
現在公開中の『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』。本作はヒューマギア(AI搭載人型ロボ)が様々な仕事に就いて人間と共存する新時代に、突如暴走した彼らと仮面ライダーゼロワン=飛電或人の戦いを描いた、『仮面ライダーゼロワン』(2019年9月1日~2020年8月30日)の単独映画作品。主演の仮面ライダーゼロワンこと飛電或人役を務めた高橋文哉は、令和初の仮面ライダーとして注目を浴び、元売れないお笑い芸人で人を笑わせることが大好きなAI企業の社長を好演。華のある存在感でお茶の間を魅了し、若手俳優界のホープとしてこれからの活動にも期待を寄せられている。
また、仮面ライダーゼロワンと共に戦っていく、仮面ライダーバルカンこと不破諫役を務めた岡田龍太郎は元対人工知能特務機関A.I.M.S.の隊長で戦闘能力に優れたキャラクターを熱演。諫は過去の出来事からヒューマギアを憎んでおり、テレビシリーズでは物語を引き締める役どころを担った。今回は映画の公開を記念して高橋と岡田にインタビューを実施。令和初の仮面ライダーたちの素顔をじっくりと見届けてほしい。
「まだ足りない。もっと仮面ライダーを教えてほしい!」出演後の思い

――ライダー俳優として活躍された1年間を振り返って、今の心境をお聞かせください。
岡田:こんなふうに1つの役に1年以上向き合い続けるのってて滅多にないことだと思うんです。だからそれを乗り越えられたのは自分にとって大きな糧となりました。話も全て最初から決まっている作品でもないので、自分の芝居1つで諫のキャラクターも人生も変わってくる。そういう意味で他の作品にはないプレッシャーを感じましたし、濃密な時間だったと思います。
高橋:あの頃は毎日必死でした。今はこうやって普通に話せますけど、終わってすぐの頃はすごく寂しかったですし、何なら「まだ足りない。もっと仮面ライダーでいたい!」って感じでした。正直、もっとこの作品に関わっていたかったというのが今の本音です。そんなちょっとした寂しさもありつつ、このご時世のなかで全員が最後まで走り切れたのはありがたいことだなと思います。
――1年やってまだ足りないとは、その体力に驚きです!
高橋:(岡田に)でもみんな慣れましたよね? 朝の4時に出発するのも普通に感じちゃうし、もしそれが7時出発なら「寝れるぞ!」みたいな。
岡田:俺は7時でもビクビクするけどな(笑)。
高橋:でも5時出発とはだいぶ違うじゃないですか? ロケ地が群馬って聞いたら「明日は高崎か、寝れる!」ってなりません?
岡田:まぁ、力の抜きどころはわかってくるよね。

――ライダー俳優に決まったときはどのようなお気持ちでしたか。
高橋:僕は信じられない、というのが1番大きかったです。台本に名前が入って、本読みに参加しても、「俺、仮面ライダーなのか…」ってふわふわした気持ちで。現場で「変身!」って言っても夢のなかにいるような感覚がずっと抜けませんでした。でも情報解禁になっていろんなニュースで取り上げられているのを見たとき、初めて自分は仮面ライダーになったんだという実感が湧いたんです。最初は「ええええ」ってなりながらも、それがプレッシャーや責任感に変わっていって、そのふわふわした感じは消えました。今思えば「変身!」ってセリフも台本にそう書いてあるから言っているだけ、みたいな感覚でしたね。
岡田:役が決まったときは嬉しさ半分、悔しさ半分でした。仮面ライダーのオーディションってみんな主演を目指して受けると思うので、そこから外れてしまうのは半分不合格みたいなものなので。正直、真剣に考えましたが、あれこれ考えていてもしょうがないと思い、自分の役と向き合うことにしたんです。それで役について理解を深めていくと、諫ってやり方次第ですごく良い役になると気づいて。だからとことん諫を突き詰めていこうと決意しました。
――その悔しさがバネになったり?
岡田:それはずっとあります。その悔しさをバネに不破諫という役を少しでも良いものにしていこうという思いで1年間やっていました。
「仮面ライダー」出演で、知らない親戚が増える!?

――『仮面ライダーゼロワン』出演後、周囲の変化を感じましたか?
高橋:僕は高校を卒業してからやっといろんなオーディションを受けれるようになって、そのなかの1つに『仮面ライダーゼロワン』があったんです。高校卒業してから仮面ライダーになったんですが、そうなれば高校時代の同級生が黙っているわけもなく…(笑)。話したこともなければ顔もわからない子からInstagramのDMで、「●●高校の▲年×組の※※※です! 仮面ライダーおめでとうございます!」みたいなメッセージがめっちゃ届きました。テレビに出ると知らない知り合いが増えるって本当なんだと思いました(笑)。
岡田:僕も知らない親戚が増えるじゃないですけど、おばあちゃんの兄弟の誰かから、「『仮面ライダーゼロワン』すごく観てるよ~」と伝えられたことがあって。こんな親戚いたんだと思いました(笑)。でもそのくらいかな? 街で声をかけられるとかは滅多にないので。
高橋:ないですよね! しかも龍太郎くんはわりと諫のままで街を歩いているんです。コロナの前とかマスクすらしていなくてこっちが心配になるくらい(笑)。でもたまーに気づかれることもありましたよね?
岡田:2回くらいあったね。街を歩いていたら子供たちが押し寄せてくるイメージだったけど、現実は本当にたまにしか声をかけられないっていう。
高橋:でもバラエティのお仕事に行ったときは周りから「仮面ライダーでしょ?」と声をかけられるので、「やっぱり仮面ライダーすげぇ!」って思います。「仮面ライダー」という単語を知らない日本人はいないと思うし、キャラクターの知名度の高さから来る影響力には驚かされました。
テレビシリーズと映画、空白の3ヶ月間を想像して…

――映画とテレビシリーズで演じ分けた部分があれば教えてください。
岡田:映画は終始シリアスな雰囲気なので、僕個人はわりとコミカルな感じを意識しました。戦闘機から落ちる場面では変な声を出していたりするし、本作の諫は突っ込みどころ満載です(笑)。緊張感のあるシーンが多かったテレビシリーズの諫とは反対に、今回の映画では物語のドヨーンとした空気にクスッと笑える要素を取り入れてくれる、面白い立ち位置。その違いもぜひ楽しんでほしいですね。
高橋:本作はテレビシリーズの最終回から3ヶ月後の世界が舞台。それで台本を読んでみると「これ本当に或人が言うの?」っていうくらいかっこいいセリフが多いんです。だから現場で言い回しとかを変えてもらおうとしていたんですが、最終回から3ヶ月後のお話ということで、「もしかしたらその空白の期間に何かあったのかもしれない」と考えるようになって。それで現場に立ってみると何の違和感もなく、台本に書いてあるセリフがスッと口から出てきたんです。だからその空白の3ヶ月間は自分で想像しながら、大事にして演じていました。
――映画だと或人はギャグもほとんど言わないですよね!
高橋:それも最初はゼロだったんですよ。でも或人がギャグを言わないと『仮面ライダーゼロワン』じゃないと思って。だから初対面の朱音(山崎紘菜)にギャグをぶつけてくるのは、すごく或人らしいなって嬉しくなりました。或人は人として成長したけど、ギャグは全然成長しない。そこだけは変わらないな~って(笑)。
――その成長にも注目ですね。TVシリーズとはまた違った活躍が見られそうで楽しみです!本日はありがとうございました。




テキスト:近藤加奈子
写真:You Ishii
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