BACKSTAGE TALK #4 O.B.S (Lil Cotestu,Bonbero,S9UALL)
AbemaMix出演の合間に、HIPHOPライター 渡辺志保氏がアーティストにインタビューを実施!
ココでしか聞けないBACKSTAGE TALKをお届けします!
ー皆さん、めちゃくちゃお若いですよね?
Lil Cotetsu:2000年代の早生まれなので、2001年生まれの19歳です。
S9UALL:2002年生まれ、18歳ですね。
Bonbero:2002年生まれ、僕も早生まれなので、今17ですね。
ーまだ10代なんだ!ラップを始めたきっかけは何だったんですか?
Lil Cotetsu:俺は中学校2、3年くらいの時、学校の友達とスケボーしたりしていて、そこからみんなフリースタイルを初めて、曲を作るようになったんです。
Bonbero:自分は千葉県出身で、気がついたら友達とラップをやってましたね。みんなで集まって10分でリリックを書くというゲームをやっていて。それを続けてたら、自然と曲が出来上がっていきました。
S9UALL:僕も、中学校の頃からラップは聞いていたんですけど、実際に始めたのは高1から。僕はもともと、周りにラッパーしかいない環境だったんです。地元は茨城の土浦なんですけど。
ー土浦といえば、Ryugo Ishidaさんがいますよね。
S9UALL:あ、兄貴です。
ーそうなんだ!そういえば、Ryugoさんのミックステープ『TAPE TAPE』でS9UALLさんのラップを聴いたのを覚えています。
S9UALL:それもあって、自然とラップするようになりました。ていうか、それ以外に方法がないなって。
ーちなみにお兄ちゃんがライブに来たり、ラッパーとしてアドバイスをしてくれたりすることはありますか?
S9UALL:最近はもうないですけど、最初の三回くらいはライブも観に来てくれました。(ラップを)始めるって時にも話をさせてもらったんですけど、あの人は自分の背中を見せてやっていくタイプなんで、「これをこうしたらできるよ」とか具体的なことは教えてくれないんです。レコーディングの仕方とかも教えてくれないから、兄ちゃんがいない間に、兄ちゃんの部屋に行って写真を撮って、同じ機材を買うみたいな。
ーそのアティチュードもかっこいいですね。三人とも、ラップを始めてわずか数年で今みたいにライブをしたりプロのラッパーとして活動したりしてるってことですよね。
Bonbero:ラップを始めた時は、今の姿は想像できてなかったです。今は、めちゃめちゃ楽しいです。
ー「俺ってラッパーなんだな」って手応えを感じるのはどんな時ですか?
Lil Cotetsu:やっぱりライブの時ですかね。自分も気持ちがいいと思うところで、お客さんたちがむっちゃ踊ってくれてるのを見ると嬉しいです。
Bonbero:曲を書いて、実際に録ってみたときに「やべー」って自分で感じることがありますね。そういう時に、ラッパーだなと思います。
ー 今回はO.B.Sのコンピレーション作品に三名で参加していますが、皆さんにとってO.B.Sとはどんな場所ですか?
S9UALL:10代だと、やっぱり資金源の問題もあって、なかなかいい環境で曲が作れないじゃないですか。そういうときに、(O.B.Sのプロデューサー)山さんが声をかけてくれて、自分たちに色んな体験をさせてくれるんです。
Lil Cotetsu:今回のレコーディングでも、すごくいいスタジオを使わせてもらって。
S9UALL:海外でも、若いラッパーがレーベルを作って、そこに大人たちが資金を提供するじゃないですか。そういう仕組みがなかなか日本にはないので、こういうO.B.Sの取り組みはありがたいです。
Lil Cotetsu:僕たち三人は、土浦のGOLDってクラブで遊んでた仲間でもあるんですけど。今回のO.B.Sでコンピレーションを作るタイミングがあって、やっと三人で作れました。
O.B.S 山本:O.B.Sは、クルーというよりもレーベルなんです。ジャンルに捕われず、色んな方に参加して欲しいです。こんなアーティスト達で曲を作ったら(1枚のコンピレーション作品として)面白そうだなと考えて、各アーティストたちにオファーをさせてもらっている。本当に色んな人たちに協力してもらって運営していますね。
ーちなみに、アーティストとしてコロナの影響を受けたことはありますか?
