端正な顔立ちに、スレンダーな体型、4歳から始めたダンスで培ってきた表現力で、“日本一のイケメン高校生”を決める「男子高生ミスターコン2018」にてグランプリを受賞した新原泰佑(20)。その後は、モデルの仕事を務めるなど活動し、現在放送中のドラマ『17.3 about a sex』(ABEMA)で、俳優デビューを果たした。熱演したのは今どきの多感な男子高生の堀田劉生役で、さわやかなイメージとはかけ離れたキャラクターで視聴者を驚かせた。注目若手俳優の筆頭株、ネクストブレイク必須の新原泰佑に、仕事への思いを聞いた。
――本日はよろしくお願いいたします。ドラマデビュー作となった『17.3 about a sex』では、女の子のことをモノとしてしか思っていないような最低な役柄を演じられました。最初にお話が来たときは、正直どう思われましたか。
新原泰佑(以下、新原):視聴者のみなさんと同じ感想ですよね(笑)。台本を読んで「なんだこいつ、とんだくず野郎じゃないか」と思ったのが最初の感想です。でも、物語の全体を通して考えたときに、絶対に必要な役柄なので、どうせなら見ている人全員に嫌われるように演じてやりたい! という気持ちで挑みました。
――覚悟があったのですね。どんな役作りをされたのでしょうか。
新原:自分と似ている点が一つもなかったので、堀田劉生を1から作っていく必要がありました。まずは、リアルな高校生の実態を知るために、地元の高校の近くに行って高校生を観察したり、ファーストフードで隣に座って、会話に聞き耳を立てさせてもらったりしました。
――すごい探求心ですね。とはいえ新原さんは、まだ高校を卒業して2年ですよね。そんなに違いがありましたか。
新原:たった2年でも、文化、流行り、言葉遣い、人との距離感、関係性など、大きく変わっていることはたくさんありました。しかも、ドラマの共演者たちは、僕以外現役の高校生。確実に2年の差を埋めることが第一だと考えました。
――実際に現場で現役高校生の共演者と接して、2年の差は大きいと感じましたか。
新原:かなり大きかったです。撮影中に、彼らがなにを話しているのかわからなかったりするんですよ。研究しても埋められないなにかがあるなと。でも、役としては違和感があってはいけないので、追いつくように意識しました。
――どんな風に高校生役に溶け込んでいったんですか。
新原:エキストラさんも高校生だったので、暇さえあれば誰かに話しかけて、若い子たちの今を知るように心がけました。
――実際に演じてみていかがでしたか。
新原:役が役なので、まずは心が痛かったです。しかも、クランクインが彼女を押し倒すシーンだったんです。演技をする前には、相手役の永瀬莉子さんに、「僕も本気で襲いにかかるので、本気で嫌がってくださいね」って話しました。どれだけ僕が酷い奴に徹することができるか。それが物語の分岐点になると思ったので100%の力で演じました。
――反響はいかがでしたか。
新原:SNSがすごい荒れました(笑)。「劉生ひどい」「ふざけんな」ってコメントがたくさんあったので、ああ、よかったと一安心しました。ドラマを見ていた母からは「なんであんなひどいことするの!」って怒られて(笑)。いやいや演技だよって。
――新原さんのお仕事観もお聞きしたいです。そもそも芸能界デビューしたきっかけは何だったのでしょうか。
新原:中学生の時に初めてミュージカルを見たのが最初のきっかけです。ダンスができて、歌えてお芝居もできるのってすごいなと感動して、芸能界に興味を持ち始めました。その夢をかなえる一歩になるといいなと思って『ミスターコン』を受けました。そこでグランプリをいただいて、本格的に芸能活動がスタートしました。
――グランプリに選ばれたときはどんなお気持ちでしたか。
新原:毎週土日は泊まり込みのオーディションで、SNSもずっと更新し続けないとならないような状況で、精神的にも体力的にも正直かなりきつかったんです。なので、優勝したときには、まるでダムが決壊したように涙がどっと溢れました。
――周囲の反響はいかがでしたか。
新原:記事に泣きすぎている顔の写真が使われてしまって。家に帰って、母から「写真が不細工すぎる」と言われました(笑)。まあ、自分で見てもかなり不細工だったので、仕方ないですね。
――いい思い出ですね(笑)。芸能界デビューの実感はわきましたか。
新原:ついに一歩を踏み出せたのかもしれないという気持ちはありました。
――仕事がスタートしてからはご自身に変化はありましたか。
新原:それはありませんでした。もともと高校1年のときからダンスの講師をしていたので、仕事をするという意識は変わりませんでした。ただ、事務所に所属して、お仕事を頂いて、いろんな人がかかわっているという実感が湧いてきました。その分、責任は大きいと改めて感じています。
――芸能界の仕事を始められて、大変だったことはありますか。
新原:とくにないです。逆に、楽な仕事はこの世にあるわけがないので、辛いとか苦しいとか、ネガティブな考えははなから頭にないです。楽して稼ぐのって、楽しくないと思うんですよ。僕は仕事が生きがいで、常になにかをして動いていないと済まないタイプ。仕事やお金は、自分の努力のあかしとして得ていきたいんです。仕事をして、応援して頂いて、成果を得る。それが僕が生きようと思っていた道です。
――しっかりしてて圧倒されてしまいます。
新原:子供のころからダンスをしていて、振り付け、演出を考えていた影響は大きいと思います。少しでも妥協すると、自分の見せたい世界観ではなくなってしまいます。そのときの100%を出さないと、お客さんは冷めてしまうし、見てもらえなくなるとわかっているので、自然にこういう考え方になったのかな。精いっぱい死ぬ気でやって、どうしてもダメで、諦めざるを得ないのならば、仕方がないです。妥協からくる諦めは絶対にしないのが自分のルールです。
――今年20歳の男子とは思えないほどしっかりした考え方をお持ちですね。最後に、今後挑戦したい役柄などありましたら教えてください。
新原:『17.3』では、どうしようもないくず男を演じさせてもらいましたが、実は、ちょっと変だったり、嫌われ者の役の方が好きなんです。だから「なんだこいつ」って見ている人が興味を持ってくれるような役に挑戦したいです。殺人鬼とかサイコパスとか、ダメ人間とか。僕が演じて、視聴者を刺激させることができたら、役者冥利に尽きるかなと思っています。
――ありがとうございます! 今後のご活躍を期待しています!
テキスト:氏家裕子
写真:You Ishii