緊急事態宣言発出後の記者会見で、「一貫して大事なのは医療体制です。必要な方には必要な医療を提供いたします。病床がひっ迫する一都三県において、コロナ対応の病床を大幅に増やすことができるようにします」と話した菅総理。病床使用率は上昇を続け、医療関係者からは、現場ではすでに医療崩壊を起こしているとの声もある。
目下の医療提供体制について、愛知医科大学病院循環器内科助教の後藤礼司医師は「事実、私のいる愛知県では崩壊している。重症の方が運ばれて来るが、僕一人で対応しているわけではなく、呼吸器内科の先生や救急科の先生も診ている状況だし、重症者用のベッドは一度埋まれば1~2週間は空かない」と話す。
「この状況下で病床使用率がどうのこうのと論じるのは間違っている。患者の受け入れができる、重症者対応ができるベッドがどれくらいなのかという点から算出すれば、仮に病床使用率が60%だとしても、実態はすでに逼迫しているはずだ。東京都では7日の感染者数が2400人ということなので、このうち0.5~1%くらいが重症化するとしたら、もはや予断を許さない。病院が逼迫している様子が目に浮かぶし、おそらく2、3日経つと、マスコミの報道もさらに過熱してくるのではないか」。
こうしたことから、冬場の感染拡大が起こる前に医療提供体制の充実を図るべきだったとして、政府や医師会の責任を厳しく追及する意見もある。
後藤医師は「確かに昨年春から対策を始めていれば良かったし、のつもりで医療従事者は着々と準備をしていた。だから政府に対しては色々と言いたいこともある。ただ、期間も短かったし、厚労省や医師会が謝罪しても、コロナの患者さんが減るわけではない。現時点でできる具体的なプランニングで言えば、一旦は回復したものの後遺症が残り、リハビリをしなければならないような患者さんについては、我々がいるような大学病院などから、バックアップができる病院に移せるような流れを地域内で作ってみてはどうか」とした上で、次のように訴えた。
「そもそも少子高齢社会で人口が減少している中だったので、医療従事者やベッドの数、そして医療費も下げていこうという方向だったという背景もある。今後やらなければならないのは、こうした非常時にも対応できるよう、どれだけの余裕を持たせておくか、ということだ。また医療過疎と呼ばれる、満足な医療がなかなか受けられない地域も地方にはある。こうしたところにいかに費用を回すのか。有権者として、次の選挙までに各々がどう考えるのか、そこを考えるべきではないか」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)




