芸能界きっての焼肉の達人・寺門ジモンが、ついに焼肉を“出演”させる映画『フード・ラック!食運』を完成させた。焼肉を通じて、親子の愛や人との大切なつながりを描いた人間讃歌の本作の主演には、寺門と同じく「肉好き」を公言するEXILE NAOTOと土屋太鳳が抜擢された。
焼肉店「根岸苑」は、良人(NAOTO)の母・安江(りょう)がひとりで切り盛りする人気店。しかし、人気グルメ評論家による事実無根の中傷記事により、客足は激減、店は閉じることに。それから18年、家を飛び出しうだつのあがらないフリーライターとして日銭を稼ぐ良人は、編集者の竹中静香(土屋)に誘われ、本物だけを集めたグルメサイトの立ち上げを手伝うことになる。取材交渉にあえぐ中、ふたりは安江が倒れたという報せを受ける。
初監督となった寺門のもと、焼肉とともに過ごした撮影時間について、NAOTOと土屋、寺門本人に聞いた。
「とろける肉しか用意していない」から、NAOTO&土屋太鳳の声帯がツルツルに!?
――寺門ジモン監督が焼肉ムービーをついに撮る、ということが話題になっています。寺門監督は、撮る上でのこだわり、苦労など、どこにありましたか?
寺門: こだわりは…というか、撮る前の台本の時点で、もう画は見えていたんですね。本当に、その役の人が座っているだけで、何をやっても大丈夫にしました。(台詞を)噛んだところも、「噛む」行為自体、人間はしてしまうじゃないですか。だから、NGはないんです。もしかしたら、役者さんたちは俺が何も言ってくんねえから、「はあ…」と思ったかもしれないけど、言うんじゃなくて、「あなたの色を出して」という空気や圧力をかけました。…ただ!問題は、お肉の焼き方。お肉に関しては、ちゃんと焼けなかったらダメです、NGです!太鳳ちゃんには申し訳ないけど、もしかしてキスシーンより難しかったと思います!
土屋: (笑)。
――NAOTOさんも、土屋さんも、すっごくおいしそうに召し上がっていましたよね。
土屋: ほんっとうに、おいしいんです!!
NAOTO: ほんとにね!すごくおいしいお肉を用意していただいたんですよ。
寺門: とろける肉しか用意していないので、台詞は言いやすいはずなんですよ?喉の薬みたいな肉ですから、あれ。
土屋: もう声帯、つるつるです(笑)。
寺門: 太鳳ちゃん、素晴らしい食べっぷりだった!太鳳ちゃんは編集者役だから、太鳳ちゃんにガンガン焼かれたら困るんですよね、NAOTOくんがキレイに焼かないとダメでね。NAOTO君は焼き方をいろいろやったから、結構厳しかったかもしれないですね。
NAOTO: 焼き方について、ジモンさんは本当に、本当に厳しかったです。僕、ジモンさんに点数をつけられていたんですよ。
――どのタイミングで点数をつけられていたんですか?
寺門: いつも、全部だよね!
NAOTO: 映画の撮影に入る前に、ジモンさんが気を遣ってくださって、「俺の焼き方を見ろ」という会があったんです。じーっと見て、ビデオを撮ったりもして、常時、焼き方を学んでいました。いざ撮影で焼いたら、ジモンさんに「今のは30点」、「40点!」と点数をつけられて(笑)、少しずつ上がっていったんです。あるとき、「今のはよかった!92点!」と言われて、「やった、ついに92点出した!」とすっごい喜びました。そこが俺の最高得点だったんですね。
後日、打ち上げのときに、すごくいいお肉の差し入れをしていただいて、太鳳ちゃんが焼いてくれたんです。ジモンさんがそのお肉をパッと食べて、「96点!」と言って……(笑)。たった1回で、あっさりと俺の歴史が追い抜かれました(笑)。
寺門: 俺、本当に思ったことしか言わないの!
土屋: ありがたいです。けど、私が打ち上げで焼けるようになっていたのは、指導をずっと近くで見ていたからだと思います…!
――先ほど、寺門監督は役者さんへの演出は空気で圧をかけて、という表現をされていましたが、実際のところはいかがでしたか?
土屋: ジモンさんは、本当にいい監督さんだと思います。
寺門: え!何それ、なんで!?
