宇野実彩子の新曲「最低な君にさっきフラれました」が11月4日に配信スタート。同曲は失恋したての女性の痛々しい想いを、宇野自ら歌詞にした失恋バラードで、ミュージックビデオ(以下、MV)には主人公の恋人である“最低な君”として俳優・山田裕貴が出演。宇野とともに別れを選択してしまうカップル切なく演じている。本気で愛したがゆえに傷つけあってしまう、リアルな男女の姿を、二人はどのように演じあげたのか。MVの撮影裏、同曲に対する想い、そして恋愛観まで赤裸々に語ってくれた。
「きっとまたYouTubeで観てしまう」共感必至の切なすぎるMVが完成
――配信シングル「最低な君にさっきフラれました」は宇野さん作詞の失恋バラード。どのような手応えを感じてますでしょうか。
宇野:フラれた直後の傷ついた心を歌にしました。別れたてほやほやの気持ちを言葉を選ばずに。だいぶ切ない心をえぐられるようなラブバラードができたなと思っています。(失恋は)思い出になるにつれて綺麗な思い出・言葉になっていきますが、別れた直後の女性の気持ちはそんな綺麗なものではなくて、ものすごく痛くて、毒が混じっている。そんな人間の温度のある、どうしても出てしまう言葉、本音を歌詞にしました。
――MVは、宇野さんから藤井道人監督へのオファーで実現したそうですね。
宇野:藤井監督とは以前ドラマ「会社は学校じゃねぇんだよ」(ABEMA)でご一緒させていただいて、そのときの印象として、映像に優しいのに冷たい雰囲気があると感じていました。ちょっと闇がある。この歌をMVで表現するにあたって、綺麗すぎない、人間の表と裏を感じられる藤井さんの映像がいいと思いお願いしました。そして藤井さんと私は実は同い年。見てきたものも同じで、共通言語がありそうだなとも思いました。
――山田さんは、“最低な君”としてMVに出演。オファーを受けたときはどのように感じましたか?
山田:すごく嬉しかったです。AAAさんはデビュー曲から知っているし、僕が出ている作品の主題歌もやってくださっていた。MVにがっつり出ることもめちゃくちゃ久々で、しかも男女のリアルなドラマだと聞いて、自分の恋愛を思い返しながら撮影参加できたらいいなと思いました。2日間くらいで一気に撮り切ったんですけど、宇野さん明るそうな人だから、(ずっと一緒でも)大丈夫そうだなと思ってはいました(笑)。
宇野:これまでたくさんの作品を見させていただいたんですけど、山田さんは本当に変幻自在で凄い柔軟な方。だからわたしにとって、「最高で最低な彼氏」を演じてもらうのにぴったりだと思っていました!わたしは人見知りのタイプなんですけど、会ったら、本当に気さくな方で、すごく話しやすかったです。2日間限定というのはもったいないなと感じて、一緒のときはたくさんお話しさせていただきました。
山田:初日、宇野さんは「緊張する~」と言っていて。「え。宇野さん、ドラマ仕立てのP Vよくやってるんじゃないですか?」って聞いたら、「こういうドラマ仕立てでセリフがあるのはなかなかない」と言われて、「俺が引っ張らなきゃいけない!」と一気に焦りました(笑)。でも、実際に始まると自然な空気感でやりやすかったです。自分は俳優という職業でやっているのでリードしていかなきゃいけないというプレッシャーもあったのですが、でもその必要はいらなかったです。
――実際にMVの完成映像を見て感じたことを教えてください。
宇野: MVになって、さらに切なくなって、素晴らしいストーリーとなって、この曲を表現してもらえた。これを見てもらって、自分の失恋を乗り越えるきっかけになったり、思い出す人がいたらいいなと思います。
山田:誰もが感じたことある嬉しさや苦しみ、悲しさに寄り添えられるMVになっていると思います。僕自身も見ていて切ないってなりました。きっとまたYouTubeで観てしまうと思います(笑)。
ほぼアドリブの喧嘩シーンは、宇野実彩子史上1番の喧嘩!?
――逆再生でドラマは展開していきますが、撮影はどのような順番だったのでしょうか。
宇野:順撮りではなくて、パートパートで撮影しました。
山田:そうなんです。すごくないですか?(笑)感情ぐちゃぐちゃでした(笑)
――逆再生にしたのはなぜですか?
宇野:監督と話して、幸せと切なさの差を引き立てようとしました。「この幸せ終わっちゃうんだよな~」と思いながら見ると、より切なくなる。
――シリアスなシーンも多かったですよね。どのような演技プランがあったのでしょうか。
宇野:喧嘩のシーンは壮絶でした。設定はあったのですが、細かくは決めませんでした。喧嘩が始まったら、最終別れるということだけ。「実際に喧嘩する時はこうだよね」「喧嘩したらどうなる?」とか、事前に話し合ってはいました。ただ私たち二人だったらどういう喧嘩になるんだろうというのは、やってみなければわからなかった。終わりに向かっていくという作業はキツかったです。決まってないからこそ心が苦しかった。
山田:全部アドリブだったんです。15分くらい回していたんですけど、本当にセッションでした。あの声はリアルな喧嘩のトーンでしたよね。急にガーって熱が上がったり。お芝居とはあまり思わなかったです。設定だけ背負って、あとは自然に出てくる言葉。相手の言葉を受け取って、キャッチボール。その積み重ねでした。4回くらいリアルな喧嘩をしましたね(笑)。
宇野:ですね。あれは人生史上1番の喧嘩かもしれないです(笑)。あんな辛い喧嘩ってなかなかない。
山田:あんなぶつけ合うのはなかなかないですね(笑)。
――そのほかに印象的なシーンはありますか?
