BACKSTAGE TALK #5 KIRA
AbemaMix出演の合間に、HIPHOPライター 渡辺志保氏がアーティストにインタビューを実施!
ココでしか聞けないBACKSTAGE TALKをお届けします!
ーまず、新曲の「Go To Hell」について聴かせていただきたくて。すごい曲が出たなと思って聴いていました。メンヘラ系とか病み系とか、この曲をカテゴライズするワードって色々あると思うんですが、その一言だけで済ませちゃうのは本当に簡単だけど、それ以上にこの曲に助けられたり励まされたりしているリスナーはすごく多いんじゃないかなって。
KIRA:普段、リリックをあまり聴いてくれない人にも引っかかるように、あえて「Go To Hell」というタイトルにしたんです。この曲は、私が友達や関係者に対して書いた曲なんですよ。まずは自分の心の闇を知ってもらおうと。
ーあくまでKIRAさんご自身のストーリーってことなんですね。
KIRA:それと、絶望感を抱えている全ての人のことを歌っているという感じで。説明するのが難しいんですけど、普段、私はフロントマンで、人に見られながらも、色んなことに対して強がらなきゃいけなかったり、耐えなきゃいけなかったりするんです。私、ほんまの自分の心の闇と、外から華やかに見えてる自分との間にめっちゃギャップがあるタイプなのかなと思うんです。みんな、私に対して、すごく幸せな人に向かって喋るような感じで喋ってくれるんですよ。だから、「私のこと、すっごく華やかに見えてんねんな」って感じていて。
あと、去年くらいから周りの人に対して「めっちゃ冷たくて意地悪やなあ」って思うことがあって。特にコロナ禍になって、芸能人の方が自殺するニュースもあって、そんな時でも、「誰々が自殺したらしいで。何でなんやろな?めっちゃ人気あるのに」って言ってる。でも、その言葉自体が「それ、あんたいじめっ子やで」って感じるんです。何の想像もせずに、ただイメージだけで、その(自殺という)トピックを楽しんでいるように思えることがあって。メンタルが病んでる時って、例えばお鍋が焦げただけでも涙が止まらなくなる時もある。
ーコップの水が溢れちゃうみたいに、感情のコントロールができなくなてしまって絶望的になってしまうことがありますよね。
KIRA:そう。だから、ほんのちっちゃいことが引き金になってるかもしれないのに、そこを全く気にせずに言いたいこと言ってるから、「みんな冷たいな」って。超華やかそうに見えても、自ら命を絶ってしまう人もいる。結局は、最終的に孤独になってしまうから、命が消えてしまうわけですよね。自分も、もちろんそういう風に感じたこともあるし、生きていたら死にたくなる時だってある。だから今回、こういう曲を発表するのはちょっとチャレンジでしたね。
ー「芸術とエンタメがフィアンセ」というリリックや、お父さんについて触れているリリックもあって、すごくパーソナルなことを歌っているんだなとひしひしと伝わってきました。
KIRA:家のことはずっとコンプレックスだったんですよ。小学校の頃から、誰にも言えずにいて。あと、この曲には恋愛的な寂しさも歌詞の中に入れているんです。「男の子はいつもねぇなんで 弱い女ばっか好きになるの?」って。すごく好きになったら超裏切られて、何か上手いこといかへんなっていう気持ちも歌詞にしていて。
ーこの「Go To Hell」がすごくいいな、と思ったのは、とことん暗い曲だというところなんです。コップの水が溢れそうな人に対して「頑張れ!」って応援する立場の人もいれば、今回のKIRAさんみたいに、寄り添うように、弱い気持ちを歌って癒す人も必要だと思う。だから、この曲ってすごく意味がある気がします。
KIRA:今は、世界規模で「無理したらあかん、みんな我慢してる」って時期じゃないですか。それもあって、今回は寄り添える感じの曲を作りたかったんです。落ち込んでいる人に対して、「なんでも言っていいよ、別に引かへんから」って聞いてあげられる人がいたら、いいんじゃないかなって。だからこそ、今回はちょっとドン引きされるようなことを歌ったんですよ。
ーそういう人がいるといないとじゃ全然違う気がします。「KIRAちゃんもこう言ってるんだ」って勇気づけられる人がいると思う。
KIRA:「頑張れー!」みたいな曲は結構、今までやってきたので、違うアプローチの仕方に挑戦したくて。例えば演劇でも、めっちゃ笑かしたりめっちゃ泣かしたりするじゃないですか。だから、私もシンガー、そしてエンターテイナーとして、歌で楽しませることもできるけど、同時にマイク一本で泣かせることができるというところも見せたかったんです。
ーそんな中、無観客オンライン・イベントとして『キラとこの夜 2020 ~オーサカトーキョー聖なるDiva祭~』を主催するということで。
KIRA:はい。元々、クリスマスに何かやりたいなと考えていて。「KIRAとこの夜」っていうのは、ディナーショーとしてずっと続けてきたイベントなんですよ。今年は、配信の世の中やし、それをちょっとグレードアップさせてやってみようと。加えて、そこに私の普段の仲間を招いてやってみようって。
キラとこの夜 2020 ~ オーサカトーキョー聖なるDiva祭~
ーディーヴァの名に恥じず、KIRAさんらしいなと思わされる人選ですよね。
KIRA:私、結構、「次、フィーチャリングに誰呼ぶ?」とか「ライブのゲスト、誰にする?」って時に、その時の人気予算とか、そういう現実的なことや政治的なところはあまり考えないようにしているんですよ。だって、企画が終わったら連絡も取らへんような人と一緒にやっても、「それ、何のためにやってんの?」って思うから。だから、その人がどんなスタンスで何をやってるか、というところを重視して声を掛けたんです。
ー同じビジネスをするアーティストとして、というよりも、人間として本質的な部分で繋がっていると。
KIRA:はい。なので、今回呼んでる仲間は本当に友達という感じ。それに、「彼女のことを宣伝したいな」と思う子しか呼んでないです。今回は自分のイベントやけど、こういう時こそ、マイク持って立ってる女子たちのパワーを感じて欲しいなと思っています。
ー配信ライブとして、新たな試みにチャレンジしている点などもありますか?
KIRA:今回、クリスマス時期の開催なので、クリスマス・プレゼントのノベルティーを用意してるんです。それが、チケット買ってくれた人全員に、私がその人の名前を入れて歌うっていう内容で。MP3で配布するんですけど、これはもうレゲエのダブ文化を反映したものですね。
ーそれ、めっちゃオンリーワンの思い出になる!
KIRA:一生に一度というか、世界に一つだけの音源を味わってほしいなと思います。あと、大阪からのゲストはFRANKIE PARISとかmi-raiとか、レゲエ・シーンの子たちがいるので、クロスオーヴァー的なステージになるかと思います。今、そういうのも少なくなってきてますよね。大阪自体、レゲエとお笑いの町みたいな感じだし、なんと言ってもレゲエのポジティブな感じ、本当にすごい好きなんですよ。レゲエの人たちって、ちょっと人のことをディスったりしたら、すぐ「それ、バッドマインドやん!」って突っ込んでくれるんです。
ーヒップホップの世界は、逆に勘ぐることがが多いから。
KIRA:そうそう、レゲエには「みんなで助け合おうぜ!」って雰囲気もあって、私の血はそこから流れてるなって思うんですよね。私自身、やってる音楽はヒップホップやR&Bにルーツがあるんですけど、ライブのスタイルとかはガッツリ、レゲエから学んだ流儀に則ってやってるので。今回、ライブ自体は配信ですけど、かっこよさとか面白さとか、いろんな面から楽しめる夜になると思います。