BACKSTAGE TALK #10 Lunv Loyal

AbemaMix出演の合間に、HIPHOPライター 渡辺志保氏がアーティストにインタビューを実施!
ココでしか聞けないBACKSTAGE TALKをお届けします!

Lunv Loyal「遅咲きの年齢かもしれないけど俺にしてみればこれが最短のやり方」進み続ける強さ
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ー2020年1月に1stアルバム『ZERO』をリリースして程なくして、国中がコロナでパニックになってしまったわけだけど、影響はありましたか?

Lunv Loyal:やっぱり、ライブが結構潰れてしまったので、ツアーも消化しきれないままで。だから、自分の中で『ZERO』が不完全燃焼で、区切りが付いていないような状況でした。それもあって、「デラックス盤を出して、もう一度続きをやりたい」という思いがあったんです。

【映像】Lunv Loyal AbemaMix ライブパフォーマンス

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ーデラックス盤には15曲も追加されていて、Lil Uzi Vert『Eternal Atake』並のボリュームだなと思いました(笑)。

Lunv Loyal:作っていくうちに、自然とそうなってしまって。コロナになってから、JNKMNくんにYENTOWNのDJでもある JAMさんと、Showyたちがやってるスタジオを紹介してもらって。それで、そのスタジオにかなり行くようになったんです。

だから、コロナ期間も逆に新たな出会いがたくさんありましたね。Showyは二人組で、僕の3個くらい年下のヤツらなんですけど、彼らとの「AIR FORCE ONE」はとんとん拍子に出来た曲で、全部フリースタイルで録りました。

ー2020年の4月にLunvくんが「Virus」をリリースした時に、「こう来たか!」みたいな驚きもあって。MVも面白かったし、コロナを題材にした楽曲を出したスピードも早くて。

Lunv Loyal:こんなに簡単に生活が変わっていく中で、最初、結構みんなが弱気というか、「どうしたらいいんだろう?」っていう時期だったじゃないですか。そんな時に、一応ラッパーとして一つの指針というか、提案やヴァイブスを伝えないとな、という責任感みたいなものを感じたんです。

それで、「俺らはパーティーできなくても、ヴァイブスはパーティーっしょ」っていう気持ちを歌おうと。(こういう曲を作ることは)アーティストの使命だと思うんですよ。特にラッパーは、今を切り取って曲として残していく、というのが仕事だと思うんです。コロナで大変な時こそ、俺は歌うべきかな、と。

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ーあと、『ZERO』に収録されていた「100」は、R-指定さんが『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』で紹介していたと知って、これもまた驚きました。

Lunv Loyal:そうなんです。ラッパーにしか分からないこととか、スキル的なところを掘り下げてもらったのは初めてのことだったので、嬉しかったですね。「伝わってる人には伝わってるんだな」と思いました。

ーちなみに、自分が過小評価されてるなと思うことはある?

Lunv Loyal:前はそう思っていたんですよ。でも最近は、全くそうは思わないです。全て結果通りだと思うし、俺らは時間かかるタイプのラッパーなんだなって思うことが多くて。

一般的に見たら遅咲きの年齢になるかもしれないですけど、俺にしてみればこれが最短のやり方だし、俺より下の若い後輩たちが俺より先に売れても、それはそれで問題ない。あと、最近は繋いでいくことをすごく考えてるんです。

ーそれは世代や地域を繋ぐ、ということ?

Lunv Loyal:世代も地元も。自分にはそういう存在の先輩がいなかったんです。だから、自分は誰かにとって繋いでいく役割を担おうと、割と最初の方から決めてました。例えばアトランタに行ったらヤング・サグとかの系譜があるじゃないですか。

ーフューチャーがいて、ヤング・サグがいて…みたいな?

Lunv Loyal:さらに今はリル・キードやリル・ガティットがいる、みたいな。血を継いでいる感じとか、ファミリー感がある。俺は東北で、ああいうことをやりたいんです。

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ー地元は秋田ですよね。今の東北って、Lunvくんから見てどんな感じですか?

Lunv Loyal:めちゃくちゃアツくなってきてますね。仙台のラウドクルーや青森のT.A.Gとかカッコいい人達が沢山いて地元を盛り上げてます。俺の地元の秋田はYLEっていうクルーが頑張ってます。最近、ここ一年くらいはそういう責任感が増してるなって自分でも感じます。

ヒップホップのシーンに残っている人たちを見た時、共通して言えることは、若手をフックアップしている人ばかりが残ってるなって。自分もいろんな人にフックアップされながら来た身なので、今度はそれを地元に還元したいなって思いますね。

ー『ZERO』を聴いて、スキルの進化っぷりにとにかく驚きました。曲作りにおいて大きい変化などはありました?

Lunv Loyal:大きく変わったところは、言葉を大事にするようになったこと。やっぱり日本語でやってる以上、言葉の力を付けないとなって思ったタイミングがあって。昔からリリックに関しては拘っていましたけど、より繊細に、一文字一文字にまで気をつけるようになりました。

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ー確かに、アルバムを聴いていると前よりもリリックの面白さを感じます。そういう力を身に付けるための秘訣はありますか?

Lunv Loyal:アンテナじゃないですかね。普段生活している中で、どれだけ繊細なアンテナを張れるか。自分が考えていることと、全てのことをリンクさせられるか、そして、そこに気が付けるか、そいうことだと思います。やっぱり、自分だけの感情や感覚だけだと、その中で収まっちゃうじゃないですか。だから、自分の感覚を大事にしながらそのまま外を見ると、(他人と)繋がっている部分もいっぱいある。

みんな違う人生だけど、日本にいる以上、似たような部分はあるじゃないですか。それが共感になっていくと思うんです。全然違う体験をしていても、感情に刺さる言葉を選べばいい。でも俺は、全員(の心に)に刺すつもりはなくて、身内に刺せればそれでいいなって思っています。

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ー『ZERO (Deluxe)』を聴くと、曲数は多いながらも伝えたいメッセージとしてのコアな部分は、どんどん削ぎ落とされていってるのかな、という印象も受けました。

Lunv Loyal:2020年は本当にいろんなことが起きて、仲間も減って、飛んだやつもいるんです。そんな中で、見えてくるものを歌ったって感じです。だから、より手の中のことだけ歌っている感じです。でも、やってることは基本的に昔から変わらないですね。

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Lunv Loyal 『AbemaMix』SP LIVE SET
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