴァにはあったんですよね。そこから少し大人になって『Fate』シリーズを好きで観るようになりました。
ーー『Fate』シリーズといえば、制作会社ufotableさんが有名です。『鬼滅の刃』でもアニメ制作されていますね。
世界:TVアニメ『鬼滅の刃』の第1話を観たときは震えました。ufotableさんは『Fate』シリーズからすごいとは思っていましたが『鬼滅の刃』を観たときは、「これはとんでもないことになるな」って。戦いの表現がアニメでもすごく上手に描かれていたので、これは幅広い層が好きになるアニメだなと。劇場版の無限列車編もとても楽しみです。
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ーーアニメを観ていることを隠さなくてもいい世の中になって、本当に世の中が変わったなぁと思います。
世界:オタクが市民権を得た感じはしています。漫画やアニメの文化って日本が作ったものなのに「なんでそれを自分たちで否定しちゃうんだろう」と子供ながらに思っていたんですよね。「なんでそういうもの(アニメなど)を観ているの?」と言われて、「なんか好きなんすよね」ってはぐらかしたりしていたけど、そういう経験をいろいろしてきたからこそ、今がすごく楽しいです。やっと街に住めるようになった、みたいな感覚です(笑)。
(取材・文:塚越淳一)
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