18日に都内で確認された新型コロナウイルスの感染者は493人で、8月1日の472人を上回り過去最多を更新した。感染が拡大している状況を受けて、都は独自の「感染状況」の警戒レベルを4段階のうち最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げる方針だ。
感染拡大防止と経済の両立というジレンマを抱える中、警戒レベルの引き上げで何が変わるのか、時短営業や外出自粛の要請はあるのか、もうひとつの指標「医療提供体制」の警戒レベルは引き上げられないのか。テレビ朝日社会部で都庁担当の秋元大輔記者が解説する。
Q.過去最多493人感染に都庁内の反応は?
都の担当者は「予想を超える増え方だった」と話していた。8月の上旬に400人超の感染者が出ていて、そこが第2波のピークとなっていたが、今は感染者の増加率も上がっていて、今後400人台が山にならずどんどん増えていく可能性もあるとして都庁内では警戒度が上がっている。
Q.都の警戒レベルの引き上げ・引き下げの基準は?
東京都では毎週木曜日、専門家らが参加して「感染状況」と「医療提供体制」のひっ迫具合について分析する会議を行っている。「感染状況」については新規感染者の数や感染経路がわからない人の割合、「医療提供体制」については重症者や入院患者の数などが項目として分析されている。それらの項目を総合的に判断した上で、4段階で示す都独自の警戒レベルを毎週示している。
Q.今回の「感染状況」引き上げの決め手は?
様々な項目を総合して判断するということになってはいるが、その中でも特に注目されるのが感染者の増加の速さ。7日間の平均が、今月1日の170人から18日は335人と倍になっていて、今回の引き上げのひとつの経緯になっている。
Q.「医療提供体制」の警戒レベルは引き上げられない?
今回は「感染状況」のみ検討されている。感染者の数は増えているが、重症患者や入院患者の数はまだ急増していないため、病床にはまだ空きがある状況。「医療提供体制」の中で特に注目されているのが重症患者の数で、11月に入って40人前後で推移している(18日時点で39人)。重症患者用の病床は150床ほどあり、それを考えた上で空きがあるという状況。中等症者用の病床についても、約2500床ある中で約1200人が入院しているということで、まだ余裕はあるということだ。ただ、感染者の数が増えると遅れて入院患者や重症者の数も増えていく可能性があるため、中等症者用のベッドを2700床まで速やかに増やすよう都内の医療機関に通知を出している。重症者用のベッドについても300床を視野に入れて徐々に増やしていく準備を進めている。
Q.「感染状況」の警戒レベルが引き上げられたら、何が変わる?
引き上げの一番の狙いは、都民に向けて注意を呼びかけるということ。引き上げられたからといってすぐに何か行動が制限されるといったことはないと思われる。気になるのは時短営業や外出自粛の要請があるかどうかだと思うが、現時点で都庁内は検討に慎重となっている。前回、営業時間の短縮を要請した時は、感染が広がっているところ、例えば夜の繁華街であるとか年代・地域がある程度集中していたが、現在は全世代・各地域に広く広がっている。特に家庭内での感染が最多となっている中、ある都の関係者は「時短要請などをする上で、どれくらい感染対策の効果につながるのかを、様々な状況を鑑みて検討しなければならない」と話している。まず感染状況の警戒レベルを引き上げて、特に重症化するリスクの高い高齢者と一緒に住んでいる人などに向けて強く警戒を呼びかける見通しだ。
Q.強い要請ができない背景に予算の関係も?
補償については、年末年始に向けて病院のひっ迫などが懸念される中で、都は約2300億円の補正予算を組んで医療体制を維持できるようにするなど準備はしている。時短要請などについては国からも具体的な方針も出ていないので、それを受けて慎重に検討を進めていくとみられる。