“おっさん化”するしかなかった…女性キャスターの草分け・安藤優子氏が語った報道・政治の現場のジェンダー・ギャップ
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 19日のABEMANewsBAR橋下』にキャスターの安藤優子氏が生出演した。

・【映像】安藤優子と語る!報道番組の理想

 米国の高校を卒業後に帰国、再び留学すべくエレベーターでアルバイトをしていた時にテレビ朝日のプロデューサーに声をかけられたという安藤氏。米国を暑かった番組で現地レポートを担当したのを皮切りに、アシスタントとして報道番組の世界に足を踏み入れることになったという。それから約40年。この秋、ほぼ毎日のように生番組に出演する生活にピリオドを打った。

 そんな“報道キャスターの草分け”に橋下氏が女性のキャリアップを阻む“ガラスの天井”について尋ねると、安藤氏は「感じっぱなし。突き破りたいけど、突き破れない」とコメントし、次のように振り返った。

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 「まず、自分の居場所がなかった。当時の報道の世界は、見回しても女性がいない。だから政党の派閥の番記者懇談に取材に行くと“はい。女の人、出ていってください”と。“私、記者なんですけど”と言いかえしたら、“はぁ?”。“もうなんだよ!女が記者じゃいけないのかよ”って思った。どうしたらいいんだろうと考えた結果、私の場合は“おっさん化”することを選んじゃった。だから”怖い”と思われたのだと思うし、黒いスーツを着た時には“小さいおじさん”とも言われた。でも、おっさんの仲間に入って、居場所を分けてもらうためには、自分も同化するしかなかった。でも、これからはそういう働き方をするのは古いし、おかしい。女性であることを封印するのは、女性であることに卑屈になっていることだ。おっさん化する必要なんて絶対ない」。

 さらに安藤氏は「ジェンダーの“問題”とよく言うが、問題じゃない。橋下さんは男性で、私は女性。これは違いであって、問題ではない。だから私は問題という言葉を使わないで、といつも言っている。暮らしの中で女性が取るポジショニングみたいなところも、もっと自由になった方がいいと思う。政治家だって家に縛られるし、介護離職だって8割方は女性だ。男性が育児をちょっとやると“イクメン”とか言われるが、女性はやるのが当たり前だからか、“イクウーマン”なんて言われない。そういう部分での意識改革ができるよう、男性側から働きかけてほしい。そうでないと制度も変わらない」と訴えた。

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 安藤氏の話を受けて、橋下氏は「知事、市長として幹部会議を聞いていると、女性が多く入った時は議論の中身が全く違ってくる。日本社会を良い方に持っていくためには、女性を半分入れないと男性目線で偏るよね、と感じないのがおかしい。だから国会も基本的には半分が女性議員じゃないとおかしいと思う。人口は半々なのに、代表者が男性ばっかりだから男性の政治になってしまう。選択的夫婦別姓の話が象徴的だが、これも女性議員が半数を占めていれば簡単に解決すると思う。でも、男性ばかりの議員社会の雰囲気を見ていれば、女性は「嫌だな」と思ってしまうのでは」とコメント。

 「夜遅くまで延々と会議をやるし、子どもを預かる施設も近くにない。金子恵美さんが子どもを保育所に送るのに公用車を使ったら批判を受け、ベビーカーを押して行くことになった。それから代理投票も認めず、議場に来いということだから、妊婦の議員や、出産してすぐの議員は投票もできない。もう、わざと女性議員が働きにくい環境にしてるんじゃないかとさえ思う。僕は政治家になる前、実はクォータ制には反対で、女性も実力で上がっていけばいいと思っていた。でも、それから15年たった今でも、やっぱり女性がそういうところに就けない。ここは一度クォータ制のようなものを義務化し、候補者の半分は女性しろと、日本社会に喝を入れないといけないと思う。ただ、そのルールを作る国会議員が男性ばかりだから変わらない。自分たちのポストを奪われることになるからね。なにしろ、ついこの間まで国会ではタバコを吸うことが許されていたんだから」。

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 さらに安藤氏が「去年、男女の候補者を均等にしようということで法律ができたが、当初は男女の候補者を同数にしようという文言だった。ところが自民党から反発があり、“同数”は困るから、大体同じということで“均等”にしてくれと。とにかく法律を通したいということで“均等”に譲歩して成立したが、義務じゃないし、罰則も一切ない。だから参院選を見ても、共産党など野党は均等にしたのに、自民党や公明党は無視。選ぶのは有権者なのだから、候補者はスタート地点であって、ゴールではない。それすら許さないというのはどういうこと?と、声を大にして言いたい」と訴えていた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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