「トリキの錬金術」に続き新たな抜け穴も… コロナ禍で揺れる“モラル” 悪いのは悪用する人か、制度か
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 コロナ禍で打撃を受けた飲食店を支援する「GoToイート」キャンペーンが、1日から始まった。予約サイト経由でお店を利用すると、昼食は500ポイント、夕食は1000ポイントがもらえる。

【映像】“トリキ錬金術”問われる日本人のモラル

 この仕組みを使って、焼き鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」で1品税込み327円分を注文し、支払い額とポイントの差額を荒稼ぎする“トリキの錬金術”が物議を醸した。鳥貴族はキャンペーンの対象をコース予約のみに限定する対応を取った。

 こうした制度上の不備とも言うべき問題に政府は「制度は変えない」としてきたが、農林水産省は8日、「ポイント未満の利用を抑制する手段を飲食店に取っていただく」と、キャンペーンを利用する場合は付与ポイント以上の飲食が必要とする仕組み作りを店側に要求した。

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 さらに、ポイントを使うことで毎日繰り返し食べ続けられるという新たな抜け穴が、9日の野党合同ヒアリングで指摘された。GoToイートキャンペーンでは、もらったポイントで夕食を食べてもさらに1000ポイントがもらえてしまうため、例えば一度1050円で食事をすれば翌日から同じメニューを50円で食べ続けることができる。

 ルール的にダメではないが、モラル的にどうなのか。こうした問題について、9日の『ABEMA Prime』は境界を考えた。

■“想定外の利用” 悪いのは悪用する人?制度?

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 今回の騒動について、「(トリキの錬金術は)ルール違反ではない。でも“何のための支援策か”“これは迷惑か”とか少し考えれば分かる常識とかあるじゃん。持続化給付金不正受給は逮捕案件だから一緒にはできないけど、国民の残念な極一部が非常識な利用をすればするほど、国は申請のハードルを上げる理由付けができるようになる」とツイートした、前衆議院議員でタレントの上西小百合氏。

 GoToイートキャンペーンの不備について上西氏は、「緊急事態宣言下で低迷した景気を回復しよう、国がちょっとお金を出すから経済を回していこうというプラン。性善説に基づいて、ちょっと急いでしまったとは思う」と見解。トリキの錬金術には、「悪質な行為だと思う。居酒屋をわざわざ予約して安い商品を頼んで帰るというのは、普段ならしない。予約によって2時間くらい席を取っておかなければならないというのは、店から営業妨害と言われても仕方がないと思う」と話す。

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 一方、2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏は「予約の有無は関係なく、行ったらもらえるという仕組みがあれば使うのは至極当たり前だと思う」とした上で、「制度の穴があるのであれば設計した側が悪いわけで、客側が悪いわけではないだろう」と指摘する。

 上西氏は「これまでも震災時などに支援金を出してきて、その度に申請や手続きが煩雑だとか書類の記入が面倒くさい、ややこしいという批判が出たと思う。今回もそういう声が多過ぎて、国がある程度ハードルを下げた部分はあるのでは。そこに付け込んで国民側が安易な利用の仕方をしたというのはすごく残念だ」とした。

 GoToトラベルから数カ月遅れでスタートしたGoToイート。この間、制度設計を検討する余地はなかったのか。

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 元経産官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は、「彼らがやっていることは実社会版のハッカーなわけで、今回はいわば必要悪。政府が事前に想定するとガチガチな制度になっていくので、事業者と一緒になって対応していくというのは正しい方向性だと思う。似たようなケースで、役人時代に金融の制度を作る時、僕はむしろ守りの側で不正が起こらないような仕組みを提案した。でも、『使われなければ意味がない。使いやすい仕組みを作った上で、後から対応して俺らが怒られればいい』と言う幹部もいた。今回、こういうシステムを使うと貧困層に対する食事の支援もできるということがわかったわけで、それはそれで使いようがあると思う」との見方を示す。

 これに対しひろゆき氏は「ひとつ誤解があると思う。悪用されないようにするのであれば、オンラインサイト上で“1人当たり10回まで、上限1万円”などとすればいいだけだ。個人がいっぱいアカウントを作ってしまうのであれば、電話番号認証を入れるとかいくらでもやりようはあるし、簡単にできることなので難しいという前提はちょっと違うと思う」と反論した。

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 また、上西氏の「今回のことを反省として、国は支援策、給付策を打ち出す時に言い訳することができるようになる大義名分を作ってしまったと思う」との見方にも、「僕がさっき提案した1人当たりの上限を決めれば済む話ではないか。それが3万円なのか5万円なのかはその都度決めていけば良いだけで、“永遠に誰でも使えます”はおかしい話だ」と返した。

■コロナ禍で揺れる日本人の“モラル”

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 コロナ禍のモラル批判として、最近ではマスク着用をめぐる堀江貴文氏と餃子店とのトラブルがあった。餃子店を訪れた際、同行者がマスクをしていなかったために入店拒否された堀江氏が、その経緯をSNSに投稿。店側も反論してSNS上で論戦状態となり、賛否両論が巻き起こる事態に。その後、堀江氏のファンらによる営業妨害を理由に餃子店は休業している。

 両者の対応について上西氏は、「お店がルールを決めていくものなのである程度仕方がないと思うが、堀江さんがおっしゃるように基本的にごはんを食べる時、お酒を飲む時はマスクを着用しないので、そこはお店側が融通を利かせてもよかったと思う。ただ、堀江さんは一般の方と違って発信力が大きい。今の時代、特定される情報が出されていないにもかかわらず、ネットの人がパトロールして何としてもその個人を特定するということが多発している。やはり、餃子店を特定されるようなツイートをしてしまったというのは堀江さんに問題があったのではないかと思う」との見方を示す。

 ひろゆき氏は「マスクを着用した方がいいというのは清算(お会計)時の話だと思う。別に食べている時にまで付けろと言ったのではないし、お店がルールを決めるのは自由だと思う。店のルールが守れないのであれば食べられないというのは当たり前で、大きな問題にしてなぜイタ電までするのかは気になった。あとは、店の名前をわかるように書いた堀江さんが悪いというのはあると思う」と、堀江氏のツイートを問題視する点に賛同した。

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 一方、お笑いトリオ・パンサーの向井慧は「“マスクを着用してくれ”というお店で、着用していなかった。それで帰らせたのは、お店は悪くないと思う。ただ自分が堀江さんの立場だったら、それでムカついたということを言いたいという気持ちはわからなくもない。堀江さんは一生そういうことをつぶやけないのか。フォロワーが少ない人はそういうことをつぶやけるが、フォロワーが多い人はつぶやけないというルールは不公平だとも思う」とし、「イタ電をかける人が一番良くない」と話す。

 AV女優の紗倉まなは、コロナ禍における意識の差だと指摘。「そういう店が増えてきているということを認識するというか、(コロナは)仕方ないことでもあるので意識レベルの差だと思う。そういう店もあると知った上で動くことと、初めての経験でショックで書いてしまったというところもあると思う。それを見て“そういうお店があるのか”と多くの人は落ち着くと思うが、さらに責め立てるということになると、危ういというか怖いなと思う」と、SNSでの広がりを危惧した。

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 宇佐美氏は「一般論になるが、攻撃力のあるアカウントを持っている人は自覚して欲しいなと思っている。ある特定の人が僕のツイートを引用したりすると、その後100人とか1000人単位で襲い掛かってくるということがある。攻撃力がある人は自覚して、控えめにその攻撃力を使って欲しいと思う」と自身の体験から訴えた。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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