コロナ禍に揺れた今年、人々の心に湧きあがった言葉を世界中から募った書家・岡西佑奈さん。その言葉を観衆の前で描くパフォーマンス14日、都内で行われた。
従来の枠に囚われないパフォーマンスが世界遺産・東大寺に奉納されるなど、人々を魅了し続けている岡西さん。新型コロナウイルスという不安との共存を強いられた今年、岡西さんにはどうしても描きたい「言葉」が芽生えていた。
「そういう時だからこそ、みんなで何か心から湧き上がってくるもの、“喜びに代わるもの”を作りたい。希望を描きたいと思った」(岡西さん、以下同)
「あなたにとっての希望の言葉とは」。世界中から募った言葉を岡西さんはこの日、集まった人々の前で描いた。
希望の言葉が描かれるはずの黒いキャンバスには、「絶望」の文字。そこに「共存」「和」などの言葉を連ねていく。7番目に描いたのは「愛」という言葉。この言葉を青色で描いた岡西さんには強い思いがあった。
「ピンクで描いてもよかったが、青で描くことによってよりこの地球の青さ、私たちが住んでいる地球というものを表したかった」
キャンバスには青色の他にも、桃色や緑色も。6種類の色で描かれた34個の「希望の言葉」。最後に7つ目の色、金色で描かれたのは、岡西さん自身が選んだ言葉だった。
「『志』には心の目指す行先という意味がある。心の目指す行先は明日にもつながるものですし、その人にしか持ってないもの。比較も差別もできない。その“こころざし”を胸に前に進んでいきたいという思いで『志』を選んだ」
「希望が生まれる時、人は絶望のさなかにいる」。そう話す岡西さんが書き上げた作品は、「絶望」という文字を「希望の言葉」で埋め尽くすように、塗りつぶすように描かれたものだった。
このパフォーマンスを見た客からは「勇気を与えられたという感じがして、とっても素晴らしかった」「生で見ると、岡西さんの姿からも熱いメッセージがダイレクトに伝わってくるので、本当に感動した」といった声が聞かれた。
「人それぞれの希望があると思う。自分自身の中にある希望というものを大事にしたいなと私自身も思うし、みなさんにも志を大切にしてほしいなと心から思っています」
中には、一つだけ英語で描かれた「Serendipity」という言葉もあった。スタジオで取材を振り返ったテレビ朝日の住田紗里アナウンサーは「『予想外の素敵なものに偶然出会う』という意味の造語で、岡西さんに伺ったところ『右上がりで描くことにこだわった』ということだった」と紹介した。
この岡西佑奈展『希望の書』は、今月29日まで東京・汐留メディアタワーの3階で開催されている(9時~19時)。24日と27日の午後4時からは岡西さん本人も会場にいるということだ。
(ABEMA/『ABEMA Morning』より)