「責めるのではなく、修正を」星野リゾート社長がGoTo改善案、そして雇用調整助成金の継続・マイクロツーリズムを呼びかけ
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(5枚)

 「感染防止対策か、経済社会活動か」。そんな議論が加熱する中、GoToキャンペーンの運用見直しや営業時間の短縮要請など、観光産業、飲食店産業への大きな打撃が懸念される施策が始まっている。

 GoToキャンペーンに関する政府の対応について、26日の『ABEMA Prime』に出演した星野リゾートの星野佳路社長は「みんながコロナについて知らなかった3月の時点で完璧な制度設計にすることは誰にもできなかったと思うし、少なくとも我々は8~11月の中頃まではGoToによって随分助けられてきた。よく“混乱”と言われるが、再び感染拡大がしてきた時にバタバタと変化するのはやむを得ないことだし、なんとか乗り切らないといけないと思う。責めるのではなく、どんどん修正して良い制度になることを目指すべきだ」と指摘する。

・【映像】星野リゾート代表「2021年は観光産業の復活の年になるのでは」

「責めるのではなく、修正を」星野リゾート社長がGoTo改善案、そして雇用調整助成金の継続・マイクロツーリズムを呼びかけ
拡大する

 その上で、GoToキャンペーンの改善点について、「まず、withコロナの時期に“盛り上げる”というのは観光地には合わない。この3連休でみんなが思ったことだと思うが、レストランにしてもカフェにしても美術館にしても、3密回避を徹底するため、収容人数、一度に入れる人の数を減らしている。そこに普段通りに人が来れば、それだけで手に負えない状態になってしまう。やはり年末年始やGWなど、需要が増える連休には補助は避けた方がいい。次に、35%を引いた上に15%の地域共通クーポン券を出して50%分をサポートするというのは、ちょっとやりすぎた感がある。GoToはいつかは終えないといけないし、その時に65%だった値段が100%に戻れば反動減が起こる。自治体ごとの独自の補助もあるので、やはり20%を引いて10%の地域共通クーポンを出して30%分くらいにしないと、作業の煩雑さ、経済効果から見ても税金の無駄遣いになってしまう。自治体にそれだけの財源があるのなら、GoToが終わったときの反動減のために体力は温存しておいたほうがいい。利益を出そうとするのではなく、赤字が無くなるギリギリのラインでいきながら、ワクチンと治療薬の完成を待つというのがwithコロナの時期の本来の姿。国でも地方でも最小限の予算でやり切ること、感染が拡大してきても収まってきても変えない制度することが大事だ」と訴えた。

「責めるのではなく、修正を」星野リゾート社長がGoTo改善案、そして雇用調整助成金の継続・マイクロツーリズムを呼びかけ
拡大する

 そんな星野氏が率いる星野リゾートではコロナ禍による危機を見据えた大方針を掲げ、企業活動を続けてきた。

 「4月の2週目に発表したが、とくに“コスト削減して利益を確保しよう”ということは止むを得なかったと思っている。それまで大事にしてきたことも守りながら費用削減しなさいと言っても、社員はどうしていいのか分からなくなる。やはり犠牲にするものを会社の中で明確にしなければならない。私たちは顧客満足度もブランド戦略も大事にしてきたし、お客様の喜ぶことは全て揃えていたが、それらを犠牲にしてでも資金確保をしなくてはいけない時期だということを明確にした。そこで、3密になるようなサービスは全て削減した。例えばチェックインの時にはしっかりおもてなしをし、景色のいいところでお茶を出して…とやっていたが、それらも全てカット、到着したらすぐに部屋に入っていただいて、そこでチェックインの作業だけする。いつもだったらそこで少しお話しをするが、できるだけコンタクトの時間を短くする。それによって満足度は下がるし、実際にお客様からはいろんなコメントもいただいたが、やむを得なかったと思っている」

「責めるのではなく、修正を」星野リゾート社長がGoTo改善案、そして雇用調整助成金の継続・マイクロツーリズムを呼びかけ
拡大する

 こうした点から、雇用調整助成金が重要だとの認識を示し、「観光産業だけでなく日本産業全体にプラスになったと思っている。60%、70%稼働しないと黒字にならなかったホテルも、50%くらいでも黒字になるからだ。その意味では、これを延長していただくことの方がGoToの継続以上に大切かもしれない。私たち事業者は雇用を維持して乗り越えようということに本当に必死になっている。GoToは若干下げてでも雇用調整助成金をしっかりと延長させていただき、あと1年弱、乗り切って行けるようにしたい。繰り返すが、コロナはいつか終わる。その時に失った利益は戻ってこないが、復活のためには人材がいなければならない。お金は借りればいいが、人材は借りるわけにはいかない。ここはみんなで乗り越えることが必要だ。それは私たちだけのためではなく、日本の観光人材を残すということでもある」とした。

「責めるのではなく、修正を」星野リゾート社長がGoTo改善案、そして雇用調整助成金の継続・マイクロツーリズムを呼びかけ
拡大する

 さらに星野氏は自宅から1~2時間ほどのエリアを訪れる旅行スタイル「マイクロツーリズム」に着目、「これを市場の3分の1程度にまで確保できれば、どんな波が来たとしても4月、5月のような“90パーセント減”になることはない」と提言。それを踏まえ、今春の時点で生き残りのための“18カ月計画”を策定している。

 「根拠があったわけではないが、第2波、第3波が来ても乗り切り、オリンピックが開催されて、春ごろにワクチンが手に入る状態になっていれば、2021年は観光産業の復活の年になるのではないかと期待している。そこに向かって淡々と準備していくことが大事だ。 やはり4月、5月頃は“来ないでくれキャンペーン”が強く、“行っていいのか”という不安があった。実際、緊急事態宣言明けの1週目に、2万人を対象に調査したところ、“迷っている”が31%と予想以上に大きかった。しかし、逆に言えば、これはチャンスだと感じた。説得すればいらしていただける可能性があるからだ。自治体トップの方々にも、夏場になると“いらしてください”と発表していただけた。7月、8月頃は観光事業者の頑張りもあり、国内旅行でのクラスターは出なかった。その上にGoToのサポートもあったので、私たちの多くが助かったと思っている。国内旅行なら安全・安心だと思っていただけたという自信を持っているし、特に家族で自家用車を使い近場の観光地を旅行するようなマイクロツーリズムの需要はとても増えた。今の感染拡大も来年1月の後半には落ちてくると思っているので、そこから春に向かけて国内需要、特にマイクロツーリズムから取り戻していくための努力が必要だ」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

星野リゾート代表「2021年は観光産業の復活の年になるのでは」
星野リゾート代表「2021年は観光産業の復活の年になるのでは」
GoToめぐりTwitterでハッシュタグ合戦も…
GoToめぐりTwitterでハッシュタグ合戦も…
「お客様が10人来れば良い方」
「お客様が10人来れば良い方」
この記事の画像一覧

■Pick Up
キー局全落ち!“下剋上“西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
「ABEMA NEWSチャンネル」知られざる番組制作の舞台裏

この記事の写真をみる(5枚)