(三人揃って)めちゃくちゃありました。
Bonbero:まず、僕は高校生RAP選手権(以下、高ラ)に受かっていたんですよ。これまで、バトルのイベントには一回も出たことないけど、エントリーしてオーディションを受けに行ったら、余裕で受かったんです。で、高ラの次の日にEPをリリースする用意もしていいて、リリース・パーティーも準備していた。それで一気に名前を売ろうかなと思ったら(高ラが)なくなって、全て延期になってしまって。
【註:「BAZOOKA!!!第17回高校生RAP選手権」は2020年3月24日、川崎クラブチッタにて開催予定だったが、コロナ・ウイルス感染拡大を考慮して中止された】
ー数ヶ月分のスケジュールを全て書き換えなくてはいけなかったんですね。
Bonbero:そうです。
S9UALL:いつもライブしている土浦のGOLDってところがあるんですけど、コロナで休業して2ヶ月で(クラブの営業が)復活したんです。でも、その2ヶ月の間で遊び方が全然変わっちゃって。ウイルスのせいで、先輩たちの仕事にも影響が出て、そうした先輩たちが一気にライブに出れなくなっちゃって、現場には若い世代しか残らなかったんです。これまで経験を積み重ねてきた人たちが急に消えて新しい人たちが出てくると、遊び方も違うし、ライブの質も悪くなる。だから、そういうところで大きな変化があったかなと思います。でも、俺が全部そいつらを鍛えて行こうかなって思ってます。
Lil Cotetsu:僕はライブがすごく減っちゃったんですけど、最近は県外の他の地方とかに遊びに行っていて。ヒップホップだけじゃなく野外のレイヴのイベントとかにも行って、そこでライブをやらせてもらうこともある。コロナじゃなかったら、絶対に踏み入れてもないような場所だし、色んなことに気がつけるタイミングにもなっていて、逆にすごく刺激的でポジティブな変化を感じています。
ーなるほど。皆さんがそれぞれ一番ヤバいと思うのは、どの辺のラッパーですか?
S9UALL:フューチャーかポロ・Gですね。ポロ・Gも俺と同じで、伝統をうまく自分の色に変化して繋げていっているようなラッパーだと思うんです。シカゴのドリル・シーンがあって、それが終わりかけたときに、ポロ・Gが復活させたっていうストーリーがすごく好きなんです。大きい口を叩くのと同時にちゃんと実力が着いてくるのも、男として一番かっこいいなって。
Bonbero:結構影響を受けているラッパーは、J.I.Dとかロジックとか。Netflixのドキュメンタリー「RAPTURE」をみて、ロジックが、自分と他のラッパーのラップの違いを手を叩いて披露していたところがあって、それを見て「すごいな」って。あと、J.コールの韻の踏み方も、だいぶお手本にしています。
Lil Cotetsu:ずっと好きなのはチャンス・ザ・ラッパーですね。フロウも好きだし、ポジティブなヴァイブスが伝わる曲調とか乗り方も結構独特なので。
ーまだまだキャリアもこれからだと思いますが、例えば20代、30代になってもまだラップをしているイメージはありますか?
(三人とも)ありますね。
Lil Cotetsu:ずっと音楽には触れていたいですね。
Bonbero:将来的には海外のラッパーとも曲をやりたいと思ってるんです。ここ1、2年で実現するのは厳しいと思うんですけど。
S9UALL:三十歳までにはコール・ベネットとMVを撮りたいな。
Bonbero:いいなあ、それ。何年後とかは考えてないですけど、J.I.Dと一緒に曲が出来るくらいまで目指してますね。
Lil Cotestu:とりあえず、今は一日一日をどれだけ楽しんで過ごせるか、と思いながら過ごしています。好きな音を聞いて、やばいパーティーに遊びに行くことを繰り返していって、曲作りもする。そういうことをずっと続けていけば、もっと面白いことが待ってるんじゃないかなと思っています。
ーさしあたって、皆さんの今後の予定や告知はありますか?
Bonbero:11月中に、僕も参加したコンピレーション・アルバムが出る予定です。夜猫族のnomaが集めた若いメンツが参加してるので、チェックしてみてください。
S9UALL:クルーのEPが完成したので、そこからMVが二本出る予定です。あと、ソロでも動いているので、そっちも準備中です。いろいろやってないと落ち着かないので。
Lil Cotetsu:僕は2nd EPを制作中なので、楽しみにしていてください。