“育ちの良さ”に憧れる?社会の風潮にデヴィ夫人「努力、勉強の問題。気づいたら直していけばいいだけ」
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 発売から半年で30万部を突破、ベストセラーとなっている『「育ちがいい人」だけが知っていること』(諏内えみ著/ダイヤモンド社刊)。

 同書では“「育ちの良さ」は一生の武器!”を謳い、「ごあいさつは、いったん立ち止まって」「“すみません”は使わない」など、立ち居振る舞いや言葉遣い、さらには「麺類を途中でかみ切るのはNG」などの食べ方に至るまで、「育ちがいい」とみてもらえるよう、257におよぶ礼儀作法や所作を指南。読者からは「行動を見直すきっかけになった」「自分を変えることができると実感した」などの絶賛の声が寄せられているという。

・【映像】デヴィ夫人と考える"育ちの良し悪し"って必要? 

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 「育ちの良さ」が生育環境なのだとすれば、たしかに家庭によって、礼儀作法やマナーを教えてもらう機会には違いがあるのかもしれない。

 5歳で両親が離婚、母子3人で暮らし始めるも、母親が働き詰めだったため、子どもだけで過ごすことが多かったと話すのは、都内でスナックを経営する紗恵子さんは、「もやしを買う100円だけを渡されて、母親はいなくなるみたいな。家族でごはんを食べたりとかしたこともなかったんで、食事マナーを教えてもらったことは一度もない」。

 そんな自身の生い立ち、そして“礼儀”や“マナー”とは縁のない生活を「育ちの悪さ」として、今も苦にしている。「悔しいし、疎外感がある。壁にぶち当たると、“どうせ私こんなんだし”って。だからといって、“なんで教えてくれなかったの”って親を責めるのも違うし。じゃあどこで学べばいいんだろうって」。

■「“恥ずかしい“と気づいたなら、いいものを吸収して直せばいい」

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 『「育ちがいい人」だけが知っていること』のヒットについて、「迷っている方が多いということだと思う。向上心があるから、知らないから、経験がないから、いいものを見ていないから迷うのであって、そこで役立つ本があるというのはいいことだと思う」と話すのは、日本人として初めて他国の元首の妻になったデヴィ夫人だ。

 「昔は“育ちの良さが伺える”という人は大変に裕福、あるいは華族のような家庭に生まれ、障子の開け方、お箸の持ち方などの所作や礼儀作法を身に着け、おっとりとしていた。今はそんなことない。戦前は貧富の差が大きかったが、戦後は華族もなくなった。裕福な方の中でも下品なことを平気でする方もいるし、本人の美に対する意識、物事に気づくか気づかないかだと思うし、努力の問題だ」。

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 自身の半生について「名家の生まれでもない、学歴もない。母と弟を養わなければならないという、それだけで生きてきた。でも美しいものに非常に憧れていて、上昇志向があった。女優になりたいとか、有名になりたいとか、そういう気持ちもあった。ナイトクラブで働いていた時も、とにかくお金がなければ草月流も日本舞踊も習えない。裏千家にも入れない」と振り返るデヴィ夫人。

 「読書が一番の楽しみだったので、小さい頃からフランス文学、ロシア文学、イギリス文学などを読み漁った。カトリック教会の日曜学校で知り合った病院の院長先生の奥様にかわいがられて、お屋敷にも行った。そこには外国の方もいらしていて、色んな所作を覚えさせられた。また、家の裏にあった旧近衛第三連隊にアメリカ軍が進駐してきたので、英語をずっと聞いていた。彼らが話す英語を覚えたいと思って、独学で一生懸命に勉強した。その結果、中学では英語はクラスで一番になった。赤坂のクラブで働いた時も英語が話せないとダメだったが、私は外国人の方とお付き合いもできた」。

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 その上で「“恥ずかしい“と気づいたなら勉強をして、いいものを吸収して直していけばいい。どなたにも良いところがあるわけだから、自信をもってそこを伸ばしていただきたい。ただ、それも形だけでなく、心からでないと、通り一遍のものになってしまう。“目上の人に会う時にブーツを履いてはいけない”というのもおかしいと思うし、先日、“魚は白身を先にいただいて、そのあとにイカがどうのこうの…”という話を聞いたが、そんなの誰が決めるのか。好きなものから頂いていいと思うのに(笑)」と語った。

■「自分がどう見られるかではなく、一緒にいる人がいかに心地よく過ごせるか」

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 「若者メンタルサポート協会」代表として、若者の悩み相談に応じている岡田沙織氏も、“しつけ”を受けた経験が無かったと明かす。

 「15歳で夜の仕事に就いてから、“どうせ自分は中卒だし”と思っていた時期もあった。普通に育った人は“あちら側”で、私は“こちら側”だと。でも、変わりたい、もっと幸せになりたいと思った瞬間に、意識が変わった。自分がどう見られるかというよりも、こうした方が一緒にいる相手は心地よいのではないかという視点で考えるようになった。大人になってから、食事に連れて行っていただいたときに教えてもらったり、自分でも本を読んだりして、最後はマナー講師の資格まで取った。10代の頃はコンビニの前でタバコをふかしていたけれど、こんなふうに変われたよと、ということを伝える研修もした。だから生い立ちまで経歴から何から否定されてしまうのは残念だ」。

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 その上で岡田氏は、『「育ちがいい人」だけが知っていること』が売れていることについて、「かわいい女子大学生20人に、“かわいいですね、と言われたら何て答える?”と尋ねたら、全員が“いえ、そんなことないです”と答えた。そこで“ありがとうございます”と言った方が品もあるんじゃない?”と言うと、“この人、自分でそう思っているのかよと思われるんじゃないか”と反論された。結局、スマートに人の行為や言葉を受け取れないというのは、自己肯定感の低さから生まれている部分もあると思う。まずは育ち云々よりも、育ちに関係なく変わることができるという自己肯定感を高めるとことが先ではないか」と指摘する。

 また、「デヴィ夫人がおっしゃった通り、マナーとは自分がどう見られるかではなく、一緒にいる人がいかに心地よく過ごせるか、ということだと思う。私には若者支援の活動の中で養子縁組した娘がいるが、彼女も“育ちが悪い“とされるような環境で育ったために、電車の中でもお化粧をするし、コンビニの前でタバコ吸う。でも、“お行儀が悪いからやめなさい”ではなく、“その姿を見て、他の人はどう思う?どっちが好き?”という話をすると、“自分はどう見られてもいい”から、“他人に不快感を与えるような人にはなりたくない”という気持ちが出てきて、変わっていった」と話した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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