女子高生の性に関するリアルを描く、ABEMAオリジナルの連続ドラマ『17.3 about a sex』。永瀬莉子ら現役JKモデルが、性に関する疑問や悩みに立ち向かう女子高生を実感たっぷりに演じる本作は、性教育につきまとう「堅苦しい」「敷居が高い」という古い価値観を刷新し、教育関係者にも好評を得ているという。
▶︎動画:10代の人工中絶は1日あたり37件…綺麗ごとでは済まない “学生妊娠”のシビアな現実
そんな話題作の最新エピソードにあたる第8話では、学生の妊娠という綺麗ごとでは済まされない切実な問題をテーマにする。少女漫画や恋愛映画などでしばしば題材にされる、学生の妊娠ストーリー。温かい結末で終わりを迎えるのが常だが、現実はそう甘くはない。日本での人工中絶は1日あたり440件以上。そのうち10代は約37件というデータがある。第8話ではそのデータをベースにしたシリアスな物語が展開する。
女子高生の咲良(永瀬莉子)は、優等生として有名な遠藤成美(中村守里)が産婦人科から出てきたところに遭遇する。なんと成美は妊娠しているという。妊娠22週を過ぎており、法律上中絶はできない月日に達している。しかも相手は、かつて咲良のバージンを無理矢理奪おうとした元カレ・堀田劉生(新原泰佑)だ。
勤勉で優しく、英語教師になることを夢見ていた成美だったが「妊娠した者と性犯罪者は退学」という校則のもと退学処分となる。一方、おとがめなしの劉生は問い詰める咲良にこう言い放つ。「知らねーよ、あいつがグズグズして検査しなかったからじゃん」「なかったんだよ、ゴムが」「そもそもあいつが安全日とか言ってたし」…。生物教師で咲良たちに正しい性知識を伝授する城山先生(ソニン)は、「安全日なんてない!」と学生たちの性知識のなさに憤りを覚える。
何故妊娠した女学生だけが処罰の対象になるのか!?抗議の声をあげる咲良だが、教頭からは「妊娠したまま通学してお腹の子に万が一のことがあったら?」「子育ても大変な中で勉強に追いつくのも難しい」「ほかの生徒にも悪影響を与える」ともっともらしい言い分を聞かされる。
その言い分に違和感を覚えた城山先生は「妊娠自体は悪い事ではない。問題は子供たちがセックスのリスク、中絶のこと、避妊の具体的な方法などを教わってこなかったからだ」と現行の性教育について疑問を呈する。咲良は恋人の悠(水沢林太郎)、友人の祐奈(秋田汐梨)、紬(田鍋梨々花)、城山先生とともに大学進学という成美の夢を応援するために何ができるのかを調べ始める。
もちろん新しい命は大切だ。しかしそれを授かる人が幸せでなければ、祝福されなければ本末転倒だ。咲良たち女子高生は頭を突き合わせて考えて「赤ちゃんができる気持ちとか、今はまだわからない」「成美が幸せじゃないと赤ちゃんも幸せになれない」「どの道を選んでも大変だと思う」と飾ることなく率直な気持ちを述べる。
城山先生が言うように、妊娠自体は悪いことではない。しかし学生の妊娠は進路を狭めてしまう可能性だって現実問題としてあるだろう。必要なのはやはり正しい性知識。学生時代の性教育の充実と重要性を痛感させる意義深い回だ。