土屋: 映画って、緊張感がすごく大事じゃないですか。ジモンさんの現場には、緊張感がすごくあったんです。
NAOTO: ありました、ありました。
土屋: 優しい監督も素晴らしいと思いますけど、どこか「絶対いいものを撮らないといけない」という緊張感があると、こちらは勝手に察知して、スイッチが入りやすくなるんです。なので、本当にいい監督なんだな、と思っていました。
寺門: 僕は、やりにくい追い込み感が大嫌いだから、やりやすい追い込み感を意識していましたね。
NAOTO: 基本的に、お芝居の上で、「こうで」という細かい演出は、あまりされなかったんです。けど、ちょっと悩んでいたときに、ポンと一言ヒントをくださったりして。きっと僕が迷っている部分を察知して、すごくわかりやすく一言で明確に伝えてくれたんです。長い言葉じゃないって、自分の中ではすごくやりやすかったんですよね。役者に対してのちょっとした気遣いみたいなものを、すごく感じました。
寺門: 現場でさ、あれこれ言ったら、わかんなくなっちゃうじゃないですか。わからないことを説明してもわからないんだから、そのとき見えるものを渡してあげるんですよ。一応、僕は芸歴35年あるので、悩んでたら一言言うぐらいですね。逆に言えば、演技を細かく現場で教えないといけない人は、キャスティングしません。その時点で、「君、ここに来るまでに、もうちょっとやってくることがあるだろう?」と、俺がイライラしますから。…もしかして、厳しいのかもしんないね、俺。
焼肉を食べても太らない方法とは!?スリムボディのNAOTOが伝授!
――本作を観ると、まんまと焼肉に行きたくなる衝動にかられます。NAOTOさんは日ごろ三代目JSBのパフォーマーですが、劇中でもあれだけめしあがって、体型キープもされていて。焼肉を食べても太らない方法があれば、伝授してください。
NAOTO: アドバイスとしては、そもそも牛は良質なたんぱく質なんです。脂身の多いところを食べたらよくないかもしれないですけど、バランスよく、赤身も含めて食べたら、俺は絶対に太らないと思います!あとは、お米の量ですよね。お米を食べたい人は、ちょっと少なめにして、先に野菜を食べたら太りづらいです。血糖値がガーンと上がらないので……って、まあ、皆さんご存じだと思いますが(笑)。けど、肉自体は全然問題ないと思いますよ!僕、すごく肉を食べるので。むしろ、ちょっと体を絞りたいときは、肉を多めにしているくらいなんです。
――『EXILE NAOTO オネストTV』(YouTubeチャンネル)では塊肉を焼いていましたよね。家で焼くときの工夫など、ありますか?
NAOTO: あんなレアな回を見ていただいて、ありがとうございます(笑)。僕、実は家のベランダで、七輪と炭火で肉を焼いているんですね。普段コンロを使わないんですよ。真似しづらいかもしれないですけど…、とはいえ今、簡単に七輪はネットで買えたりするので、皆さん、もしよければ七輪と炭火をご用意してみてください(笑)。
――ありがとうございました。では最後に、寺門監督から読者にメッセージをお願いします。
寺門: タイトルにも入っているように『フード・ラック』だから、観ている人も幸せになれるような映画を作りたかったんです。「おいしい」という気持ちは、やっぱり人を幸せにすると思うので、観た方に「お肉を食べたいな」と思ってもらうことが、まず絶対ですね。それからもうひとつ、この映画の大きなテーマに家族愛があります。観た後に、自分にとっての大切な人に電話してもらいたいなって。この2個ができれば、俺なんかが映画を撮った価値があるなと思いますね。
取材・文:赤山恭子
写真:You Ishii
映画『フード・ラック!食運』
良人の母・安江がひとりで店を切り盛りしている焼肉店「根岸苑」は、他界した夫が遺してくれた唯一の形見だった。女手ひとつで店を切り盛りし、息子を育てながら、愛情込めた手料理をふる舞うことが安江にとって幸福な時間であり、良人にとっても美味しい手料理を食べることが何よりも至福の時だった。人々に愛されてきた「根岸苑」だったが、人気グルメ評論家・古山が書いた事実無根の記事により客足は激減してしまう。少しずつ活気が戻り始めた頃、忙しく働き続ける安江に構ってほしい一心で起こした良人の行動で、 間もなくして安江は店を閉じることを決めたのだった・・・。それから18年後、家を飛び出し、うだつがあがらないフリーライターとして働く良人は、ある時、編集者の竹中静香とともに“本物“だけを集めた新しいグルメ情報サイトの立ち上げを任されることに。第一弾のテーマは因縁の「焼肉」!? 引き受けることを決めたものの、仕事に苦悩していた良人に疎遠になっていた安江が倒れたとの報せが届く。病床の安江に会う覚悟が出来ないまま、取材で訪れた名店の先々で懐かしい「根岸苑」の味と出逢い、“食”を堪能し、“人”との繋がりの中で母の想いを知り、良人の中で変化が起きていく…。“食運”に導かれた良人が最後に起こした奇跡とは―。
11月20日(金)全国ロードショー
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