「お人好しだから、技術が抜かれていることにすら気づかない」甘利氏が“経済安全保障”の意識の浸透を訴え
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経済再生担当相などを歴任してきた自民党の甘利明税調会長が24日の『NewsBAR橋下』に出演。注目の概念「経済安全保障」について橋下氏と語り合った。

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橋下:安全保障といえば軍事力を中心に国を守ることだったところに、経済でも守っていかないといけないというのが経済安全保障で、これを甘利さんはずっと提唱してきた。今ではキーワードにもなっているが、自民党でもそういう意識が弱かったと思う。

甘利:例えば日本がある国に対して気に障るようなことを言ってしまい、レアアースの輸出が禁止されたとしたら、日本の先端技術産業がギブアップさせられてしまう。あるいは日本が研究していた機微技術をサイバーアタックで抜かれたとか、研究者がスパイだったとしたら、場合によっては何十年、何兆円とかけた成果を持っていかれ、その国に発展させられてしまうかもしれない。軍事的な武器よりも経済の方が強い武器になることがあるというリスク、脅威に対する意識がなければならない。その点、日本はお人好しだから、自分の技術が抜かれていることにすら気づかない。私は3,4年前から危ないと言い続けてきたが、ようやく世間が追いついてきたという感じだ。

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橋下:難しいのは、取引を自由にしすぎれば安全保障の問題につながるが、かといって制限をかけすぎてしまうと経済が発展しなくなってしまうということ。まさに政治の腕の見せどころだと思う。

甘利:“これはうちがナンバーワンだから強みにして頑張っていかないといけない”、“これは同盟国だったら共同研究してもいいが、そうじゃない国に対しては止めておこう”などをしっかりと仕分けをすることが必要だ。

橋下:アメリカ大統領選の結果がどうなるのかはっわからないが、トランプ大統領の路線は中国に対してハイテク部分は全て切り離そう、排除しようという姿勢だったと感じる。日本もそこに与していくのか。

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甘利:今までのアメリカは、他国に取られても“うちはその上を行くから”と、常に余裕綽々だった。ところがそのアメリカと同じようなものが出始めている。アメリカとしても余裕こいていられなくなってきている。

例えばAIや量子コンピューターといった技術は民生用として国民の利益になるものだと考えているが、一方ですぐに軍事に転用され、物理的な脅威になってしまう。あまり国の名前は出せないが、日本企業も最先端の半導体製品についてはリスクのあるところには輸出せず、一つ前の世代のものを輸出しよう、と考えている。アメリカもリストを作り、“ここは出してもいいがここは出さない”ということをやっている。そこは協調しないと、“日本と組めば情報や技術が抜かれてしまう”となって同盟国の仲間から外されてしまうおそれがある。やはり西側の同盟はしっかりと担保しながら、隣の国とどう付き合うか。そこは安倍さんも苦労してきたし、菅さんも苦労すると思う。

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橋下:アメリカくらいの強さになれば、中国に対しても“俺たちでやるんだ”と言えるけど、日本はそうはいかない事情がある。報道を見ている限りでは、中国を全部排除していく、それに日本も乗っかってこいみたいな方向性に対して、菅さんは“いや、ちょっと待ってくれ”と。“なんでもかんでも中国排除じゃなくて、安全保障の観点から線引きをやるんだ”、ということのようだ。やはり中国を完全に切るというのは難しいと思うし、日本はそういう方向でいかないと。

甘利:隣の国だから、付き合いを全て断つわけにもいかない。逆に不信感を持たれちゃいけないので、アメリカに理解してもらわないといけない。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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