楽天モバイル社員が逮捕…転職時、競合企業への営業秘密の持ち出しを防ぐには? 夏野剛氏「欧米並みの企業慣習の導入を」
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 大手携帯キャリアが次世代移動通信規格5G対応を見据えた新プランでしのぎを削る中、一昨年までソフトバンクに勤務していた楽天モバイル社員の男が不正競争防止法違反の疑いで逮捕された。

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 ソフトバンク社内で4Gや5Gネットワーク用の基地局設備や基地局同士の通信網に関する技術職にあったという容疑者の男は、楽天モバイルへの転職が決まってから退職までの約1カ月間、自宅から約30回にわたりソフトバンクのサーバーへアクセス、5Gの技術情報を不正に抜き取った疑いが持たれている。捜査関係者によると抜き取られたファイルはおよそ170に及び、楽天側から容疑者に対し転職の条件として情報の持ち出し、提供の指示があったとみて捜査しているという。

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 元社員の逮捕を受けソフトバンクが「楽天モバイルが当社営業費密を既に何らかの形で利用している可能性が高いと認識」「今後事業に利用されることがないよう営業秘密の利用停止と廃棄等を目的とした民事訴訟を提起する予定」としているのに対し、現役社員が逮捕された楽天モバイルは「現時点までに当該従業員が前職により得た営業情報を弊社業務に利用していたという事実は確認されていない」「5Gに関する技術情報も含まれていない」と主張している。

 ITジャーナリストの石川温氏は「楽天は携帯電話事業に新規参入しているため、基地局設置のノウハウはゼロ。一方、ソフトバンクは全国に約20万の基地局を持っている。企業間で売買されるようなデータではないし、一からやらないといけない楽天にとっては貴重な情報だ」との見方を示す。

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 一方、NTTドコモ執行役員を務めた経験もある、慶應義塾大学特別招聘教授でドワンゴ社長の夏野剛氏は「具体的にどのような情報が抜き取られたのかはわからないが、そもそも楽天は様々な携帯キャリアから人材を引き抜いているし、基地局がどこに設置されているかといったレベルのものであれば、それほど重要なものだとは思えない」と話す。

 その上で、「競合がはっきりしている外資系企業の場合、一般社員は1年、あるいは幹部だと3年といった期間を設け、対象の企業に就職をしないという書面を交わし、その代わりに退職金を積み増すといったことが行われている。日本の場合、そういうことがあまりなく、むしろ退職者を冷たく扱ってしまうことも多いと思う。特に幹部に対しては欧米並みの措置が取れるような企業慣習を作っていくべきではないか」と指摘した。

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 家電量販店エディオンの営業秘密漏洩事件で民事訴訟を手がけた苗村博子弁護士は「エディオンの事件と構図が非常によく似ていると感じる。仮に楽天モバイル側が“情報を持ってきなさい”と要求していた場合、企業としても罪に問われ、有罪になれば5億円の罰金が課せられる可能性もある、一方、“持ってきてほしくないのに持って来ちゃった”、あるいは“前の会社で使っていた営業秘密なんだろうな。でもまあいいや”ということであれば民事訴訟で賠償請求をしていくことになるが、刑罰を課すというのは難しい」と説明。

 また、「日本企業でも取締役に対しては競業避止義務を課し、相応の退職金を積んだ上で1年間は競合他社には就職しないようにするといったことが行われてはいるし、そのような行為は正当なものだと裁判所も認めたケースもある。しかし幹部といえど従業員待遇だった方に対しては“職業選択の自由“との間でせめぎ合いもあり、なかなか簡単には変えられないというのが企業の悩みでもあると思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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