山田:イチャイチャしてるところ、距離が近いとこはドキドキしました(笑)。後ろからツンツンとか。台本に書いてないけど、こうしたら仲のいいカップルに見えるなーとか、そういう面も見せたかった。歯磨きしているときに、横並びではなく、前後になって(前にいる山田の)頭に宇野さんの顎を載せるシーンがあるんですけど、あれは僕のリクエストです。
宇野:あれはぜひカップルにやって欲しいです!楽しいから!(笑)
山田:その姿を二人で鏡ごしに見てるのもいいんですよ。
宇野:「壁ドン」みたいに名前があるといいですね!
山田:うーん、なんだろう。
宇野:「顎のせ歯ブラシ」!
山田:そのまんまやないかい!(笑)
「価値観が違うのは当たり前」宇野実彩子&山田裕貴が恋愛観を赤裸々に告白
――歌詞の中で、“最低な君”のセリフとして「一緒に生きて欲しい」「覚悟できてない」という言葉が出てきます。その他にセリフの候補はあったのでしょうか。
宇野:「先が見えないんだよね」とか、「(好きかどうか)わかんなくなっちゃったんだよね」とか。その曖昧な「わかんない」って相手に対して雑ですよね。
――不誠実な感じがしますね(笑)。なぜ歌の最後には「前のヤツも似てたな」という表現を使ったのでしょうか。
宇野:毎回ダメンズを好きになるということではなく(笑)、終わった後に反省してしまうということを伝えたかったんです。結局好きになったら盲目になって、失敗を繰り返してしまう。それはちゃんと好きになってるからこそなんですけど、頭の中では失敗しないように考えているのに、うまくいかない。そういう恋愛の意地悪なところを表現したいと考えました。
――とはいえ、毎回好きになってしまう人に共通点はありますか?
宇野:誠実な人です。このMVみたいに仕事に一生懸命で連絡取れなくても、彼は誠実だったし。常に嘘がない、信じられる人がいいなと思います。
――山田さんは?
山田:男女ともに明るくいて欲しい、楽しそうにいて欲しいなと思います。もちろん悲しいときがあれば支えようと思うんですけど、毎日暗かったら、自分も影響されてしまうと思うので、明るく前向きでいてくれたらいいなと思います。いてくれたら…それだけでいいです。
宇野:優しいね!(笑)
山田:「いてくれさえすれば」ね(笑)。
――では、歌詞のように「一緒に生きて欲しい」と思う人は?
山田:僕のことに対して諦めない人です。お仕事を応援してくれることもそうですし、二人にズレが生じてきたときに「もういい」と諦めずに愛情だったり楽しみを与えてくれる人。反対に好きな人には、僕も与えたいと思っています。
――歌詞のように「最低なこと」をしてしまったことはありますか?
宇野:学生時代とかは、あまりにもわがままで世間知らずで自分本意だったなと思います。その頃の自分は「最低な君」だったなと思います。
山田:男女数名でご飯に行って「今日俺が払うよ」って言っていたのに、財布忘れちゃったことがあります。男性側もお金を持っていなくて、結局女性二人に払わせてしまいました。すごく仲良い人たちだったので「いいよ。今度奢って」って感じだったんですけど、結果まだお返しできてなくて…すみませんっ!(笑)
――「最低な君にさっきフラれました」は、フラれた女子目線の歌詞ですが、男性から見て反応したいとこはありますか?
山田:僕は逆に相手に覚悟がないと思ったことがあるので、この曲に共感してました。特にこういう仕事をしているので、簡単にお付き合いできない。なので「え?」って僕が思うことの方が多かったんです(笑)。生活の中で気持ちが変わっていくのは仕方ないですけど、それは話し合えばいい。価値観が違うのは当たり前。そういうのは歩み寄って変えていこうと覚悟あるので…赤裸々に語ってしまいました(照)。
――最後にMVの二人にならないようにするためのアドバイスはありますか?
宇野:溜めないこと。忙しくても聞く姿勢は必要だし、ちょっとずつ吐き出して解決していく。向き合って話して解消するという作業を怠らないことが大切かなと思います。
山田:そうですね。好きだったら、付き合っている時間は幸せで、嫌な時間ってその(揉めている、すれ違っている)時だけ。だったら、その時間を二人で乗り越えるために、逃げるのではなく向き合う。忙しいかもしれないけど一旦そのことは置いて、向き合うことができればいいのかなと思います。