暗いことの多かった2020年。そんな中でも明るい話題と笑いを提供してくれたのが、4月期にテレビ朝日系で放送された連続ドラマ『M 愛すべき人がいて』だ。平成の歌姫・浜崎あゆみの半生を放送作家の鈴木おさむがエンターテインメント色たっぷりにドラマ化した本作は、トリッキーなキャラクターや予想外の展開がSNSを中心に話題沸騰。その歌姫を演技初挑戦&ドラマ初主演で演じたのが、次世代ギャル=ポスギャルとの異名をとる歌手の安斉かれんだ。現在は新曲『Secret Love』をリリースし、バラエティ番組にも多数出演。ドラマで見せた姿とはまた違った魅力を振りまいている。飛躍の1年となった2020年を安斉が振り返る。

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 土曜深夜のSNS上は『M』のネタでもちきりだった。「放送のたびにSNSで『M』がトレンド入りしたり、大喜利対決が繰り広げられたり。バラエティ番組でも『ドラマ見たよ!』と声をかけていただけることが多く、出川哲朗さんからは『面白ドラマの人だ~!』と言われました」と安斉自身も驚く大流行ぶりだった。

 初めて本格的に女優の仕事に触れて「アーティスト業とお芝居の表現方法は別物だと思ってましたが、楽しい思い出しかありません。ただテレビに映る自分を見るというのは凄く不思議な感覚でした。しかも私ではない別のキャラクターを演じているわけですから、お酒を飲まないと直視できないレベル。恥ずかしいというか『ウケる~!』と、もはや無の境地でした」と新鮮な感情も生まれた。

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 安斉が女優業以上に難しいと感じたものがある。それはトークバラエティへの出演だ。背伸びしない立ち振る舞いは好意的に受け入れられているのだが「アーティストならば歌詞がある、お芝居ならばセリフがある。でもバラエティとなると自分の素の言葉しかない。それを喋りすぎてもアーティストとしてリリースする作品の軸がぶれてしまうと考え込んだり、その匙加減も大変。私は会話が得意な方ではないので『踊る!さんま御殿!!』に初めて出演させていただいたときも緊張して全然喋れず。バラエティが一番怖いし難しい」と慣れないジャンルへの戸惑いもある。

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 トークには苦手意識があるが、作詞となると話は別。スマホのメモに詞を書き綴るのは高校時代からやっていること。新曲『Secret Love』も安斉自らが作詞した。MBS連続ドラマ『社内マリッジハニー』のために書き下ろした、安斉初のラブソングだ。「自分の辞書にないような言葉や普段使わないような言葉を歌詞に入れたので、今まで一番悩んだ曲かもしれません。原作漫画を読んでその世界観を大切にしながら、照れちゃうような可愛い歌詞にしました」と初々しく描き切った。

 レコーディングでは「これまでの私の曲にはないアップテンポでガーリーな曲調なので、いつもよりも楽しい感じでポップな声色を意識。サビのキーも高いので喉をいたわりつつ。スタジオに置いてあるアメBOXの中に大好きな“小梅キャンディー”があって、テンションが上がりました」とお気に入りの飴にも助けられた。

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 女優業に初挑戦し、バラエティにも出演。ドラマのために初めて楽曲を書き下ろした。「今年は初めて尽くしで、その日その日をどうやって乗り越えていくのか必死でした。楽しかったけれど、あまりにも目まぐるしくて『何をしてたっけ!?』という感覚。これまでの人生で一番あっという間に過ぎた1年でした」と2020年を総括。

 それを踏まえて来年は「今年やらせていただいた経験を活かしながら、作品や楽曲に反映していきたい。まだ人前に立ってライブをやったことがないので、いつかアーティスト・安斉かれんとしてリアルなライヴのステージに立ちたいです」とコロナ禍が晴れた世界での夢を明かしている。

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12月2日配信曲「Secret Love」
サブスクリプション音楽配信ストリーミングサービス限定リリース
https://KalenAnzai.lnk.to/SecretLove

ミュージックビデオ
https://youtu.be/KcInAI3Y6LM

テキスト:石井隼人
写真:mayuko yamaguchi

M 愛すべき人がいて
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