近ごろメディアで取り上げられる機会が増えた「SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)」。経済、環境、平等など17の社会課題を2030年までに世界全体で達成することを目標としているが、日本における認知度は今年3月時点で3割にも満たないのが現状だ(電通調べ)。
・【映像】10~20代のSDGsネイティブ世代は社会課題に高い意識
他方、学校現場ではSDGsに関する教育も取り入れられていることから、大人よりも若者の方が認知度は高く、SDGsを意識した生活を送る“SDGsネイティブ”もいるのだ。
「安いファストファッションの服を5着買うよりも、環境を考えた服を1着買うように心がけている」(木村晃子さん、17)
「半年ほどペットボトルを購入していない。学校にも水筒を持って行って、プラスチックの消費を抑えるようにしている」(樋澤秀悟さん、17)
「フードロスに興味があるので、最初は少なめによそって、足りなかったらお替わりするようにしている」(藁谷詩歩さん、16)
聖学院高校1年の山口由人さん(16)も、そんなSDGsネイティブの一人。日頃からマイボトルを携行、買い物をしなくても無料で給水ができる無印良品に立ち寄り、水分補給する。「環境にも配慮できるし、お金がかからないのは学生にとってはありがたい」。
■「高齢の政治家の方々から、“君たちの意見はマイノリティだよね”と言われた」
山口さんは、商品を長く愛用してもらうことで廃棄物を減らせるよう、簡単なアフターケアであれば無料で請けてくれるファッションブランド・マザーハウスのペンケースを使用している。「服も年下の親戚に譲ることを心がけているこれからは“大量消費”という概念はだんだんなくなっていって、良いものを長く使っていくという考え方になると思う」。
家庭ゴミ削減にも取り込む。生ゴミは土に入れて混ぜ、野菜作りのための堆肥にする。「燃やすとかなりの量になってしまうし、その時に発生しているCO2を削減できる」。
さらにクラウドファンディングで128万円を調達。SDGsを啓発するための一般社団法人を立ち上げた。同世代に向けたオンラインコミュニティを開設、有名企業とコラボし、社会課題が学べるフィールドワークイベントを開催するなどの活動を行っている。
「今の時代、それぞれに理想と現状との乖離があるし、それぞれに社会問題があると思う。でも、高齢の政治家の方々から、“君たちの意見はマイノリティだよね”と言われたこともある。でも、これからはマイノリティの人たちからの意見を受け入れて、同じ目的のために何かを生み出せるかが大事と思う。そんなふうに対話をする時点で分断してしまうことに対して、すごく違和感を感じた」。
■「そもそも横文字だし、よく分からなくて当然」
NPO法人「UMINARI」代表の伊達ルーク敬信さん(24)も、「どんな社会問題も単独で存在しているわけではない。経済、政治、文化、人々の生活、想像できること全部が、社会問題につながっている」と指摘する。
国連での講演経験も持ち、“SDGsネイティブ界のリーダー“とも称される伊達さんだが、ドイツに渡るほどサッカー漬けの日々を送っていたことから、20歳の時にアディダスが海のごみからシューズを作ったことを知るまでは環境問題には興味もなかったという。
伊達さんはSDGsについて、「そもそも横文字だし、よく分からなくて当然だと思う。日本語訳の“持続可能な開発目標”でさえ、よく分からない。普通に日本に住んでいれば、“ぶっちゃけ、今のままで良くない?”と感じると思う。でも、実際には環境も経済も世界平和も、あらゆる側面のことが“このままではヤバそうだ”という状況になってきているということ。むしろ、“このままでいいのではないか”と言えるような世界に少しでも近づけていくために、今から変わっていかなければいけない。そこを17個のゴールと、さらに細かい169のターゲットにしたものがSDGsだ。何も経済や豊かな生活を犠牲にしてということではなく、むしろそういったものを実現するための目標だ」と説明する。
■「まずは身の回りを見直してみるところから」
とはいえ、「2030年までに達成するのは無理なのではないか」、あるいは「俺ひとりが何かやっても変わらない」「理想論。経済発展と環境保護の両立は無理」「コロナで大変なのにそれどころじゃない」などの声もある。
伊達さんは「組織の成長もそうだが、斜めにまっすぐ伸びるというよりも、最初が大変でも、そこからグッと伸びてくるというものだと思う。だから今の段階では達成が不可能とは言い切れないと考えている。2015年に設定された目標なので、世界情勢に応じて見直しが必要な側面が部分もあるし、例えば日本で食べているものは海外から輸入しているということもある。SDGsの指標だけで全ての国の状態を測ることは難しい。まずはみんなの意識を共通として認識をさせるためのものだ」と説明。
「いきなりサステイナブルな商品を買うとかよりも、まずは身の回りをちょっと見直してみることが大事だ。自分が使っているものに目を向け、どのように作られているのか、どういうストーリーがあるのかを調べて考えたり、話したりしていると、少しずつ見えてくるものがある。そこで、これはSDGsのうち、何番目の話になるかなと見てみる。そのようにして意識を傾けていくということが大切だ。そして、“自己満足”みたいなところに答えがあると思う。環境がやばいことになっているとか、社会がやばいことになっているのは消費者だけの責任ではない。だからこそ、“意識高い系じゃん”みたいに恥ずかしくなると思うが、そこは“すみません。やっちゃってます”みたいな感じで行けば、“いいじゃん、いいじゃん。俺もやろうかな”みたいになると思う」。
伊達さんの説明に、EXITのりんたろー。は「僕らも仕事でSDGsに関わらせてもらわなければ、多分おじさんたちと同じように、何も知らないままだったんだろうなと思う。知った以上、お笑いを絡めながら発信することで、たくさんの人に知って欲しいと思う。理想論だろうとか、一人でやっても変わらないという意見も分かるが、理想を掲げないと何も始まらないと思うし、一人が始めないと何も始まらない。否定するのは簡単だ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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